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「まやかし草紙」/あやし、あやかし、まぼろし、まやかし・・・

 2007-02-10-23:39
諸田 玲子
まやかし草紙

主人公は、明るく闊達な若い女、弥生。歌人として名を馳せ、都で華やかな人生を送った近江を母に持つものの、乳飲み子の頃から近江の粟津の里で育ち、物心つく前にその母を失った。中宮に仕え、御子の乳母をつとめ、帝の寵愛すら得て、その子を宿した母、近江。ところが、その母は出産のために身を寄せた、淀川ほとりの古曾部で産褥のために命を落としたのだという。時めき、華やいでいた母は、なぜそのような田舎でひっそりと亡くなったのか。また、宮中で栄華を極めたものの、母は弥生宛の文で、「宮中に近づいてはならぬ」と度々警告していた。母の死には一体何が隠されているのだろうか?

粟津の里では、母の侍女、玉木の両親に慈しまれて育ったものの、玉木が亡くなったことで、弥生は後ろ盾を失う。女の立場は弱いもの。郡司の後妻とされる事を厭った弥生は、家出同然に郷里を出る。玉木の姉であり、内裏勤めをしている讃岐を訪ねた弥生は、右大臣の娘、温子姫の女房の職を得る。温子姫は今秋、東宮妃として内裏へ上がる事になっており、これは母の死を調べる意味でももってこい。弥生は母の死の謎に迫るのだが・・・。

目次
第一章 華宴
第二章 狂宴
第三章 怨宴
第四章 終宴

目次を見ても、華麗でありながら、何だか重い雰囲気。登場人物は弥生を始め、いま一人の主人公とも言える、「悪たれ」音羽丸、世捨て人のような爺さん、白楽天ともに、皆明るいのだけれど、そこで起こる事件は何とも陰惨極まりないもの。

弥生が母の死を探るのと同時に聞こえてきたのは、東宮と契った女が狂死したとの芳しくない噂。美貌の有明宮は、東宮の身にありながら、市中の女に手を出し、契った女を狂わせるのだという。弥生の目には、美しく儚げな東宮とその噂が結びつかないのだけれど・・・。

東宮が居たと思われる場所にきつく香る白檀の匂い。普通の方法では、女を抱けないのだという東宮。これにもまた、ある人物の意図が隠されていた。

権謀渦巻く宮中の世界。弥生は否応なしに、その波に呑まれて行く。

母の死には、約二十年前にあった、権勢を誇った藤原光盛の惨殺事件が関わっていた。遠島となった中納言・橘雅之が、犯人とされたのは、東宮妃であった元子の女房・陽炎が雅之に宛てたとされた歌。この過去の事件が、亡霊のように再び立ち上がる・・・。

同じ著者の「髭麻呂 」も、平安時代を舞台にしているけれど、こちらは貴族とはいえ、宮中からは少々遠そうなのに比べ、「まやかし草紙」は宮中がばっちりストライク。

その分、皆が姻戚関係であったり、ちょっと色々ややこしい。平安モノを読むときって、役職もそうだけれど、この姻戚関係が曲者だと思うのです。また、最後まで読めば理解出来るものの、途中、昔の出来事が唐突に挟まれたりもするのも少々ややこしい(現在起こっている話は二段組で書かれ、挟まれる昔の出来事は一段と、区別されて書かれている)。

あやし、あやかし、まやかし、まぼろし・・・。
世の中に怖いもの、不思議なものは沢山あれども、一番怖いのはやっぱり人間なのかもしれないなぁ。明るく健やかな弥生と音羽丸、過去の悔恨を胸に、飄々と生きる白楽天の爺さんはともかく、弱く疑心暗鬼にかられた人間、得体の知れない何かに捕まってしまった人間が、こわーい一冊。?
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「髭麻呂」/平安の世に暮らす人々

 2006-11-14-22:47
諸田 玲子
髭麻呂

平安時代といえば、自分の中では「なんて素敵にジャパネスク!」の瑠璃姫、高彬、鷹男の帝が活躍、若しくは「陰陽師」の安倍晴明と源博雅が活躍する時代。大概、イメージが偏ってはおりますが・・・。

で、今回のこの本は、お鳥見女房」「犬吉」などの時代物をものしている諸田さんが、平安時代を書いたもの。そうだなぁ、くだけた「ジャパネスク」と雅な「陰陽師」の中間のような物語。

検非違使庁に勤める監督長(かどのおさ)なる下位の官人である、藤原資麻呂こと髭麻呂は、盗賊追捕の役を仰せつかっているものの、これが生来の怖がりで。年の頃は二十四。おっとりした顔立ちの優男ぶりを、太い眉と頬髯で誤魔化している。

さて、髭麻呂が仰せつかるお役目とは、巷を騒がせる盗人・蹴速丸を捕らえること。蹴速丸は変貌自在にして神出鬼没。義賊であるという者があるという一方、残虐非道な人殺しだという者もいる。偽者も横行し、誰一人としてその顔を見たものはいないのだが・・・。

目次
楓館の怪
女心の怪
月夜の政変
かけがえのないもの
烏丸小路の女人
笙と琴
香たがえ
鬼法師の正体

髭麻呂と蹴速丸とのファースト・コンタクトは、楓館で殺された女人の元。蹴速丸はなんと役人に化けており、髭麻呂はまんまと彼を逃してしまう! その後も、変幻自在の蹴速丸に翻弄され続ける髭麻呂であるが、いつしか蹴速丸の事情を知り、彼らは友人となる。さて、蹴速丸の隠された事情とは?

怖がりだけれど、心優しく人のいい髭麻呂。気風も良く頭も切れ、かつ隠された役目のために邁進する蹴速丸。髭麻呂の恋人で、謎解きを得意とする梓女。キャリア・ウーマンである、梓女の母(衣擦れの音を頼りに装束を作る、今で言う服飾デザイナー)と祖母(都でその名を知られた調香師)。髭麻呂が拾って、従者とした生意気な雀丸。羅生門近くの孤児達・・・。これらの人物造詣がいいんだー。

実際にあった政変を絡めたストーリーだけど、特に難しくもなく、彼らの活躍を楽しみながら、するすると読めてしまう本。ただし、平安時代の女人として、梓女のスタイルはちょっと疑問だけど・・・。笑 (華奢な体付きに似合わぬ、形が良く豊満な乳房っつーのは、平安時代にアリなのか?) あと、彼女の話し方がちょっと蓮っ葉なんだよな。も少し上品でも良かったと思うのです。 

 ← こちらは文庫。「王朝捕物控え」だそうな。

「続ジャパネスク アンコール!」/平安コメディ♪

 2005-06-26-22:05
氷室冴子「続ジャパネスク アンコール!」集英社コバルト文庫


表紙扉より
若君(高彬)と瑠璃姫との仲を裂こうとするわたし(守弥)は、新たな策謀を胸に、姫が静養している吉野に乗り込んだ!!
  (守弥のジャパネスク・ダンディ
わたくし(小萩)が瑠璃さまにお仕えするようになって、もう八年。瑠璃さまとの奇妙な出会いを、日記に認めてみました。(小萩のジャパネスク日記
いよいよ京へ御帰還よ!!小萩とふたり、おしのびで京へ近づいたあたし(瑠璃姫)に、思いもよらないお出迎えが!?(瑠璃姫にアンコール!

目次
守弥のジャパネスク・ダンディ の巻
小萩のジャパネスク日記 の巻
瑠璃姫にアンコール! の巻
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
■「守弥の~」では、「ジャパネスク アンコール!」 に引き続き、懲りない高彬の御付・守弥が暗躍(しようとする)。前回の失敗を踏まえ、今度は直接吉野の瑠璃姫の元に乗り込む。しかし、抜けてる守弥の事、そう上手く運ぶわけもなく。崖から落ちて記憶を喪失。敵である瑠璃姫に助けられてしまう。

「あんたの声、好きよ。もう一度言って」
(中略)
だが、しかし、男には主義に反してもやらねばならない時もあるのだ。
わたしは優しく言った。
「瑠璃姫。もう、いいですから、お帰りなさい」

声が好き、とか声で思い出すことがあるのって、分かるような気がする。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
■「小萩の~」は今度は、瑠璃姫に仕える一の女房、小萩視点のお話。幼い頃の瑠璃姫との出会いの話。これもまた、瑠璃姫のいい話。瑠璃姫に惚れ直す。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
■「瑠璃姫に~」は、サイドストーリーではなく、視点は瑠璃姫に戻る。吉野での長い静養が明け、京に戻ってきた話。身分違いの恋や、少し大人になった瑠璃姫、何とも天晴れな夏姫(於夏)。そして、最後にようやく瑠璃姫と高彬は結ばれる。

みんな、どこかしらで嘘をついているし、奇麗ごとですまない現実を、あたしだっていくつも見てきた。以前だったら、問答無用でむしゃぶりついて、中将の不実を詰り、姉君のわがままを詰り、亡くなった阿久のために泣きじゃくるのだけど、心は今もそうだけど、あたしの目は、現実に生きている優しい女に向いてしまう。
死んだ人より、生きてる人のこれからを考えなきゃ。
******************************************
ジャパネスクの3からは、ちょっと長い続き物の話になるので、それはまた今度。お二方の「ざ・ちぇんじ!」記事にあてられ、ついつい「ジャパネスク」を再読してしまいました。

*臙脂色の文字の部分は本文中より引用を行っております。何か問題がございましたら、御連絡下さい。

「ジャパネスク アンコール!」/平安コメディ♪

 2005-06-26-20:42
氷室冴子「ジャパネスク アンコール!」集英社コバルト文庫


表紙扉より
僧唯恵の謀反事件から五か月あまり・・・・・・ぼく(高彬)の許婚の瑠璃さんは、“物の怪に憑かれた”との悪い噂を残して、吉野に篭もったままだ。おかげで、ぼくの母上の態度は硬化―絶対に瑠璃さんとの結婚は許さぬとおっしゃる。そんなある夜、ぼくはたいへんな情報を耳にした。事件以来行方不明の唯恵を、京(みやこ)の中で目撃したというのだ。事件の真相を知るぼくとしては、唯恵を逮捕させたくないのだが・・・・・・。

の続編にあたります。

目次
高彬のジャパネスク・ミステリー の巻
ジャパネスク・スクランブル の巻

いつもは瑠璃姫が主人公で、彼女視点で語られるのだけれど、これはサイドストーリー。この人から見た時の話、とかの視点が異なる話って、大好きだ。多分氷室さん自身が、脇役などへの愛が深い人で、それでこういう本を楽しんで書かれたのかな、と思う(「多恵子ガール」「なぎさボーイ」「北里マドンナ」みたいにね)。
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■「高彬の~」は当然ながら、瑠璃姫の許婚の高彬視点。姉思いだけど、ちょっと抜けてる瑠璃の弟・融が活躍(?)する。

■「ジャパネスク~」は、幼少の砌より高彬に仕える守弥視点。大事な若君・高彬を都の物笑いになった「瑠璃姫」なんかと、くっ付けてたまるかー!!、というお話。策略を巡らせるのだけれど、何せ肉体が伴わない頭脳派なものだから、何やらおかしな方向に? 守弥の相棒、たくましき零落の姫君(身分の高い姫なのに、困窮生活のために超リアリストに!)、煌姫もいい。

「なんて素敵にジャパネスク2」/平安コメディ♪

 2005-06-26-19:57
氷室冴子「なんて素敵にジャパネスク2」集英社コバルト文庫

表紙扉より
あの鷹男の帝からの、三日にあげぬ宮中へのお招き―でも、高彬という立派な(!?)許婚のあるあたし(瑠璃姫)だもの、“持病の瘧”にかこつけて断っていたわよ。だけど、とうとう帝の攻勢に耐えきれなくなったあたしは、最後の切り札と、尼寺へ駆けこんでやったの。ところがその夜、うちの三条邸が、何者かの放火によって焼け落ちてしまった―そして、事件の陰には、妖しくも美しい鬼の姿が・・・・・・。

目次
一の巻 太秦へ
二の巻 初めての夜に燃えて
三の巻 あれは妖しき 美しき鬼
四の巻 夜闇に 鬼は怪しく囁く
五の巻 鬼は荷葉(かよう)の女を喰らう
六の巻 人を愛する眼は青く 人を憎む眼は赤い
七の巻 高彬、鬼を斬る!
八の巻 み吉野に 雪は降りつつ


一作目から転じて、これは哀しい物語。

「その少女は死にました。わたしは、その姫が好きだった。都の姫にありがちの気位の高さというものが微塵もなく、野育ちの里娘のように暖かで、裏がなく、嘘もなかった。勇ましくて、優しかった。そう・・・・・・ある時、野犬が襲ってきたことがありました。その姫は自分も怖いだろうに、庇うようにわたしの前に立って、泣きながら犬に石をぶつけるのです。あっちへ行け、暑リんじゃ駄目、あっちへ行け―そう言いながら、石を拾っては投げ、投げては拾っていた。泣きながら。犬が逃げて行ってから、わたしにしがみつきながら、よかったね、暑リまれなくてよかったねと何度も繰り返し、しゃくりあげていました。吉野君は綺麗だから―」
吉野君の声が、かすかにかすれた。
「綺麗だから、暑リまれて傷が残ってはたいへんよと言って。わたしを全身で守ってくれた」

どうしようもない宮廷の複雑さ、運命が描かれる。高彬も、かっこいいよ。いい男なり。

*臙脂色の文字の部分は本文中より引用を行っております。何か問題がございましたら、御連絡下さい。

「なんて素敵にジャパネスク」/平安コメディ♪

 2005-06-26-19:40
氷室冴子「なんて素敵にジャパネスク」集英社コバルト文庫

←持ってるのと、画像が違うけど


コバルト文庫、氷室冴子とくると、「げー」となる方もいらっしゃるかもしれない。でも、読まなきゃ勿体無いよー、と思うのです。というわけで、「ジャパネスク」。ジャパネスクシリーズは平安朝を舞台にした物語。古文が楽しくなるし、魅力的な人物が沢山出てくる。好みのキャラクターは誰かな?私は女性では、やっぱり主人公・瑠璃姫。ちょっとおっちょこちょいだけど、ひたすらに真っ直ぐな性格が好きだ。男性では、ちとミーハーではありますが、鷹男の帝。かっこいいんだ。

まずは、一冊目。
表紙扉より
あたし、大納言藤原忠宗女瑠璃姫(だいなごんふじわらのただむねのむすめるりひめ)、十六歳。初恋の人、吉野君(よしののきみ)との清らかな思い出に殉じて、生涯独身で過ごそうと決心しているの。だから、世間体を気にして、うるさく結婚を勧めるとうさまとは、毎日のように大喧嘩よ。そんなある夜、とうさまの陰謀で、権少将(ごんのしょうしょう)が夜這いをかけてきた。『強行突破の既成事実』で結婚させられるなんて、ああ、絶対絶命よ!!

目次
お約束は始めての接吻(キス)で の巻
初めての夜は恋歌で囁いて の巻
初めての夜よ もう一度 の巻

シリーズの最初だから、平安時代の風俗(というのかな、文化的なこと。「通い婚」や食べ物の話、宴の話、生活全般の話などなど)の説明の部分も、上手に挟み込まれている。この部分だけでも、ほんとに「古文」の勉強が楽しくなると思う。一夜を過ごした後に、殿方が姫君に贈る後朝の歌、なんて話も出てくるから、何となく「和歌」にも興味が出てきたりね。

第一作目では、初恋の人「吉野君」の思い出に殉じ、独身主義を貫こうと思っていた瑠璃姫が、身近にいた弟・融の友達で筒井筒(おさななじみ)の高彬の存在に気付く。互いの家柄も釣り合い良く、縁談もまとまりそうなのだけれど、悉く横槍が入る瑠璃と高彬の仲。しかし、横槍が入って黙っちゃいないのが、瑠璃姫の瑠璃姫たる所以。そうこうしているうちに、東宮をめぐる陰謀に巻き込まれ、働く内に、「不倫のトキメキ」(事実上、まだ妻ではないのだけれど)なんかも覚えてしまう。瑠璃姫大活躍!な一冊。でも、この一巻が終わるまで、瑠璃姫と高彬は結ばれません(最後の横槍はなかなかひどい)。頑張れー!

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プロフィール

つな がる

Author:つな がる
つなです。
「日常」logとも称していますが、そう多くはない手持ちの本、興味が赴くままに借りてきた図書館本の感想が主になります。
興味を持った記事があったり、あなたが読み終えた本について語っていたら、是非あなたの感想を教えて下さい。お待ちしています。

2008年3月23日に、fc2ブログに引っ越してきました。それ以前のamebaブログでの更新も、引っ越しツールによって移行しています(以前の記事は、表示が少々見辛いかもしれません。ご容赦を)。

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