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「月が昇るとき」/ミセス・ブラッドリー

 2008-11-30-22:19
月が昇るとき (晶文社ミステリ)月が昇るとき (晶文社ミステリ)
(2004/09/30)
グラディス・ミッチェル好野 理恵

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Ciel Bleuの四季さんとジーヴス物についてお話していた時に、イギリス人のミステリということで思い出したのが、グラディス・ミッチェルによるミセス・ブラッドリーシリーズの「ウォンドルズ・パーヴァの謎 」(感想)だったのです。

で、その時、このシリーズをお勧めした割に、その後、シリーズその他の本を読んでないことを思い出し、借り出してきた本です。サーカスのテント、月、少年と自分が好きな要素が詰まってんなー、と思ったんですが、これが意外に楽しめず。
目次
第一章  骨董屋
第二章  月が昇るとき
第三章  サーカス
第四章  女綱渡り師の死
第五章  女給の死
第六章  亭主、しばし行方不明
第七章  農場に死す
第八章  ナイフ
第九章  月のない夜
第十章  老婦人
第十一章 子守り女の死
第十二章 拾い物
第十三章 分かれ道
第十四章 骨董屋
第十五章 サーカス
第十六章 子守り女の死
第十七章 亭主、しばし行方不明
第十八章 拾い物
第十九章 月が昇るとき
第二十章 老婦人
 グラディス・ミッチェルのオフビートな魅力
目次を書き出してみたら、割と凝った作りだったのかな。

主人公の少年はサイモンとキースという、十三歳と十一歳の兄弟二人。舞台は、ロンドンの西に位置する運河の町。両親は亡く、年の離れた兄夫婦と共に暮らす二人。赤ん坊もいる兄夫婦の家計は決して楽ではないようで、イネス家には若い女性である下宿人、クリスティーナがいる。サイモンとキースの二人はもちろん、兄ジャックもクリスティーナに恋しているといっても過言ではない。逆に兄の妻、ジューンは口うるさく、うんざりさせられる存在なのだが…。

復活祭の祝日に、サイモンとキースの暮らす町に、サーカスがやって来る。二人はサーカスのテントに潜り込むため、夜のうちに隙間を空けておこうと考え、偵察に向かうのだった。その途中、二人は運河の橋の上でナイフを持って佇む怪しい人影を目撃する。翌日、サーカスの綱渡りの女性が殺されていることが分かり、サーカスどころではなくなってしまう。サーカスを楽しみにしていた二人だったけれど、探偵だってやっぱりわくわくするもの。にわか少年探偵となった二人は、この謎に挑むのだが…。

続けて起こる殺人、なんとなく恐ろし気なぼろ屑屋、兄弟の友人である骨董屋の女性との少々奇妙なやり取り、やって来るスコットランドヤードの刑事、内務省の顧問であるミセス・ブラッドリー…。
うーむ、この奇妙なんだけど、微妙にツボを外した感のあるところは、確かにオフビートといえるのかも。若い女性ばかりを狙う切り裂き魔などといえば、割とセンセーショナルだったり、もっとえぐかったりするもんだと思うんだけど、ラストのあの部分を含めてもえぐいところはないんだよねえ。で、少年探偵+ミセス・ブラッドリーという、探偵小説もしくはミステリーであるにも関わらず、ミステリー色は薄いのです。

主眼は月が煌々と照らす中の運河だったり、少年二人の生活だったり、ぎくしゃくしていたけれど、今後は少しうまくいきそうでもあるジャックとジュリーの家庭なんじゃないかしら、と思うのです。ミステリーと思って読むと肩透かしで、その時代のイギリス少年の暮らしと思って読むほうがいいのかなー。ミセス・ブラッドリーも、ウォンドルズ・パーヴァと違って随分大人しいのよ。むしろ、サイモンの目を通してみれば、いい人だし。相変わらず、けたたましく笑ってはいるようだけれど、あんまり強烈エピソードはありません。

教会に対する考え、神に対する畏怖、彼らが通う学校、お茶の時間、食事など、なんだかねえ、イギリスの習慣がほの見えるものの、その辺の知識を持って読めば、もう少し面白いんじゃないかなぁ、と思いました。彼らはたぶん、上流階級ではなく、中流もしくは下級階級の子なのかな。それでも、わざわざ列車に乗って学校に通い、毎晩のように宿題があるんだよねえ。その辺り、ちょっと不思議だったなぁ。上流じゃないから、逆にこうなの?

amazonその他では、詩情にあふれた名作とされ、また著者グラディス・ミッチェル自身も本書がもっともお気に入りの作品なのだとか。それは彼女の子供時代を思い出させるからとのことで、サイモンは自分であり、キースは弟のレジナルドだと言明しているとのこと。というわけで、本書の肝は、この少年たちにどれだけ沿うことが出来るか、ということなのかも。最近、どうも読書の感受性が落ちてるので、ちょっと楽しめませんでした。「ウォンドルズ・パーヴァの謎」は、ミセス・ブラッドベリーのキャラが立ちまくってたので、楽しかったんだけどなぁ。
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「名探偵クマグスの冒険」/南方熊楠探偵小説

 2008-11-22-09:54
名探偵クマグスの冒険名探偵クマグスの冒険
(2008/09)
東郷 隆

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目次
ノーブルの男爵夫人
ムカデクジラの精
巨人兵の柩
清国の自動人形
妖精の鎖
妖草マンドレイク
かつて、南方熊楠という偉人がいました。
(Wikipediaにリンク
っていうのは、小説の背景として読んだり、漫画で読んだりしていました(「坂の上の雲」「日露戦争物語」)。これは、その南方熊楠のロンドン時代のお話。

「Nature」に数々の論文を寄稿し、研究生活を送る傍ら、同時代にロンドンで起こった事件にもし南方熊楠がかかわっていたとしたら? その博覧強記を生かし、きっと見事に探偵役を務めたことでしょう…。というお話なのです。孫文など実在の人物もバリバリと出てきて、実際熊楠と孫文は交友があったそうなんですね。この作者の方がどういう方なのか、良く分からないんだけど、実際、本当の事もかなり含まれているのかなぁ。

多少ね、調べたことをそのまんま書いているのかな、という感じで、正直小説としてのバランスが悪いところ、カッコ書きが興を削ぐところもないではない。

ネットで検索してみたら、朝日新聞社のこんな記事を見つけました。
 名探偵クマグスの冒険 [著]東郷隆[掲載]2008年11月9日
  [評者]唐沢俊一(作家)
  ■奇人学者がホームズばりに大活躍
 

本書の著者・東郷隆は、国学院大学で“博物館学”を学んだという経歴の持ち主なんだそうであります。もう少しこなれてくれると嬉しいなー、なんだけど、他にも著作がいっぱいあるみたい。そこでは違うのかなぁ。シャーロック・ホームズなどの探偵小説がものされた、その時代のロンドンの雰囲気を楽しむ小説ですね。

「ドン・イシドロ・パロディ 六つの難事件」/独房の探偵

 2008-03-23-18:28
ドン・イシドロ・パロディ 六つの難事件ドン・イシドロ・パロディ 六つの難事件
(2000/09)
ホルヘ・ルイス ボルヘス、アドルフォ ビオイ=カサーレス 他

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ラテンアメリカ怪談集」を読んで、ラテンアメリカ文学にも心惹かれておりました。

で、ラテンアメリカと言えば、ホルヘ・ルイス・ボルヘス(なんか、名前も回文みたいでいいよね)?と思って、くだんの「ラテンアメリカ怪談集」の中の「円環の廃墟」が良く分らなかったくせに、ボルヘスにいってみました。

とはいえ、これはアドルフォ・ビオイ=カサーレスという、これまたアルゼンチンの作家との共作であり、更に探偵小説なんですね。なので、普通に「ボルヘス!」というにはちょっと語弊があるだろうし、私の腰の引け具合もちょっと分かるかも…。ちなみに、刊行当初、二人の合作者としてのペンネーム、<H・ブストス=ドメック>名で発表されたそうです。

目次
H・ブストス=ドメック
序言

世界を支える十二宮
  Las doce figuras del mundo
ゴリアドキンの夜
  Las noches de Goliadkin
雄牛の王
  El dios de los toros
サンジャコモの計画
  Las previsiones de Sangiácomo
タデオ・リマルドの犠牲
   La Víctima de Tadeo Limardo
タイ・アンの長期にわたる探索
  La prolongada busca de Tai An

訳者解説

探偵役は、身に覚えのない殺人の罪で、二十一年の懲役刑を受け、獄中生活を続けている、元理髪店店主のイシドロ・パロディ。マテ茶をたて、静かに独房の中で暮らしている彼の元には、最初の事件、「世界を支える十二宮」の時にやって来た、おっちょこちょいの新聞記者、アキレス・モリナリを皮切りに、厄介な事件を抱えた人々が引きもきらない。

依頼人たちは、いずれも大仰な物言いが特徴と言えるでしょう。時には話題は詩や文学まで広がっていく。たいていは、殺人事件について助けを求めに来ているはずなのに! 自分のことを重要人物であると信じ切っている人々の演説(だって、ほとんどご立派な演説なのだ)を、じっと見、聞いているのが、イシドロ・パロディ。そうして、彼は依頼人たちの膨大な言葉の中から、独房に坐したままで、手品のように真実をより出して見せるのだ。

依頼人の出番は一回こっきりというわけではなく、新聞記者モリナリの口コミが次の依頼人を呼び寄せたり、「ゴリアドキンの夜」で登場し、”気取ったところはあるが、そそっかしくて人のいい愛すべき舞台俳優”と紹介されるヘルバシオ・モンテネグロに至っては、”皇女と結婚し、趣味としての犯罪捜査に明け暮れ”たり、”アメリカ大陸友好団体の地方局長”を経て”私立探偵”になってしまっています。どいつもこいつも、イシドロ・パロディの推理を自分の手柄にしてしまうのはなぜなんだ! 冤罪なんだから、刑務所から出してあげてよ~。

多くの訳注があるにも関わらず、詩や文学、作家については、面白さを与えようという効果が、私には消化し切れなかったなー。アルゼンチンの多様さ、混沌については、なんとなーく雰囲気が理解出来たようにも思うけど。

「世界を支える十二宮」に出てきた、イスラム教、ドゥルーズ派について、Wikipediaにリンク

ラテンアメリカ文学と言えば、こちらも読みたい!
七悪魔の旅七悪魔の旅
(2005/07/26)
ムヒカ・ライネス

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「百器徒然袋―風」文庫化

 2007-11-12-21:41
京極 夏彦
百器徒然袋-風 (講談社文庫 (き39-12))

新書で出てたのが、文庫化されたようなのですが、うわーい、これはまさに、「にゃんこーーー!」ではないですか。ちょっと嬉しくなったので、貼ってしまいます。

本の内容は、京極堂シリーズ外伝の探偵小説。
勿論、あの探偵榎木津が大活躍。そして、にゃんこー!なのですよーみーこ

■「百器徒然袋―風 」/にゃんこーー!!(過去の感想)

「シャーロック・ホームズの栄冠」/シャーロック・ホームズはお好き?

 2007-07-07-23:42
A.A.ミルン, 北原 尚彦, A.A. Milne
シャーロック・ホームズの栄冠
論創社

子供のころ読んだものでいえば、シャーロック・ホームズよりも、ルパンの方が好きだったし、探偵としてもホームズよりもポアロの方が好き。でも、この本を借りてきたのは、「プー」のA・A・ミルンがホームズを書いているだなんて!、と思ったから。

実は、ミルンの書いたホームズは、ほんの3ページの小品で、ちょっと拍子抜けだったのだけれど(というわけで、A.A.Milneが筆頭にきてるのは、どうかと思うんだけど)、結果的に私はこの本を楽しく読みました。有名なところでいえば、他にロス・マクドナルドによるホームズも収録されているのだけれど、これは彼が高校生の時に書いたもので、初めて活字になった作品なのだとか。ハ―ロック・ショームズにソトワン博士が活躍(?)するのだけれど、ちょっとドタバタ。作品としての出来はいまいちなのだけれど、これはこんな有名作家がホームズ・パスティーシュを書いていた!、という興味のために収録されているみたい。

目次や註を見ても、編者がとっても楽しんで、この一冊を纏め上げたことが分るのだけれど、(一般的に)有名な作家による作品でなくとも、編者の愛とお祭り的なパスティーシュ&パロディがとっても楽しい一冊でした。

面白いなぁと思ったのが、ステイトリー・ホームズに、シーク教徒のサン・ワットが活躍する、アーサー・ポージズの手によるもの。これにはジョン・ディクスン・カーの生んだヘンリー・メリヴェール卿(読んでないけど)がレギュラーで、その他にも、更に有名な名探偵たちがボロボロと出てきます! ダブル、トリプル・パロディのようで、ドタバタはしてるのだけれど、なかなか笑えます。

ホームズの気障ったらしい仕草や、病的なまでのあの推理の思考のさまも、愛溢れるパスティーシュやパロディで読むと、結構愛しいものに変わるよう。こんなにみんなに愛されるホームズって、やっぱりいいやつじゃん、などと思うのでした。

目次を見ても、かなりの量が収録されているのが分かるのだけれど、どこか一つ取り柄があって収録されてはいるものの、「ミステリ」として読んじゃうと、かなり玉石混合です。ここは、「愛」をキーワードに読み解くのがいいみたい。

目次
 序 緋色の前説
第?部 王道篇
 一等車の秘密 ロナルド・A・ノックス
 ワトスン博士の友人 E・C・ベントリー
 おばけオオカミ事件 アントニー・バウチャー
 ボー・ピープのヒツジ失踪事件 アントニー・バークリー
 シャーロックの強奪 A・A・ミルン
 真説シャーロック・ホームズの生還
        ロード・ワトスン(E・F・ベンスン&ユースタス・H・マイルズ)
 第二の収穫 ロバート・バー
第?部 もどき篇
 南洋スープ会社事件 ロス・マクドナルド
 ステイトリー・ホームズの冒険 アーサー・ポージズ
 ステイトリー・ホームズの新冒険 アーサー・ポージズ
 ステイトリー・ホームズと金属箱事件 アーサー・ポージズ
 まだらの手 ピーター・トッド
 四十四のサイン ピーター・トッド
第?部 語られざる事件篇
 疲労した船長の事件 アラン・ウィルスン
 調教された鵜の事件 オーガスト・ダーレス
 コンク-シングルトン偽造事件 ギャヴィン・ブレンド
 トスカ枢機卿事件 S・C・ロバーツ
第?部 対決篇
 シャーロック・ホームズ対デュパン アーサー・チャップマン
 シャーロック・ホームズ対勇将ジェラール 作者不詳
 シャーロック・ホームズ対007 ドナルド・スタンリー
第?部 異色篇
 犯罪者捕獲法奇譚 キャロリン・ウェルズ
 小惑星の力学 ロバート・ブロック
 サセックスの白昼夢 ベイジル・ラスボーン
 シャーロック・ホームズなんか怖くない ビル・プロンジーニ
註 七パーセントの注釈
解説 編集者最後の挨拶

「砂漠で溺れるわけにはいかない」/少年ニールの成長物語、完

 2007-04-27-23:51
 
ドン ウィンズロウ, Don Winslow, 東江 一紀
砂漠で溺れるわけにはいかない 

「ストリート・キッズ」で鮮烈な印象を残した、ニール・ケアリーのシリーズ最新刊にして最終巻。いや、手に入れたものの長らく積読してたので、最新刊といっても、2006年8月に刊行されたものなんだけど・・・。

とはいえ、それもまた翻訳に掛かった長い年月を思うと、ほぼ一瞬の出来事なのかも。本国ではほぼ年間一冊というペースで書かれたこの五作のシリーズ、日本語訳は最初は同じく年一冊ペースだったものの、完結までに十三年半・・・。訳者の方にも色々事情があったようですが、やっぱり、これ、同じペースで読みたかったよ。

「ストリート・キッズ」で、ニールがジョー・グレアムからストリート・キッズの暮らしから引き揚げられたのは、彼が十一歳の時。ニールは探偵のイロハから掃除のイロハ、正しい食生活まで、このグレアムに徹底的に仕込まれる。このニール・ケアリー・シリーズは探偵物語でもあるんだけど、このような出自によるものか、ニールはある銀行の秘密部門、<朋友会>から依頼(というか、大抵の場合、強制な気もするけど)された仕事を遂行するものの、彼は探偵の免許を持ったこともないし、専従で仕事をしたこともない。彼の望みは、こよなく愛する十八世紀の英文学を研究して暮らすこと。彼の「仕事」の部分をとりあえず脇に置くとすると、これは彼の成長物語でもある。

ニールはグレアムに素質を見出され、この探偵仕事を始めた事になっているんだけど、実際、ニールはその若さと無害な外見を生かした潜入は得意なものの、その後の首尾はいつもあまりよろしくない。腕力だってないし、信じやすい性格からか、逃してはならない人間を良く逃していたりもする。大抵の場合、普通の「探偵」は、その仕事の前後において、自らが変わることは少ないと思うのだけれど、ニールの場合、その事件に思いっきり影響を受け、傷つき、事件後には受けた傷を癒すため、隠遁生活を送っていたりもする。ま、隠遁といったところで、大抵<朋友会>からは逃れられていないんだけど・・・。そんなわけで、よーく考えるとあまり探偵業に向いているようにも思われない・・・。

さて、そんなニールが今回駆り出されたお仕事は、ラスヴェガスのホテルから、齢八十六になる老コメディアンを自宅に連れ戻せ、というもの。相手の居場所だって分かっている、送り届ける場所だって確かだ、おまけに相手は高齢の爺さんと来た、グレアムの言うとおり、楽勝の仕事に思われたのだが・・・。その爺さん、ネイサン・シルヴァースタイン、若しくはナッティ・シルヴァーはのらりくらりとニールをはぐらかし、とうとうニールを撒いてしまう! 

今回のニールの個人的な事情としては、彼は二ヶ月後に「高く孤独な道を行け」で出会ったカレンとの挙式を控えている。そのことは彼にとっても大変結構なことなのだけれど、無性に子供を欲しがるようになったカレンに困惑し、そのことで互いにギクシャクしたまま、この事件のためにカレンと暮らす家を離れる事になる。ナッティを連れ戻しにいっても、頭はカレンと子供の事でいっぱい。もしかしたら気付けたかもしれないヒントをことごとく見逃した結果、ニールはナッティに逃げられ、どうしても自宅に帰りたがらないナッティの事情に気づく事がない。

老コメディアンであるナッティの昔話、ナッティとホープの関係など、最初はうんざりしていたものの、ニールは人生の先達として、彼らを尊重というか、ある意味では尊敬するようになる。そして、ニールが何よりも恐れる「子供を作る」ということ。彼の母親は麻薬中毒の売春婦であり、父親は母親の客の一人にして、顔も名前も分からない。ニールには家庭が分からないし、そもそも自分が父親になれる自信だってない・・・。そのニールの心が、この老コメディアンとの旅路の中で、少しずつ動いていく所が今回の見所でしょうか。

「ストリート・キッズ」から始まったニールの旅も、随分遠くに来たような気がします。しかし、「ニールの成長記」として読むなら尚更、もっと速いペースで読みたかったな、と思うのでした・・・。ストリート・キッズ」にて、ジョー・グレアムに出会って擬似的な親子関係を結び、最終巻の「砂漠で溺れるわけにはいかない」にて、こわごわと家庭に向けて一歩を踏み出す。新たなニールシリーズを読むことはもうないわけだけれど、ニールの今後の人生が幸せであるといいな、と思う。

   
←シリーズのその他四作。このシリーズは装丁とタイトルも魅力の一つ。

「犬はどこだ」/二十五歳、犬探し専門(希望)の私立探偵紺屋。最初の事件

 2007-01-11-23:12
犬はどこだ (ミステリ・フロンティア)犬はどこだ (ミステリ・フロンティア)
(2005/07/21)
米澤 穂信

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何とか持ちこたえようとしたものの、力及ばず、糸がぷつりと切れたように、退職した「私」こと紺屋。東京のアパートを引き払って地元に戻り、約半年間のほぼ引きこもり生活を終え、彼が起したのは犬専門の調査会社。<紺屋S&R(サーチ&レスキュー)>。

ところが、地元の友人、町役場に勤める大南が気を利かせたお陰で、図らずも町の老人たちの間に「探偵さん」として宣伝されてしまったよう。持ち込まれたのは若い女性の失踪事件に、神社に伝わる古文書の解読。さらには、探偵に憧れる、高校時代の後輩、ハンペーこと半田平吉までもが、雇ってくれと<紺屋S&R>に現れて・・・。犬を探すはずだったのに・・・。犬はどこだ??

失踪人、佐久良桐子の足跡を辿るのは紺屋、愛車ドゥカティM400を駆って、古文書の由来を調査するのは、ハンペー。彼らはそれぞれのやり方で、担当した事件に迫る。

理知的で自らを頼むところが強かった桐子は、なぜ失踪したのか? 浮かび上がって来た彼女の姿に、紺屋は心ならずも退職せざるを得なかった、自らの姿を重ねるようになる。ハンペーにはやる気がないと評され、身体は疲れやすく、また仕事としての興味しか持てなかった桐子の失踪について、紺屋は血の通った人間としての興味を持ち始める。

さて、桐子を追うのは、紺屋一人ではなかった。彼女をネット上で追い詰めた、ストーカーの姿が紺屋にもくっきりと見えるようになる。そして、その間、ハンペーは何をしていたかというと、図書館や地元の老人を訪ね、ちゃらんぽらんな見かけによらず、きっちりと古文書の由来に迫っていた。両方の進捗を読んでいる読者には直ぐに分かるけれど、彼ら二人は最後までそれぞれが追うものの関連に気付かない。

ハンペーが追う古文書によれば、中世、戦国の世の人々は、ただ略取されるだけの存在ではなかった。時と場合によっては武器を取り、傭兵を雇い入れる「自力次第」の世界。民衆が常に弱く、虐げられる存在であると誰が決めた? それはまた、紺屋が追う桐子についてもいえる事。
そして、実に鮮やかな反転

最後はちょっとビターな味わい(探偵は警察ではないので、こういう物語もたまにはあるけど)。

春期限定いちごタルト事件 」、「夏期限定トロピカルパフェ事件 」などのほのぼのミステリから、米澤さんに入ったので、このビターなラストはちょっと意外だったけど、概ね楽しく読みました。
私立探偵紺屋、「最初の」事件ってことは、続編も出ると期待してもいいのだよね。

ハンペーのキャラもいいし、妹夫婦が営む喫茶店、<D&G(ドリッパー&グリッパー)>、彼らのキャラもいい感じ。未だ顔の見えないチャット相手の友人、<GEN>(紺屋のHNは<白袴>!)についても、追々明かされたりするのかな。

「百器徒然袋―風」/にゃんこーー!!

 2006-12-08-21:55
京極 夏彦
百器徒然袋 風

京極堂シリーズ外伝、探偵小説でありまするよ。でも、にゃんこー!な本なのです。

目次
五徳猫
雲外鏡
面霊気

さて、京極堂シリーズで探偵といえば、いわずと知れた彼、榎木津のこと! 薔薇十字探偵社などという、派手派手しくも人を食った名前が、あんなに似合うのも彼ならでは。前作の「雨」を読んでから、えらく時間が経ってしまったので、これは印象のみなんだけど、「五徳猫」「霊外鏡」あたりまでは、前作に比べ榎木津大活躍という感じではなく、自他共に認める凡人、図面引きの本島が訥々と語る感じだったのです。いや、違うな、良く読んだら榎木津は「殲滅」とか云ってふふんと笑ってるし、いつもの通り大暴れしてるんだけど、どうもこの本島の語り口が鬱々としてるんだな。

しかし、私はこの探偵小説には、榎木津大活躍!を求めているわけで、ずっと何か違う・・・、と思いながら読んでたんだけど、最後の「面霊気」において、やっぱりやってくれましたよ。そうだよね、榎木津だもんね、こうじゃなくっちゃ。本島の語り口を超えて、ドカーンと爆発しておりますよ。しかも、「にゃんこ」で。笑 自分の中で、何となくそれまで抑えられていただけに、最後のドカーン!に満足、満足でありました。

しかし、京極堂シリーズにおける凡人といえば、関口も他の濃いメンバーに比べると、どっちかというと凡人だと思ってたんだけど、あれはあれで「凡人」とは違うんだな、きっと。ぐるぐるの仕方が、この本島などと比べると非凡だもの。

こちらの語り手、本島は凡人、凡人と自分に言い聞かせ、また他の面子にも面と向かって凡人と言われているんだけど、「あの」探偵、榎木津と関わってしまったお陰で、色々と非凡な目に遭ってしまう。その災難がこの本のお語。お話によっては、榎木津を釣るイソメのように、釣り餌として拉致された挙句、すっとこどっこいな体験をしていたりもする。中禅寺が言うとおり、やっぱり「榎木津なんかと付き合うと大変な勢いで馬鹿になる」んですかね。馬鹿というか、非常識で現実離れした出来事が、物凄い勢いで起こるのだ。

でも、ラスト「面霊気」はいいよ。ガキ大将はたとえ我侭であっても、子分どもを従えて、好き勝手にやるだけが仕事じゃないんだよね。人を人とを思わぬ榎木津(というか、大抵の人間は彼にとっては只の「下僕」)だけど、こういうところがあるから、皆なんだかんだ云って、彼についていってしまうんだよなぁ、きっと。

「面霊気」は私のお気に入りのキャラ、益田が酷い目にあってるのも面白かった~。益田ってあの性格だから、いじられてこそ生きる気も。なんてったって、自ら認める卑怯だし。追い詰められて、前髪を揺らす益田氏、好きです。笑 カマオロカですらなく、ナキヤマ呼ばわりされてるけど。そして、「邪魅の雫 」の乗馬鞭が出てきましたねー! 全く、あんなもん買うからさ・・・・。笑?

「わたしたちが孤児だったころ」/揺らぐ世界の中で・・・・

 2006-11-29-21:57
カズオ イシグロ, Kazuo Ishiguro, 入江 真佐子
わたしたちが孤児だったころ

わたしを離さないで 」のカズオ・イシグロ熱が冷めやらないまま、読んでみました、こちらの一冊。上海の租界で育ったイギリス人、ロンドンの社交界、私立探偵・・・と、私が好きな要素が詰まっていたので、「わたしは~」の次の一冊に選んだんだけど、流石カズオ・イシグロ。一筋縄ではいかない感じでありました。

目次
PART? 1930年7月24日 ロンドン
PART? 1931年5月15日 ロンドン
PART? 1937年4月12日 ロンドン
PART? 1937年9月20日 上海、キャセイ・ホテル
PART? 1937年9月29日 上海、キャセイ・ホテル
PART? 1937年10月20日 上海、キャセイ・ホテル
PART? 1958年11月14日 ロンドン
訳者あとがき

主人公は、クリストファー・バンクス(幼少時のニックネームはパフィン)というイギリス人男性。幼少時を上海の租界で過ごした彼は、十歳にして両親を失う。父と母が別々に失踪を遂げたのだ。クリストファーはイギリスに住む裕福な伯母の元へと、ひとり送り返されることになる・・・。

寄宿学校とケンブリッジ大学を順調に卒業した彼は、いよいよ兼ねてからの計画に乗り出すことになる。それは、私立探偵になるということ。これは、勿論ついに行方が知れなかった彼の両親の事と無縁ではない。そう、上海での最後の幼き日々、隣家の少年、アキラと父を探す警官ごっこをしたように。

私立探偵としてこちらも順調に名を上げた彼は、いよいよ満を侍して上海に乗り込むことになる。強い倫理観を持つ気高く美しい母は、イギリスの企業がアヘン貿易に手を染めている事に対していつも憤っていた。その企業には、夫が勤め、彼ら一家の生活を支えていた企業までもが含まれていたのだが・・・。

クリストファーは母の強い倫理観や、その母に応えようとする父の行動が、謎の失踪事件に関わっていると考え、事件から20年以上が経過しているにも関わらず、両親の無事を疑わない。そう、彼らはきっとどこかに幽閉されているだけであり、探偵として力をつけて来た彼の力をもってすれば、事件は解決するはずなのだ。また、クリストファーが乗り込んだ上海の社交界の人々も、彼の快挙を疑わないように見えるのだが・・・。
語り手はクリストファーなのだけれど、読者はこの語り手をどこまで信用していいのか分からない。最初からちらほら覗く、彼の主観と客観とのズレが、段々大きくなってくるようでもある。臨場感溢れる今現在の供述のようでいて、「とはいえ、これは~年(日)前のことだ」というように、読者はそれが既に起こってしまった事の回想であることを後から知る。そう、読んでいる内に、世界はどんどん揺らいでいくのだ。

20数年前のたった二人が消えた事件を、世の人々はいつまで覚えているものなのだろうか? 本当に彼らの無事を信じているのだろうか? そして、クリストファーが、自身に寄せられていると信じている期待は本物なのか? 既に日中戦争が始まっており、優雅で怠惰な上海租界の社交界で行われるパーティーの外では、日本軍による爆撃が光る。悪と戦ってきた私立探偵は、この状況をも、たった一人で変えられるというのだろうか。

わたしたちが孤児だったころ。この作品に出てくる孤児は、三人。クリストファー自身。クリストファーが惹かれる女性、サラ。クリストファーが引き取った、身寄りのない少女、ジェニファー。何かの証を立てたいと必死に願っていたサラは、既に引退しようとしていた名士、セシルとの婚姻にその証を得た。ジェニファーは両親がいないことなど物ともせぬような、生気あふれる賢い少女であったが・・・。

わたしたちが孤児だったころ。訳者あとがきのイシグロの言葉にもあるように、「過去にこのような強いトラウマを持たないふつうの人々も、親の庇護のもとでぬくぬくと暮らしていたところから巣立ち、初めて現実の世界に立ち向かったとき、世界とは親から聞かされていたようなすばらしいところでは決してないという事実に直面させられる。突然、世間の荒波の中に放り出されたわたしたちも、言ってみればみな孤児のような時期を経験している」。私たちが、大人の庇護なくして初めて世界に打って出る時、そのとき、私たちはイシグロの言うように、世界に対して無力な孤児なのかもしれない。世界は子供の頃信じていたような、若しくは信じ込まされていたような、温かい、明るい場所だけではない。そして、その外の世界から見れば、個人にとって重要だった出来事も、それは瑣末な出来事になってしまう。

しかし、そうであっても尚、やはり個人にとって重要なことは、その個人にとっては大切な事である。孤児として世に出る私たちは、そこでまた新たな関係性を形作っていくものなのかもしれない。ラスト、養女ジェニファーにも何か良くないことが起こった事が示唆され、もう彼女は生気に溢れた少女ではないことが知れる。それでも、ここまで形作ってきたジェニファーとクリストファーの絆は温かい。
いや、やっぱり良かったですよ、カズオ・イシグロ。さて、次は何を読もうかな~。

 ← こちら文庫。

■カズオ・イシグロの感想
・「
わたしを離さないで 」/この無慈悲な世界の中で ← これにて瞠目
・「
わたしたちが孤児だったころ 」/揺らぐ世界の中で・・・・
・「
女たちの遠い夏 」/陽炎のようなあの夏の思い出・・・(もしくは、「遠い山なみの光」)


*臙脂色の部分は引用を行っております。何か問題がございましたら、ご連絡ください。

「吃逆」/探偵はしゃっくり癖の進士様!

 2006-10-29-21:17
?
森福 都 吃逆 ?

時代は宋朝。第二百七十四位で科挙の試験に合格した私こと陸文挙は、合格はしたもののそれは第五甲という下位での合格であり、これでは仕官さえ儘ならない。ところが、陸には奇妙な特技があった。それは、吃逆(しゃっくり)と共にやって来る白昼夢とも言うべきか? しゃっくりをするた度に、彼には奇妙な光景が見えたり、とんでもない思い付きが浮かんで来るのだ。

さて、彼の奇癖を知った周季和という男から、『?話小報』なる小冊子の偵探としてスカウトされた陸。陸は周とともに、開封の都を騒がす噂の謎に迫り、いつしか付いた渾名は「吃逆偵探」。進士様の箔を借りた『?話小報』であるが、編集人である周季和の切れ者ぶりは凄まじく、実際はどちらが「偵探」なのか分からなかったりもするのだが・・・・。

勿論、男ばかりが出てくるむさ苦しい話ではない。物語を彩るのは、陸が惚れ込む、珠子楼の看板厨娘、宋蓬仙。陸の想いを知ってか知らずか、宋蓬仙と周季和には浅からぬ因縁があるようでもある。陸の想いは、蓬仙の想いは果たして実を結ぶのか?

目次
綵楼歓門
紅蓮夫人
鬼市子

「綵楼歓門」
男女の投身現場に偶然にも居合わせた陸。それを知った周季和から、偵探役を請われた陸は、周とともに投身の謎に迫る。この男女の投身事件には、それ以前にあった二人の妓女の投身にも関係しているようで・・・。
吃逆偵探として名を馳せた陸は、開封府知事の劉公に面会叶い、司理参軍として念願の仕官がかなう事になる。しかし、これもまた、実は周季和の引いた絵の中にあったのかもしれない。

「紅蓮夫人」
天子が鑑賞する水上演芸、「水百戯」に抜擢されるのは非常に名誉な事。梁大礼使による大選抜会に召しだされた、若手絡繰師の干敏求が操る絡繰人形は、「紅蓮夫人」という名の妖艶な人形だった。ところが、人形とともに、蓬莱島の雲輝亭に唯二人、取り残される事を望んだ梁大礼使が、何と刺殺されてしまう!
どこか尋常ならざる色欲を持っていたと評判の梁大礼使、彼は人形の唇を貪り、あまつさえ人形に挑みかかったのか。梁大礼使を殺したのは、人形の首から弾け飛んだ鉄線なのか? 常とは違う様子の周季和に、心を痛める宋蓬仙。そうとなれば、勿論「吃逆偵探」陸文挙も黙ってはおられないわけで・・・。
母親の影響ゆえか、悪女であればある程、心惹かれてしまうという周季和。泥土の中から必死に頭を擡げる蓮のような「紅蓮夫人」が哀しい。

「鬼市子」
鬼市子とは幽霊市のこと。冥界での必需品を整えるために、亡者同士が取引を行うとされる場所。五更の街鼓前から露店が立ち並び、夜が明ける頃には畳まれるという、旧鄭門の前で行われる市を、周とともに訪れた陸文挙。それは、盗品や世にも不思議な珍獣の宝庫であるという、市の風聞を確かめるためであった。
さて、周季和一筋であるかと思われた宋蓬仙に、籠物商の男、賀延賢という影がちらちらと見え、陸文挙は気が気ではないが・・・。
また、都の名物夫人、王夫人の死から始まった事件は、思わぬ余波を引き起こす。その昔の皇后、郭后の死や、呂宰相、陸の上司である劉公をも捲き込んだ噂となる。

綵楼歓門あたりは、「吃逆」の出番があまりにも多いため、ん?と思われる向きもあるかもしれませんが、紅蓮夫人からはきっとこの物語に引き込まれるはず! ここに至っても、うーむ、今ひとつ、と思われても、これは是非、鬼市子まできっちり読んで欲しい物語。あちらこちらに散りばめられたピースがぴたぴたと嵌まる様はまさに快感。こういうのに弱いんだよな。陸文挙が見た白昼夢、白い猿がするすると木を登る様子も印象深い。

どこまでもお人よしの一途な男、陸文挙、眉目秀麗であるけれど、どこか幸薄そうな周季和。どちらに肩入れして読むかは人それぞれだとは思いますが、私は最後に至って周季和の魅力にヤラれました。んふふ、こういう陰のある色男もいいよなぁ。続きも読みたいところなんですが、続編はないのですかね? 陸文挙の思いは果たして届くのかなー。

 ← こちらは文庫

「親不孝通りディテクティブ」/ストリートの探偵コンビ

 2006-05-13-19:48
 
北森 鴻
親不孝通りディテクティブ 

目次
セヴンス・ヘヴン
地下街のロビンソン
夏のおでかけ
ハードラック・ナイト
親不孝通りディテクティブ
センチメンタル・ドライバー

最近、民族学を絡めた蓮丈那智シリーズ や、旗師・冬狐堂シリーズ から、微妙に北森鴻氏にはまっているワタクシ。今回は、図書館にあったのでこちらの本を。

しかし、北森さんってすっごい多作な方なんですね。amazon見に行っても、たっくさーんの著作が出てくるですよ。

さて、これは蓮丈那智シリーズや、冬狐堂シリーズとは異なり、民族学、美術品も出てこないし、主たる登場人物だって、大人の女性ではなく、博多っ子の若い男性。多作でもあり、守備範囲もイロイロなのねと、ちと感心。


「親不孝通りディテクティブ」までは、何というか池袋の街にはマコトが!、博多は天神、親不孝通りにはテッキとキュータのコンビがいる!、という感じでバサバサと地元で起こった事件を解決していくスタイル。マコトの方が若いけれども、ストリート探偵モノといった趣き。基本的にはお金にならない仕事だし、厄介ごとを持ち込まれて、それを解決していく感じ。謎解きというよりも、街の雰囲気や、登場人物の会話、行動なんかを楽しむ所も、IWGPシリーズと似た印象を受ける。

「俺」ことテッキは若い頃は東京にいたけれど、何かをやらかして博多に舞い戻ってきたらしい、哲学科くずれのちょっと一家言ありそうな、二十代も後半の屋台のオヤジ。屋台といってもおでんにラーメンに、カクテルが出てくる所等、少々洒落てもいるのかも(とはいえ、不評のカクテルも多いんだけど)。

二十代後半にしては少々落ち着きすぎたテッキとコンビを組むのは、お調子者で愛に生きる結婚相談所の調査員、こちらはおそらくずっと地元っ子、バリバリの博多弁を操るキュータ。

高校時代からの腐れ縁、テッキとキュータは、持ち込まれた厄介事をそれぞれのやり方で解決していく。「俺(テッキ)」と「オレ(キュータ)」の一人称が、章毎に交互に続くスタイル。脇を固めるのは、二人の高校時代の恩師であり、今はキュータの勤める結婚相談所の代表である、「オフクロ」こと華岡妙子。一癖も二癖もありそうな、博多署の悪徳刑事、ライブハウス《セブン》の経営者にしてシンガー《歌姫》などなど。

(以下、ネタバレ)
これ、なかなか顔ぶれも面白いし、シリーズ化も出来ちゃうんじゃないの?、とも思うんだけれど、「センチメンタル・ドライバー」に至って、テッキは後戻りできない事をしてしまうんだなー。そして、彼は博多の街から姿を消してしまう。IWGPシリーズで、マコトにも似たような事はあったと思うんだけれど(?の「水のなかの目」ね)、彼の場合はあくまで直接手を下したわけではないからなー。ま、こういったスタイルの物語では、探偵が当事者になってしまうのは、なかなかにむつかしいもの

最後の章まではいい調子で読んでいたんだけれど、最後がかなーり苦かったです。もっと他の方法はなかったんかい、とちょっと切ない・・・。ま、やせ我慢でハードボイルドチックな、テッキらしくはあるんだけれどさ。などと考えてしまう辺り、またしてもそれなりにはまったのかもしれませんが。

最後苦いし、力いっぱい面白かった!、とは言えないんだけれど、途中までは博多弁も、福岡の街の雰囲気も、ちょっとした裏の雰囲気も楽しく読んだ。あの終わり方は何だか勿体無いよ、と私は思う。

「カーテン」/企画参加「名探偵で行こう!」

 2005-11-01-10:02

「手当たり次第の本棚」 のとらさんの企画、「名探偵で行こう!」。?

前回は「女性探偵物」を上げたのですが、やっぱり私の名探偵の本命は、灰色の脳細胞を持つ、ベルギーの小男、エルキュール・ポアロ!
今日はポアロで、この企画に再挑戦したいと思います。
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前回までのおさらい
■とらさんの記事はこちら
テーマ企画!「名探偵で行こう!」(参加募集)
■私の関連記事は、以下の二本です。
→「女には向かない職業」/企画参加「名探偵で行こう!」
→「アガサ・クリスティーの食卓」/企画「名探偵で行こう!」番外編
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それでは、設問に入ります。

■Q1 現時点で一番好きな名探偵は、いったい、誰(1名限定)
    理由もあげてね

既に書きましたが、やっぱりエルキュール・ポアロ!自尊心が人一倍強くて洒落者、人間観察にもおさおさ怠り無い所が好きです。
ポアロにかかれば、日の下であればどこでも、「犯罪の現場」にふさわしくなってしまう。例えば、休暇中の美しくロマンチックで平和な小島、例えば家族が集まるクリスマス、例えば、平和、善意の精神、若しくは偽善が支配するクリスマスシーズン。

 休暇で来ているということは、そこに存在する理由が不必要だという意味で、犯罪現場にふさわしい。
 離れ離れの家族が集まるということは、ある種の精神的緊張が増長する。
 楽しい気分であるべきクリスマスは、大いに飲み食いして肉体的不快感が高まる季節でもある。
 

人間に対する好奇心で、自慢のお髭をぴくぴくしているイメージがあります。

映像化したもので言えば、やっぱりデビット・スーシェ。
尊大な態度と、悪戯っぽくきらきら光る瞳、まあるい頭が、ポアロそのものだったように思います。

■Q2 その名探偵が関係した事件で一番印象深かったものは何
    (1作限定)

印象深いのは、ポアロの最後の事件である、「カーテン」
何と言っても、これは「最後の事件」であります。読む前には、相当迷ったのですが、誘惑に耐え切れず読んでしまった。随分前に読んだのですが、幸いなことに、ポアロに対する愛情は薄れませんでした。


「カーテン」の舞台は、スタイルズ荘。語りは御馴染み、ヘイスティングズ大尉。勿論、長い時が経ったので、スタイルズ荘やその周辺の変化も容赦なく描かれる。しかし何と言っても、一番容赦が無いのは、ポアロの風貌に関する記述(ここでは、引用はしませんが)。

外観は昔とすこしも変っていないが、どうみても化粧直しが必要なようだった(p10)。
安っぽい現代風の家具がいれてあって、これには少々うんざりした。私ならば、家の建築様式にふさわしいものを選ぶのだが(p15)。
老齢による惨めさほどいたましものはないと思う。私の気の毒な友。いままで私は彼の風貌をいくどとなく描いてきた。いまはただ昔と違ったところだけを述べよう(p16)。

クリスティ女史には、時々「そこまで書くか?」「自分で創り出した人物に愛情が無いのか?」と思ってしまうような、容赦の無い筆致が見られますよね。でも、ここまで書くからこそ、アガサ・クリスティは「女王」なんでしょうね。

「カーテン」では老齢のポアロが描かれます。おろおろするヘイスティングズ大尉の語りに騙されそうになりますが、肉体は衰えても、ポアロの頭脳は衰えてはいません。

■Q3 その名探偵を支える脇役(常連キャラ)の中で好きなキャラは?
    (1名限定)

ヘイスティングズ大尉。「わが友(モナミ)ヘイスティングズ」。
ポアロはいつもヘイスティングズを馬鹿にしていたようにも見えるけれど、あれもまたポアロなりの愛情表現なのだろうなぁ、と思う。

さよう(メ・ウイ)、フェアプレイだ!きみはいつも私のやり方がフェアじゃないと非難したが、そんなことはない。きみにはフェアプレイで終始した。きみは努力すれば報いられたはずなのだ。私はルール違反などしていない。真相を知る機会はことごとくきみに与えられていたのだ。

なにしろきみはあまりにも信じやすい男だから・・・・・・
あまりにも人がよすぎるから・・・・・・

上の二つの部分は「カーテン」からの引用ですが、基本的なスタンスは上のそれだろうし、ポアロは下のようなヘイスティングズの実直さを愛したのだろうな、と思う。

■Q4 その名探偵が物語中で飲食していたもののうち、お相伴したい
    ものは?(1品限定)

ホットチョコレートもいいな、と思うのですが、せっかく「アガサ・クリスティーの食卓」を読んで思い出したので、クリスマス・プディングにします。

でも、ベルギーチョコを食べると、「ふふふ、ポアロ。美味しいよ」と怪しく呟きたくなってしまいます。ベルギービールも美味。

■Q5 次に記事を書いてもらいたい人を1名指名のこと(指名しなくても可)

やってみたいと思う方がいらしたら、是非どうぞ!
トラックバック、お待ちしてます♪

アガサ・クリスティー, 中村 能三
カーテン―ポアロ最後の事件
北野 佐久子
アガサ・クリスティーの食卓

ハピネット・ピクチャーズ
名探偵ポワロ DVD-BOX1

*臙脂色の文字の部分は、引用を行っております。何か問題がございましたら、ご連絡ください。

「ローズガーデン」/混沌の中にあるもの

 2005-10-24-09:13
桐野夏生「ローズガーデン」

村野ミロシリーズの、何だか気だるい短編集。
ミロの前半のシリーズ、「顔に降りかかる雨」などに見られるハードボイルド色よりも、混沌として妖しい気配に満ち溢れた「ダーク」よりの物語。

目次
ローズガーデン
漂う魂
独りにしないで
愛のトンネル

■「ローズガーデン」
ミロの夫、博夫はインドネシアで、僻地への営業を勤めながら、高校時代のミロと自分を思う。年上の女とばかり付き合っていた博夫は、ミロの持つアンバランスな気配に気付く。

ミロが俺の目をじっと見つめた。冷めていて熱い。そこに見え隠れする関心と無関心。ああ、こいつもやはりあの手の女だ。間違いない。

誘われて訪れた、ミロが父親と二人で暮らす家には、荒れ放題の庭のそこかしこに薔薇が咲き乱れていた。ミロの言葉に背徳を覚え、そのインモラルさに興奮する博夫。
ミロと結婚することで、博夫はミロの昼も夜も手に入れるが、愛した混沌を永遠に失ってしまった博夫は、それを求めて彷徨う事になる。

ここで高校時代のミロが話すことが真実なのかどうか、それはどちらにもとることが出来るように思う。村野ミロのデビュー作、「顔に降りかかる雨」では既に自死を選んでいる博夫
「ローズガーデン」はミロシリーズに更に妖しい奥行きを与える物語。
混沌としたジャカルタの描写もいい。

■「漂う魂」
ミロの住むマンションに幽霊騒ぎが持ち上がる。探偵業を営むミロは、管理会社から幽霊騒ぎの調査を正式に依頼される。

人の悪意の怖さを感じるお話。

■「独りにしないで」
ある夜ミロは、あまりにも不釣合いなカップルに出会う。女は類稀れな程美しく、男は平凡で地味で冴えない。びっくりするほど美しい女は、中国人のホステスだった。偶然、冴えない平凡な男・宮下に再会したミロは、美しい女「有美」の気持ちを確かめて欲しいと依頼される。他人の気持ちを計るのは不可能だと、依頼を断ったミロだが、一週間後宮下は殺されてしまう。宮下は一体何に触れてしまったのか?

ミロが受けていた他の依頼の話も絡め、「愛」の難しさを描く。

■「愛のトンネル」
ホームの巻き添え転落事故で、娘、恵を亡くしたばかりの男性が、ミロの事務所にやって来た。平凡に暮らしているものとばかり思っていた娘が、なんと「女王」業で貯めた二千五百万円で、SMクラブの経営権を購入していたのだ。ミロは男の妻と末の娘が恵のアパートを片付ける前に、「その手の物」を取り除いておくよう依頼される。
ごく簡単な仕事のはずだったのに、後手に回ってしまったミロは、荒らされた恵の部屋と対面することになる。父親から見ると、天使のように優しく、おとなしくいい子だった恵。

「天使のような」彼女の優しさは、何に向けられていたのか。
彼女の周囲の人々は、その「優しさ」をどう受け止めていたのか。
*******************************************
どれもこれも、人の心の複雑怪奇さに迫るような物語。
すっきりするような話ではないのだけれど、たまにはこんな心の中を覗いてみるのも悪くはないかもしれない。ただし、一編一編は短いけれども、どれもこれも結構ずーんと来ます。

桐野 夏生
ローズガーデン

*臙脂色の文字の部分は本文中より引用を行っております。何か問題がございましたら、ご連絡ください。

「心とろかすような」/探偵物語

 2005-10-17-15:08
宮部みゆき「心とろかすような」

探偵事務所を舞台としているけれど、主人公は人間ではない。ちょっと変形の探偵物語。主人公は、蓮見探偵事務所の用心犬、元警察犬であるジャーマン・シェパードの老犬・マサ。 「パーフェクト・ブルー」の番外編にあたるものだけれど、事件としてはあまり好みではないので、こちらをあげたい(ただし、タイトルの響きと登場人物は好き)。

心とろかすような
てのひらの森の下で
白い騎士は歌う
マサ、留守番する
マサの弁明

以上、五つの事件がマサの目線から語られる。主たる登場人物は、蓮見探偵事務所の所長・蓮見浩一郎、浩一郎の長女で短大卒業後、父親の許で女性調査員として働き始めた加代子(加代ちゃん)、次女の高校生糸子(糸ちゃん)、パーフェクト・ブルー」で蓮見一家と親しくなった、諸岡進也。

■心とろかすような
俺はそんなに頭の固い方じゃない。少なくとも若者を理解しようと努めてはいる。しかし、ことが蓮見姉妹にかかわるとなると、俺は断然感情的になってしまうのである。
ことわっておくが、糸ちゃんは十七歳である。
乙女である。
俺は頭にくる。
諸岡進也の野郎は、俺の糸ちゃんと、こともあろうに朝帰りをやらかしやがったのだ。

糸ちゃんと、進也が巻き込まれた事件とは?「心とろかすような」笑顔が恐ろしいお話。

■てのひらの森の下で
俺がちゃんと散歩する犬であり、加代ちゃんが時間に几帳面であるばっかりに巻き込まれた事件の話だ。

散歩の途中見つけた死体が消えてしまった。死体はどこに?

本筋とは離れるけれど、ここの部分も好き。
彼女がいつもきちんと束ねている長い髪を、俺は「加代ちゃんのしっぽ」と呼んでいる。とてもきれいなしっぽだ。彼女はデビューしたばかりの若いサラブレッドに似ている。そのひたむきさも、目の輝きも、活動しているときにもっとも美しく見えるところも。

■白い騎士は歌う
俺はしっぽで床をぽんと打った。加代ちゃんがにっこりした。
「マサが『引き受けた』と申しました。わたしのパートナーなんですよ」
友恵さんが見おろしたので、俺は耳をピンと立てた。

依頼は、指名手配中の弟を探して欲しいというもの。彼が残した「白い騎士」という言葉の意味とは?

■マサ、留守番する
「ペットホテルを―」
加代ちゃんが言いかけ、俺がうううと唸るのを聞きつけて、「―探してみようか」という言葉を呑み込んだ。察しのいい女性である。俺は何が嫌だってあんなところに泊まるのは絶対に嫌だ。あんなところに預けられるくらいなら、野良になってワイルドな生き方をしてやる。

マサが留守番中の蓮見探偵事務所に、五羽のウサギが捨てられた。時同じくして、近所の水上公園では、ひったくりやカツあげが頻発し、ついには変死体が発見される。慰安旅行中なので、いつもの蓮見家のメンバーの出番はほとんどなく、今回マサに協力するのは地域の動物たち。可哀相なハラショウ、ちょっとイカれた話し方のカラスのアインシュタインなどが印象深い。

■マサの弁明
ここには宮部さんご本人が登場する(ただし、あくまでもこれは創作)。

最近、すっかり猫に心を奪われているけれど、犬もいいよね、と思う本です。

 ←私が持っているのはこちら
宮部 みゆき
心とろかすような―マサの事件簿
 ←こちらは文庫。でもハードの表紙の方が好きだなぁ

*臙脂色の文字の部分は本文中より引用を行っております。何か問題がございましたら、ご連絡ください。

「女に向いている職業」/現代の探偵業

 2005-09-27-08:35
ヴァル・マクダーミド、高橋佳奈子訳
 「女に向いている職業 A SUITABLE JOB FOR A WOMAN」

物議を醸しそうなタイトルではあるけれど、これは勿論P.D.ジェイムズ
「女には向かない職業」
(1972年デビュー)を受けてのタイトルだ。

私は知らなかったのだけれど、巻末の解説によると、この本の著者であるヴァル・マクダミードは、「作家として十七年あまりのキャリアをもち、一九九五年には、『殺しの儀式』で、英国推理作家協会のゴールドダガー賞を受賞し、現在、最も期待されているイギリスのミステリ作家の一人」なんだそうだ(ジャーナリストであるリンジー・シリーズと、私立探偵ケイト・ブラニガンシリーズを物しているそう)。

本書はジャーナリストとして長い経歴を持つ著者が、フィクションを離れ、英米を中心に、実際に私立探偵として働いている数多くの女性たちを取材して書き上げたノンフィクション

目次
プロローグ
1 きっかけは
2 同じ言葉を話していても
3 最初の仕事
4 ワンダーウーマン
5 大の男を相手にして
6 仕事について
7 射撃練習
8 犯罪の要素
9 スパイとして
10 人間的な部分
11 潜伏して
12 法組織との関係
13 テクノ、テクノ、テクノ
14 女性への暴力に立ち向かう女性
15 仕事の影響
16 事実は小説より奇なり

著者はフェミニストであることを明言しており、若干「女性の視点」「女性の特質」に拘る傾向が鼻につくかもしれないけれど、豊富な事例でイギリス、アメリカにおける「現代の探偵業」というものが良く分かる本。

サラ・パレッキーのV.I.ウォーショースキー・シリーズで、化学会社などの企業が多く出てくるのが、いつも不思議だったのだけれど、この現代の探偵たちの仕事を読んで、雰囲気を知ることが出来た。子供の頃に読んだ、少女探偵ナンシー・ドルーの話が少し出てきたことは、ちょっとした喜びだった。懐かしい!
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以下、引用

犯罪小説でこの問題がリアルに描かれることはあまりない。小説の中の卑しい街を闊歩する女探偵たちは、その都度異常なほど叩きのめされるのだが、信じられないぐらい即座に傷が癒えるばかりか、実際の暴力の被害者なら誰しも知っている精神的な後遺症に苦しむ事もないのだ。
サンドラ・サザーランドも同じ意見だ。「サラ・パレッキーの小説は大好きだったわ。でもどの本を読んでも、V.I.ウォーショースキーが叩きのめされては何ごともなかったかのようにすぐまた行動を起こすあたりは気に入らないわね。わたしは実際に暴力を受けた経験のある数少ない私立探偵の一人だけど、拳銃の音やら何やらの記憶を完全に乗り越えることはできないのよ」

実際、サラ・パレッキーの小説の中で、ヴィクはいつも徹底的に痛めつけられる。顔にも身体にも痣を作り、打撲の痛みに耐えながら、調査活動を続行している。うーん、私は結構リアルなのでは、と思っていたのだけれど、そういえばヴィクは精神的にとてもタフで、何が起こっても決して諦めず、そのまま喰らいついていく。実際に暴力にあったら、このトラウマを克服するのは難しいこと。

小説のヒロインと実在の女探偵の違いがはっきりと現れているのは、他人との関係だろう。犯罪小説を読みながら、たまにヒロインの肩をつかんで揺さ振り、「ちゃんと生活しなさいよ!」と言ってやりたくなることがある。どんな友情も維持できないヒロインが多すぎるからだ。

現実の世界の女探偵たちのほとんどは子持ちで、半分が結婚していて、なかには孫のいる人までいるのだそうだ(本書で取材した女探偵の平均年齢は四十五で、まさしく事実は小説よりもタフなことを示している)。私も読みながらそう思うことが多かったので、同じように肩を揺さ振りたくなるのだな、とおかしかった。

でも、現実の世界の女探偵と、小説の中の探偵に共通するのは依頼人への誠実で献身的な姿勢。真実を追い求めていることにはかわりがない(時にそれが依頼人の意図に反しても)。仕事への真摯な姿勢が良く分かった。
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多くの取材をもとにしているので、文体に独特の癖もあるし(「誰々はこう言った」的な)、時に現実の世界の男性を徹底的にこき下ろしてもいて、男性にお勧めする本ではないかもしれないけれど、現実の探偵業を知る意味では面白い本。

ヴァル マクダーミド, Val McDermid, 高橋 佳奈子
女に向いている職業―女性私立探偵たちの仕事と生活

*臙脂色の文字の部分は本文中より引用を行っております。何か問題がございましたら、ご連絡ください。

☆関連過去記事「女には向かない職業」/企画参加「名探偵で行こう!

「女には向かない職業」/企画参加「名探偵で行こう!」

 2005-09-12-09:04
「手当たり次第の本棚」 のとらさんの企画「名探偵で行こう!」。
乗っからせて頂きます♪
■とらさんの記事はこちら
  →?テーマ企画!「名探偵で行こう!」(参加募集)

とらさんはポアロを上げていらっしゃいます。私も色々悩んだのですが、今日はとりあえず「女性探偵」で行きます。
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質問はこちらの五問
■Q1現時点で一番好きな名探偵は、いったい、誰(1名限定)
   理由もあげてね
■Q2その名探偵が関係した事件で一番印象深かったものは何(1作限定)
■Q3その名探偵を支える脇役(常連キャラ)の中で好きなキャラは?
   (1名限定)
■Q4その名探偵が物語中で飲食していたもののうち、お相伴したい
   ものは?(1品限定)
■Q5次に記事を書いてもらいたい人を1名指名のこと(指名しなくても可)

これね、一記事に一人の探偵をあげるんです。そこが悩むけど面白いとこ。また別の探偵をあげるには、別記事を上げるということになります。同じ探偵をあげていても面白いし、いやいや、この探偵がいいんだよ、という意見もお聞きしたいなぁ。結構悩む質問だと思うのだけれど、参加したいという方がいらしたら、是非是非あなたの「お気に入りの探偵」を教えてくださいね。 ***********************************************
では、本題に入ります

■Q1現時点で一番好きな名探偵は、いったい、誰(1名限定)。
理由もあげてね
「一番好き」ってとても難しいんだけれど、今回は女性、しかも「若い女性限定」でいきます。とすると、P.D.ジェイムズが生み出した、可憐な女探偵コーデリア・グレイ! コーデリアのデビュー作である「女には向かない職業:AN UNSUITABLE JOB FOR A WOMAN」より引用します。

彼女が持っているものはただ、そのほっそりとした、だが強靭な二十二歳の肉体と、かなりの知性―これについては、バーニイとしてはときどき、感心するよりはむしろ面くらっているときのほうが多いのではないかと彼女は疑っているのだが―と、そしてバーニイ自身に対する、なかば腹立たしく、なかば同情的な愛情だけだった。

バーニイというのは、探偵事務所の共同経営者で、コーデリアのパートナー。でも、冒頭でいきなり自殺してしまうのだ。「女には向かない職業」だと皆に言われながら、彼女はこの探偵という職業を続けていく。

彼女の魅力は解説にもあるのだけれど、無垢なところだと思う。

冷静で知的でありながら可憐で儚げ。母が早くに亡くなって、子供時代に修道院で教育を受け、大学に入ろうと思ったら父に呼び戻され、振り回され、と一見あまり幸福ではない育ち方をしているのだけれど、彼女はひねくれたりしないし、自分の立ち位置を冷静に判断し、問題に立ち向かうことが出来る。彼女の性格が私は好きです。

■Q2その名探偵が関係した事件で一番印象深かったものは何
(1作限定)
このコーデリアシリーズは、実は「女には向かない職業」「皮膚の下の頭蓋骨」の二作しか出ていない(はず)。印象深いのは、彼女のデビュー作である「女には向かない職業」における事件かなぁ。共同経営者が亡くなり、こんな若い女性に探偵がつとまるの?と疑われながら、ひたむきに捜査を進めるのだ。

P.D.ジェイムズの作風は一般の探偵小説とは、ちょっと違っているように思う。上手く説明が出来ないので、「皮膚の下の頭蓋骨」の解説に載せられた、P.D.ジェイムズの言葉を引用します。

「私はトリックやパズルに関心があって書く推理作家ではなくて、人間関係・人間性・動機といったものを主として描きたいと思っているんです。―殺人はいわば究極の犯罪であって、媒体の役割をしているというか・・・・・・。普段は人間はいろんな感情の上に殻のようなものをつけて、それを覆い匿しているけれど、殺人はそれをふきとばしてしまう。そういう意味で、その人の真の姿や人間性、人々が匿そうとしている本質をあばきたてる、といったところに興味がありますね」

彼女の最初の事件は、「大学を中退し、自ら命を断った青年の自殺の理由を調べてくれ」という依頼だったのだけど、普通の探偵よりも深くこの事件に関わることになる。ずっと事件の外側にいるわけではない。その辺の心理劇が見ものなのだと思う。

■Q3その名探偵を支える脇役(常連キャラ)の中で好きなキャラは?(1名限定)
このコーデリアは基本的にはいつも独り。ちょっと反則かもしれないけれど、「女には向かない職業」の冒頭でいきなり亡くなってしまった、バーニイかな。亡くなってしまっているのだけれど、端々で彼は登場する。捜査に対する情熱、愛情はあるのだけれど、悲しいことにどちらかというと無能で不運な人間。でもどこか愛すべきところがある。

人生は、何かちっとも悲劇的ではない、しかし明確な方法でバーニイに背を向けたのだということは、コーデリアにはもうずっと以前に感じとれていた。彼女にはそのしるしが見分けられた。

ほんとはね、この亡くなったバーニイが首都警察にいた時に、上役だったダルグリッシュ警視が影の脇役と言えるのかもしれない。でも、私、このP.D.ジェイムズのダルグリッシュシリーズを読んだことがないんです。コーデリアは捜査を進めるときに、「あの警視だったら・・・」とよく考える。バーニイにとって警視は尊敬と賞賛の的で、崇拝しきっているのだけれど、話を聞かされるだけのコーデリアには、何だか面白くない存在なのだ。自分だけの軽蔑のイメージを作り上げる。とはいえ、実は彼女も心の底では、警視を深く尊敬しているようでもあり。自分の作ったキャラをそんな風に描くのも面白いなーと思った。「女には向かない職業」の最後の方では、コーデリアと警視の対決(?)も見られます。

■Q4その名探偵が物語中で飲食していたもののうち、お相伴したい
ものは?(1品限定)
ポーク・パイ。でも、これは食べ物というよりも実はシチュエーション。

チャペルから河の土手へとつづいている大きな石塀のかげに椅子が置いてあったので、そこに腰かけて太陽を浴びながら昼食をとった。大胆な雀が一羽、きれいな芝生の上を跳んできて、ぱっちりした無邪気な眼でこちらを眺めた。彼女はポーク・パイの屑を投げてやり、それがついばむ様子に微笑した。河のほうからは水の上を呼びかう声々がこだましてきた。木と木がおりおりこすれ合う音や、小鴨のするどい啼き声も。彼女のまわりのものはすべて―砂利の小径の宝石のような小石、芝生の草の銀色の茎、雀の小さな脚も含めて―まるで幸福が彼女の眼を洗ってくれたかのように、今までになく、くっきりとそのひとつびとつが映った。

おしゃべりはしなくていいから(コーデリアは無駄なおしゃべりをするタイプではない)、隣でこのシチュエーションを含めてお相伴したいなぁ。

■Q5次に記事を書いてもらいたい人を1名指名のこと
(指名しなくても可)

うーん、いつもバトンを受け取って頂いている、喋喋雲 さん、如何でしょうか?一名指名だけれど、指名しなくてもいいし、バトンを持ってくのも可とのことです。よろしくお願いしまーす。?

P.D.ジェイムズ, 小泉 喜美子
女には向かない職業
P・D・ジェイムズ, 小泉 喜美子
皮膚の下の頭蓋骨

*臙脂色の文字の部分は引用を行っております。何か問題がございましたら、ご連絡ください。

「杉の柩」/推理小説

 2005-06-15-07:34

ミステリーと言えば、やっぱり女王・クリスティクリスティの中でも、私は「灰色の脳細胞」を持つポアロシリーズが好き。今全て手元にあるわけではないけれど、大方のものは図書館で借りて読んだはず。映像化されたものでは、デヴィット・スーシェがぴったりだと思う。まるで本から飛び出したような姿だった(あの口ひげ、あの頭、あの口癖と尊大な仕草!)。

今日はその中のこちら。

アガサ・クリスティ 「杉の柩」 ハヤカワ・ミステリ文庫

ポアロシリーズにも多くの作品があり、この本の中では他のものに比べ、ポアロはそれ程活躍しない(というか、裏で調査を行っている。そして、後半の畳み込む展開は素晴らしいと思う)。そうではあるのだけれど、私はここに出てくる、激しい情熱を胸に秘めた誇り高い「エリノア」が好き。ミステリーなのだけど、最後は彼女にとって良い発見をして、幸せになって良かったなーとしみじみ思う。

Amazonから引っ張った粗筋はこう。
婚約中のロディーとエリノアの前に現われた薔薇のごときメアリイ。彼女の出現でロディーが心変わりをし、婚約は解消された。激しい憎悪がエリノアの心に湧き上がり、やがて彼女の作った食事を食べたメアリイが死んだ。犯人は私ではない!エリノアは否定するが…嫉妬に揺れる女心をポアロの調査が解き明かす。

以下、引用。
ポアロは、感受性の強そうな、知的な面ざし、広い白い額、美しい鼻と耳の型とを目におさめた。美しい線だった。誇り高い、感じやすい人。教養も深く、自制心も強く―まだ何かある―ひそんだ情熱だ。
「わかりますよ。ちっとも気になさることはない。悪夢にとりつかれているような時には、何か平凡なものだけが頼りの綱なんですから。ともかく、平凡てことは一番いいことなんですよ。私はいつもそう思ってますがね」
「過去と未来との間に大きな溝ができることが時にはあるものです。死の陰の谷をさまよったあげく、ふたたび日の光のもとに戻ってきた時には、モン・シェル、新しい生活が始まるのです。過去とはなんのかかわりもない」


ついでにクリスティ、もう一作品。
「ゼロ時間へ」

こちらはポアロミス・マープルも出てこないけど、好きな作品(ポアロシリーズに出てきたバトル警視は出てくる)。

Amazonからの引用。
残忍な殺人は平穏な海辺の館で起こった。殺されたのは金持ちの老婦人。金目的の犯行かと思われたが、それは恐るべき殺人計画の序章にすぎなかった―人の命を奪う魔の瞬間“ゼロ時間”に向けて、着々と進められてゆく綿密で用意周到な計画とは?ミステリの常識を覆したと評価の高い画期的な野心作

引き込まれる冒頭部。
「私はね、よくできている探偵小説がすきなのだ。だがね、どれも出だしがいけない!みんな殺人ではじまっておるのだ。しかし殺人というものは終局なのだよ。物語は、ずっとまえからはじまっているのだ。ときによっては、何年もまえからね。ある人々を、ある日、ある時、ある場所へとみちびいてくる、その要因と出来事とで、物語ははじまっているのだ。」
「あらゆるものが、ある一点にむかって集中しているのだ・・・・・・そして、その<時>がやってくると―爆発するのだ!ゼロ時間!そうだ、ありとあらゆるものが、このゼロ時間の一点に集中されている・・・・・・」


著者: アガサ・クリスティー, 恩地 三保子
タイトル: 杉の柩
著者: アガサ・クリスティー, 田村 隆一
タイトル: ゼロ時間へ


しかし私はクリスティーを読み直す度に、新しく楽しめてしまいます。決して新しい発見が!、とかそういうことではなく、犯人を忘れてしまうのですね。いいことなのか、悪いことなのか・・・(きっと悪いことだろうけど)。でも、巧妙な伏線の張り方など見事だなー、といつも思います。そしてほんのちょっぴり入っているロマンスも結構好きだったりします。

*臙脂色の文字の部分は本文中より引用を行っております。何か問題がございましたら、御連絡下さい。

「哀しいアフリカ」/アフリカ

 2005-06-13-08:22
ケリー・ジェームズ 「哀しいアフリカ 国際女探偵、呪術の大陸を行く」

「とびきりの冒険と、人間的な体験に関するとびきりの洞察が実現できた」アフリカの地における、国際的私立探偵であるケリー・ジェームズ氏の冒険譚
著者のケリー・ジェームズは、国際的な私立探偵。五大陸にまたがって、多くの国々で過去二十年、調査活動をおこなっている。カナダとの国境から数マイルと離れていない北西部の農場で過ごした少女期、彼女のヒロインである祖母の影響(常に不屈の女性の味方でありつづけた)、ある日池のほとりで読んだ「ナイルの源流を求めて」が、彼女を放浪者、探偵、冒険者へと駆り立てた。

本書には三つの話が収められている。どれも読み応え、あります。とても実話とは思えない(実際は全て本当にあったこと)。「ひとつひとつが独立した物語で、どれもアフリカへのわたしの恋心が一番燃え上がっていた1980年代に起きたこと」



「まわり道」ケニア/ナイロビ
遺産相続のための、死者の個人的資産の調査依頼を受けたケリー。依頼主はドイツ人フランク・ワグナー・ジュニア。亡くなったのはナイロビでコーヒー園を経営していたフリーダ・ワグナー。個人的資産を探る内に、その死の真相に迫ることになる。

「ゴリラとバナナビール」ルワンダ
マウンテンゴリラをみるために、なんとかルワンダに潜り込んだケリー(ルワンダ政府には歓迎されていない。二回とも送り返され、なんと、三度目の挑戦)。今回の冒険は父親から押し付けられた「ジョニー坊や」と一緒。無事にマウンテンゴリラを見た所まではよかったのだが、現れた密猟者のおかげで窮地にたたされる。

「呪術医」ケニア北部/トゥルカナ地方
消息を絶った「ドクター・カーリー」を探す依頼を受けたケリー。この三つの中で、最もタフな物語。本を書いているのだから、絶対に生き残っているはずと思うのに、本当に助かるのかびくびくしながら読んだ。「人類発祥の地」トゥルカナ地方での出来事。文明国的な理屈や、合理的な方針で物事を解決しない所がすごいなぁと思った。混沌としたアフリカの人達を尊重している。

以下引用
丘の上から低く長い吠え声が聞こえる。わたしたちの家の裏手にある大きなオークの木の丘-インディアン・ヒル。わたしはまずコヨーテの遠吠えに耳をすまし、コヨーテの気持ちを理解する。次に、自分で吠える。祖母は、それはもう見事に吠える。祖母よりうまくは吠えられない。ジェス叔父さんが亡くなったときにも祖母は吠えた。年が明ければ吠え、自分の誕生日にも毎年吠える。ルー叔母さんが亡くなったときには三日間吠え続けた。それは一番大きく、一番長い遠吠えだった。


後日談のようなものが、太字のゴシック体でそれぞれの編の最後に書いてある。これがまたいい。「ゴリラとバナナビール」の後日談にはホロリとするし、「呪術医」では、読んでいる最中腹が立って仕方が無かった、ロレインを好きになっていた。骨太のタフな物語。面白かったです。でも、これが現実に起こったことだなんて、やっぱり驚く。
タフな女性探偵ケリーの続編を待ちたい。

著者: ケリー ジェームズ, Kelly James, 田口 俊樹
タイトル: 哀しいアフリカ―国際女探偵、呪術の大陸を行く

*臙脂色の文字の部分は本文中より引用を行っております。何か問題がございましたら御連絡下さい。

探偵小説/「ストリート・キッズ」 

 2005-04-06-08:26

ドン・ウィンズロウ「ストリート・キッズ」

手に取った切っ掛けは綺麗な表紙。全くもってのジャケ買い(ってCDにしか使わないのかな)です。創元推理文庫は表紙が綺麗なものが多いです。
探偵もの→表紙いい感じ→買っちゃえ~!、という流れでした。
今でこそ、バンバン買うことはなくなりましたが、昔はバンバン買ってジャバジャバ読んでいたのです(そしてジャンジャン忘れていきましたが)。

同じ版元の北村薫「円紫さんとわたし」シリーズも大好きです。北村さん、こんな素敵な女の子は現実にはいないよ~と思いつつ、ミステリーなのにとても柔らかな気持ちになります。ミステリーと言っても「円紫さんとわたし」では、人死にが出たりはしませんし。

ドン・ウィンズロウ「ストリート・キッズ」に戻ります。こちらもシリーズで、恐らく今出版されているのは「ストリート・キッズ」「仏陀の鏡への道」「高く孤独な道を行け」の三作だと思います。タイトルにも惹かれる。そういえば最近続きが出版されていないような…?
(その後、四作目「ウォータースライドをのぼれ」が出版されました)
一作目の表紙の裏には、以下の解説が載せられています。

プロの探偵に稼業のイロハをたたき込まれた元ストリート・キッドが、ナイーブな心を減らず口の陰に隠して、胸のすく活躍を展開する

減らず口にイライラするかもしれませんが、私は主人公のニール・ケアリーが好き。
第一作目では、元ストリート・キッドのニールが、なぜ探偵として働くことになったのか、ニールが追いかける現在の事件と共に語られます。探偵修行、掃除の仕方、全てを父代わりのグレアムがニールに仕込む。この擬似父子の関係がいいのです。
あ、グレアムが教える掃除の仕方、普通に参考になりました。あからさまに手助けをするわけではないけれど、周囲の大人もいいのです。
ニール、幸せになってくれるといいな。
ニールが学んでいる英文学がわかれば、もっと面白さが増すように思いますが、話の本筋を差し引いても(?)、人物造形が優れているので読ませてしまうシリーズだと思います。

「よくやったな、坊主」
「ありがと、父さん」


著者: ドン ウィンズロウ, Don Winslow, 東江 一紀
タイトル: ストリート・キッズ


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プロフィール

つな がる

Author:つな がる
つなです。
「日常」logとも称していますが、そう多くはない手持ちの本、興味が赴くままに借りてきた図書館本の感想が主になります。
興味を持った記事があったり、あなたが読み終えた本について語っていたら、是非あなたの感想を教えて下さい。お待ちしています。

2008年3月23日に、fc2ブログに引っ越してきました。それ以前のamebaブログでの更新も、引っ越しツールによって移行しています(以前の記事は、表示が少々見辛いかもしれません。ご容赦を)。

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