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「宮沢賢治のお菓子な国」/心を満たしてくれるのは

 2007-12-16-21:08

中野 由貴, 出口 雄大

宮沢賢治のお菓子な国


宮沢賢治のレストラン 」のコンビが贈る、お菓子を切り口にした本なのです。

お菓子と言えば、生きていくために、必ずしも必要なものではない。けれど、それがあることで、幸せな気持ちになったり、一緒にお茶の時間を過ごすことで、素敵な時を持つことが出来たり。そんなちょっと余計な部分であるからこそ、より愛しいもの。

ちと長くなるけれど、「お菓子なごちそう」「巨きな菓子の塔」より引用します。

 「お菓子って何だろう」と考えると、童話集『注文の多い料理店』の序文を思い出す。

 ですから、これらのなかには、あなたのためになるところもあるでせうし、ただそれつきりのところもあるでせうが、わたくしには、そのみわけがよくつきません。なんのことだが、わけのわからないところもあるでせうが、そんなところは、わたくしにもまた、わけがわからないのです。
 けれども、わたくしは、これらのちひさなものがたりの幾きれかが、おしまひ、あなたのすきとほつたほんたうのたべものになることを、どんなにねがふかわかりません。

 なくても大して困らないし、十分に生きていくことはできる。でも、それだけではきっとつまらないだろう、と気づかせてくれるもの。
 ほっとしたり、うれしくなったり、楽しくなったり、普段とちょっと違った気分や時間を味わわせてくれるもの。
 それがお菓子なのだ。きっと。賢治はそんなお菓子の効能をよく知る人だったのだと思う。
                 
                           (p14-15より引用)

そして、それはきっと物語も同じ。実用書や仕事に必要な書物だけでは、体を作る食べ物としては十分なのかもしれないけれど、それだけではちょっと心がカサカサしてしまう。そこを潤してくれるのが、こういった「お菓子」(勿論、この本の中に出てくるお菓子は、現実に存在するものばかりではない)であったり、想像力豊かな「物語」なのでしょう。ま、現実と同様、お菓子ばかり食べて生きていくことも、また同様に出来ないことだろうけれど、そういった楽しみも必要だよね。

本としては、お菓子を扱う分、ちと細切れになってしまう印象が強いので、「食べ物」を扱った「~レストラン」の方に分があるかなぁ、とも思うのだけれど、こういった切り口は大好きだし(そして、実に良く調べておられること!)、出口さんの水彩画も相変わらずの美しさ。まさにお菓子のように、ちびちびと少しずつ読む楽しみがある本でした。

目次
はじめに
○お菓子なごちそう*和洋菓子
○森のおもてなし*くだものなど
○野原の菓子屋のお気に入り*駄菓子など
○イギリス海岸のティパーティ*のみもの
○イーハトーヴ横丁*お店など
索引
イーハトーヴ<作品別>たべもの帖(宮沢賢治作品別たべもの索引)
参考文献
おわりに


*臙脂色の文字の部分は本文中より引用を行っております。何か問題がございましたら、ご連絡ください。
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「ヘルマン・ヘッセ 蝶」/ヘッセと蝶または蛾

 2007-05-23-23:36
ヘルマン ヘッセ, フォルカー ミヒェルス, Hermann Hesse, Volker Michels, 岡田 朝雄

岩波書店 同時代ライブラリー


美しく、感じの良い表紙なのだけれど、残念ながら表紙絵が出ません。本書の中にもふんだんに使われている、手彩色の銅版画からキアゲハと、これはヘッセのサインなのかな。

目次
幼い日の思い出

アポロウスバシロチョウ―フィーアヴァルトシュテッテ湖畔の旅の一日
告白
アルプスヒトリ
葡萄酒の中の蛾
クジャクヤママユ
失望の人
インドの蝶
青い蝶
マダガスカルの蛾
晩夏の蝶

ある詩集への献詞
蝶について
晩夏
キベリタテハ
砂に書いたもの
三月の太陽
晩秋の旅人

編者あとがき―フォルカー・ミヒェルス
解説―岡田朝雄
訳者あとがき


蝶を切り口にヘッセを語る本書。ヘッセ自身による文は、エッセイから詩まで。これに、画家ヤーコプ・ヒュープナーの美しい銅版画が散りばめられるという作り。銅版画がないものは、訳者の判断により写真を載せたということだけれど、幾分かのっぺりしてしまう写真よりも、画の方が繊細で綺麗。

ヘッセは勿論、蝶が好きだったのだろうけれど、本書の内、結構なページを編者あとがきや解説が占めていて、編者や訳者も蝶には一家言ありそうですよ。

しかし、同じように羽のあるものだし、偏見といえば偏見なのだけど、蝶に比べれば私は蛾が苦手。解説によると、英語ではbutterflyとmorthという、蝶と蛾を別々に表現する特別な言葉があるけれど、ドイツ語では蝶と蛾を含めた「鱗翅類」という意味の言葉しかないそう(Schemetterling、Falter:久々にドイツ語辞書でも引っ張り出そうかと思ったら、どこかにいってしまっていて調べられず)。

アルプスヒトリでは、このヒトリガに狂奔する「虫屋」たちの姿が描かれるのだけど、私にはただの毒々しい蛾に見えてしまう・・・。蝶の美しさはまだ分かるけど(とはいえ、触ってあの鱗粉を手に付けたくはないけれど)、蛾のぼってりとした身体(?)や毒々しいまでのあの色使いにはやっぱり慣れない・・・。

ヤーコプ・ヒュープナーの絵は、私は十分美しく思えたのだけれど、解説によると、本書に載せられたものは、フリードリヒ・シュナック編『小さな蝶の本』及び『小さな蛾の本』から複写されたものであり、複製のため原画の美しさと精密さが出ていないとの事。本物はどれだけ綺麗なのかしらん。
というわけで、amazonで見つけた、『蝶の生活』。図書館で予約してしまいました(そして、例によって表紙が出ない~)。中身が楽しみです。

☆関連過去記事
ヘルマン・ヘッセを旅する

「宮澤賢治のレストラン」/賢治とたべもの

 2007-05-10-23:33

中野 由貴, 出口 雄大

宮沢賢治のレストラン

宮沢賢治というと、ついつい「雨ニモ負ケズ」などとストイックな様を思い出すのだけれど、彼の童話や詩には美しく豊かなイメージが溢れている。
実際、賢治は裕福な家に生れたのであるし、明治、大正を生きた人間としては、随分ハイカラなものを日常的に食べたり、身近にしたりもしていたらしい。
この本は、賢治の作品に出てきた食べ物をキーワードに、賢治その人や、賢治が生きた時代を紹介したもの。また、表紙もとても綺麗なのだけれど、内部にもこういった美しい水彩画がふんだんに使われていて、目で眺めても美しいのが嬉しいところ。

目次
 はじめに
野原と畑の収穫/穀物・野菜・果物
海の幸・山の幸/海産物・魚・きのこ・木の実
まきばのごちそう/肉類・卵・乳製品
お茶の時間/飲み物・酒
イーハトーヴのデザート/お菓子・嗜好品・器
 索引
 イーハトーヴたべもの帖(宮澤賢治作品のたべもの索引)
 参考文献
 おわりに


私は賢治の作品は、メジャーどころのほんの一部しか読んだことがないのだけれど、それでも楽しく読みました。宮澤賢治のファンなら、更に嬉しいのではないかなぁ。

実際の食べ物・飲み物から、幻想の食べ物・飲み物まで、たっぷり紹介されたこの一冊。
賢治の世界を堪能することが出来ました。

☆関連過去記事☆
あまの川 」← 賢治の作品から選りすぐったウタの世界。
         宮沢賢治の世界には、水彩画が良く似合うなぁ。

「ブラッドベリがやってくる」/ブラッドベリの作り方

 2006-11-03-20:23
オンライン書店ビーケーワン:ブラッドベリがやってくる ?

レイ ブラッドベリ, Ray Bradbury, 小川 高義

ブラッドベリがやってくる―小説の愉快
晶文社

SFとファンタジーの巨匠である、レイ・ブラッドベリ。

この本は譬えていうなら、ブラッドベリおじさんが、例えば親戚の若い男の子などに、その創造性の秘密をそっと教えてくれるような本。レイ・ブラッドベリの溢れる創造性の秘密とは?

目次
生命の木にのぼり、自分に石をぶつけ
骨も折らず、魂もくじけずに
また降りてくる法
本文にくらべて
さほど長くもないタイトルのついた序文

書くことの喜び

速く走る、ぴったり止まる
あるいは階段の上のもの
あるいは古い精神に発する新しいお化け

いかにして詩神を居着かせるか

酔っぱらい、自転車一台所持

10セント玉の投資―『華氏451度』

ビザンチズムとまで行かずとも―『たんぽぽのお酒』

ロボット博物館の黄昏

秘密の精神

禅と小説

創造性について

訳者あとがき

それは小説であったり、お芝居であったり、共通するのは「物語」を物語ることの秘訣であること。

レイ・ブラッドベリの小説は、しばしば郷愁溢れるものであると評されるけれど、それもそのはず、彼の中には少年の時に心に残ったものがそっくりそのまま残され、それが更に熟成されて芳香を放っていたのだ。無意識の中から紡ぎだされる物語。そう、後はそこから、如何に新鮮なまま物語を汲み出すか、ということ。

恃むべきは自分であり、オリジナルの物語こそが全て。
勿論、物語を書くための修練は必要であるけれど・・・。

どのような世界観を持つか。自分がプリズムだと思って、世界の光を測ること。光は精神を通過して燃え、どこの誰とも違ったスペクトル分析の図柄を、白紙に描きだすだろう。
自分を貫いて世界が燃えるようにする。白熱したプリズム光を紙の上に投げる。自分だけの個性あるスペクトル図形を描く。
そうすれば、新しい元素となった自分が、発見され、図表に載って、名前をつけられる。
(p157 「禅と小説」より引用)

物語ることに対する熱情溢れる文章なので、それに当てられ、小説家志望でもないくせに、うっかり「小説家って素敵♪」などと思ってしまいます。笑 ま、自分は勿論、「読む」側に過ぎないので、これからも色々な個性あるスペクトル図形を、うっとりと眺めたいものだと思います。

*臙脂色の文字の部分は、本文中より引用を行っております。何か問題がございましたら、ご連絡ください。

「フレドリック・ブラウンは二度死ぬ」/いつかは読みたい、フレドリック・ブラウン

 2006-10-05-22:18
坂田 靖子, 橋本 多佳子, 波津 彬子 フレドリック・ブラウンは二度死ぬ

坂田靖子さんのマーガレット奥さんの本 を読み始めたら、ついつい既に読んだ坂田さんの本にも手を出してしまいました。とはいえ今日のこの本は、坂田靖子さんだけでなく、波津彬子さん、橋本多佳子さんという、三人の漫画家の手によるもの。フレドリック・ブラウンをこよなく愛す、三人の漫画家の競作アンソロジー。

目次
血      ?   坂田靖子・橋本多佳子・波津彬子合作
黒猫の謎    波津彬子
帽子の手品  橋本多佳子
わたしらはこうしてフレドリック・ブラウンしてんぞいね
狂気恐怖症  坂田靖子
大失敗    ? 橋本多佳子
ミミズ天使  ? 波津彬子
プラセット  ?? 坂田靖子
フィナーレ
あとがき

この中で、私が好きなのは、「ミミズ天使」「プラセット」

「ミミズ天使」は、ある日突然、天に昇る愛らしいミミズ天使を見てしまったチャールズの話。ミミズ天使の次にチャールズを襲うのは、雨の中での日射病、日焼け。博物館では、古銭陳列ケースになぜか生きた鴨が・・・。結婚式を間近に控えたチャールズは、この迷惑かつ不思議きわまる現象をそのままにはしておけない。考えるんだ、チャーリー!

「プラセット」は、二重太陽を持つ惑星の話。惑星プラセットは二重太陽のまわりを8の字を描いて回るため、6時間の昼、2時間の夜の次に、15時間の昼間と1時間の夜が来る。かつ、二つの太陽の中間点を通過する時、引力と磁力の加減により、視覚認識が狂ってしまい、全てが別のものに見えてしまう! また、プラセット唯一の生き物の鳥は、なんと地面の下を飛ぶというはちゃめちゃぶり。この星に来るとみんなうんざりしてしまうんだけど、色々あって、建設公団の行政主任、フィルは「だから私はここが大好きなんだ!」、と言えるようになる。

この本を読むまでは、 「短編の名手として名高いSF作家」フレドリック・ブラウンをまーったく知らなかったんだけど、この本を切っ掛けとして読みたい熱が高まるのでした。

今、amazonをざっと見たところ、気になるのは次の二冊なんだけど、入門編としては、どれがいいんですかね。沢山あるよ~。

フレドリック・ブラウン, 小西 宏
天使と宇宙船

フレドリック・ブラウン, 小西 宏
未来世界から来た男

この二冊は、表紙もいい感じではありますまいか?
【追記】
最近、良くお邪魔している、「奇妙な世界の片隅で 」のkazuouさんが、フレドリック・ブラウンの記事を書いてくださいました。 
 
 kazuouさんの記事はこちら 
  → ブラウン・オブ・ワンダー  フレドリック・ブラウンの奇妙な世界

やっぱり面白そうです、フレドリック・ブラウン。kazuouさんの文章も、これまた魅力的なんです。

「作家の食卓」/食卓に見る作家たち

 2006-09-14-22:04

コロナブックス編集部
作家の食卓 

目次
作家の食卓
立原正秋/石川淳/永井荷風/壇一雄/円地文子/色川武大/森瑤子/寺山修司/
澁澤龍彦
(コメント 立原潮/石川活/永井永光/壇太郎/冨家素子/色川孝子/伊集院静/
加藤タキ/九條今日子/澁澤龍子)
好きな場所、愛した味
内田百?/織田作之助/谷崎潤一郎/白洲正子/吉田健一/池波正太郎/森茉莉/開高健
作家のおやつ
林芙美子/岡本太郎/獅子文六/吉行淳之介/宇野千代/山口瞳
食卓をめぐるエッセイ
食卓のポルトレ
ことばの御馳走帖
食いしん坊作家たちのアラカルト事典

料理に関する作家本人の小説や文章からの抜粋、ゆかりの料理の写真、それぞれゆかりの人々のコメントで構成される、満足、満腹の一冊(ゆかりの人によるコメントは、「作家の食卓」の章のみだけれど)。

色川武大さんちの、大きなクマのぬいぐるみとか(一体、ナぜ??)、「大きな体を伸ばしてくつろいだ、とっておきの場所」であるソファーなど、作家のプライベートが薄っすら透ける。色川さんの本は、このブログでは全然書いてないけど、沢山読んだ時期もあって、好きな作家さんなのです♪(それらの本は、実家なんです・・・)

食卓をめぐるエッセイ」では、「マドレーヌ菓子に蘇る<失われた時>」なども素敵。これ自体、有名なエピソードのようだけれど、マルセル・プルースト「失われた時を求めて」におけるマドレーヌ菓子のエピソードが紹介される。紅茶にひたしたマドレーヌを口に入れた時、忘れていた幼き日々があふれ出すように蘇る。匂いや音、記憶を連れ戻すものは数あれど、食による記憶は結構根強い。無条件に幸せになるメニューを沢山持ってる方が、何だか幸せに生きていけそう。あの長さに恐れをなして、一度も手にした事はないんだけど、「失われた時を求めて」にもちょっぴり興味が沸きました。

「パトリシア・コーンウェルの食卓」/検屍官シリーズにおける料理

 2006-06-06-21:55
パトリシア コーンウェル, マーリン ブラウン, 相原 真理子
パトリシア・コーンウェルの食卓

読みたい読みたい!、と思ったのに、実書店でも見かけないし、ネットでも手に入らなかった本。ひょっこり図書館に入ってました。

「パトリシア・コーンウェルの食卓」というか、殆ど「検屍官シリーズ」から取られているので、どちらかというと、「ケイ・スカーペッタの食卓」かもね。

「検屍官」から「審問」まで、全11作(いつの間にそんな冊数に!)から取られた料理は、ケイお得意の生パスタからデザートまで、見応えあります。

そうだなー、最初の頃は、このシリーズが大好きだったので、一作目「検屍官」から取られた、「ピーマンとマッシュルームとたまねぎのイタリアンソーセージ・ピザ」も懐かしいし、三作目「遺留品」「マイアミ風ビール入りチリ」も美味しそうだったことを覚えている。

話としては、面白くなくなってきた七作目「死因」でも、「ラザーニャ・コイ・カルチオフィ(アーティチョークとペシャメルソースのラザーニャ)」は美味しそうだった。

それぞれの作品から、見開き二ページほどの引用が行われているので、しばらくこのシリーズから離れている人でも、懐かしく読むことが出来るかも。
少なくとも、私はそうでした。

ケイがマリーノに、「ル・パパデーレ・デル・カンタンザイン(黄色と緑の幅広ヌードルの、ピーマンとソーセージあえ)」を作ってあげる場面、好きだったなぁ。ピーマンとソーセージのヌードルだけど、マリーノを煙に巻こうと思えば、「ル・パパデーレ・デル・カンタンザイン」と言うのよ、とケイさんがいい、マリーノが分かったよ、煙に巻かれたよ、という所。で、マリーノは食べて、「うまいよ」と言うのよね。しかし、イタリア料理って、マリーノでなくとも、舌噛みそうだよな・・・。

惜しむらくは、料理の写真と文が、大分離れているので、確認するために、いちいち戻らなければならないこと。これ、交互だったら随分見易かったんだけどな。

帯には、「ケイ・スカーペッタのポリシーは、最高のものしか使わないこと―捜査の成否は、よい証拠が決め手。料理の味と見栄えも材料の質によって決まることをケイは知っている」と書かれ、パトリシア・コーンウェル自身が、生地をこねている写真が載せられている。

料理にポリシーがあると明記されている通り、なんと言うか、少々力が入っているというか、努力的なものを感じる料理の本でありました。

ま、それもまた、パトリシア・コーンウェルらしいのかな?

わたしにとって食べものは、慰め、愛情、思いやり、友情など、さまざまな意味をもっています。よい料理のエッセンスは気前のよさでしょう。量の問題ではなく、人を充足させるために自分を与えるということです「序文」より引用)。?

うーむ、私の料理はいつも適当だから、「自分を与える」なんてとてもいえない、と反省してしまいました。・・・毎日だったら、そんなもんでも許されるのかしら(というか、許して~)。

*臙脂色の文字の部分は本文中より引用を行っております。何か問題がございましたら、ご連絡ください。

「ローラの世界」/”大草原の小さな家”の世界

 2006-05-03-23:07
オンライン書店ビーケーワン:ローラの世界 ?

Carolyn Collins, Deborah Maze, Christina Eriksson, Garth Williams, 清水 奈緒子, キャロリン・ストーム コリンズ, デボラ メイズ, クリスティーナ・ワイス エリクソン, ガース ウィリアムズ

ローラの世界―大草原の小さな家
求龍堂


目次
はじめに
第1章 ローラ・インガルス・ワイルダー
第2章 大きな森の小さな家
第3章 大草原の小さな家
第4章 農場の少年
第5章 プラム・クリークの土手で
第6章 シルバー・レイクの岸辺で
第7章 長い冬
第8章 大草原の小さな町
第9章 この楽しき日々
第10章 はじめの四年間
第11章 ロッキー・リッジの日々
第12章 同時代年表
第13章 <小さな家>ゆかりの地を訪ねて
参考文献一覧

2章から10章までは、実際のローラの物語<大草原シリーズ>に沿った解説。一家が移り住んだ家の間取りや、当時の暮らしについて、また「作ってみよう」、「遊んでみよう」、「料理してみよう」、「やってみよう」、「踊ってみよう」のコーナーなんかもあって楽しい。

「農場の少年」を読んでいても、実はあまり記憶になかったのだけれど、「アルマンゾは、何よりも一番好きなのは、炒めたリンゴとタマネギだといいました」のリンゴとタマネギの炒め物はちょっと微妙?汗

「プラム・クリークの土手で」あたりまでを強烈に覚えていて、ここまでは最近また読み直したんだけれど、「長い冬」以降は実はそんなに印象に残ってない。

でも、第10章「はじめの四年間」の「作ってみよう」で思い出したけれど、ローラが結婚したアルマンゾも、ローラたちの父さんと同じく、基本的には楽観的な人だったんだよね。

「さあ、アイスクリームを作ろう」と、マンリーはいいました。「ローラ、材料をかき回して。ぼくは、凍らせるのに必要なひょうを集めるよ」
                       
*マンリー:ローラの夫、アルマンゾ

この雹は、初めて収穫しようとしていた小麦畑に降ってきた、憎むべきもの。「鶏の卵ほど」もあったという、雹の嵐は小麦をめちゃめちゃにしてしまう。暑いダコタの大草原では、アイスクリームなんてめったに食べられないとはいえ、この「災い」を楽しいことに変えてしまうアルマンゾの技は、なかなかのものでは?と思う。

表紙も水色の爽やかなギンガムチェックの本書。なんと栞までギンガムチェックという徹底振り。13章ではゆかりの地に復元された家や、記念館についての情報なども載っている。「大草原」シリーズのファンならば、とても楽しい一冊だと思う。

*臙脂色の文字の部分は引用を行っております。何か問題がございましたら、ご連絡ください。

☆関連過去記事☆
「大きな森の小さな家」
「大草原の小さな家」
「プラム・クリークの土手で」

「ようこそ!ムーミン谷へ」/ムーミントロールはお好き?

 2006-04-19-22:19
ムーミンシリーズはご存知の通り著名な児童文学であり、私も子供の頃に読んだ事はあるのだけれど、「ナルニア」「ゲド戦記」とは違い、のめり込んだという印象は薄い。ムーミンシリーズはどこか哲学的でもあって(いや、ゲド」とかもそうなんだけど)、他の児童書とはちょっと違うような気もしていた。

ついでに言えば、著者トーベ・ヤンソンが北欧の人だからか、何となく寒色や淋しげなイメージがあって、子供の頃はどこか恐怖を感じていた。キャラクターよりも本の方に先に出会っていたので、「ムーミン、可愛い!」とは思わなかったな~。今の方が楽しく読めそうだし、どこで恐怖を感じたのか、どこに淋しげなイメージを持ったのか、これはもう一度読み直したいシリーズ。いつかゆっくり読み直したいなぁ、と思う。 そんなわけで、今日はこの本を。

ミルヤ キヴィ, Mirja Kivi, 末延 弘子, トーベ ヤンソン
ようこそ!ムーミン谷へ―ムーミン谷博物館コレクション

目次
はじめに
トーベ・ヤンソン―ムーミンの生みの親
ムーミン作品
ムーミン世界
ムーミン谷博物館と博物館コレクション
ありがとう、トーベ・ヤンソン
出典
参考文献
付録1 トーベ・ヤンソンに贈られた賞の数々
付録2 ムーミン作品
付録3 ムーミン造形物

原文のせいなのかもしれないけど、文章はちょっと読み辛い。でも、美しい絵や三次元のムーミン作品(いわゆる、フィギュア?)を楽しむ事が出来る。色使いといい、表紙もいいんだ~。また、「ムーミン世界」の章では、ムーミン作品の解説および登場人物紹介が載せられている。どちらもとても詳しくて、思い出せる部分もあった。

ムーミンの生みの親、トーベ・ヤンソンはかつて、「境界線を愛しているの」と語ったそう。また、数少ないエッセーの中には児童書について、こんな言葉があるらしい。「児童書には、作家が立ちどまっても子どもたちが前へ進めるような小道がないといけません。説明できない脅威や光輝や正体を明かさない顔がなくてはいけません」。もう一度、説明できない脅威や光輝や正体を明かさない顔に出会ってみたいな~♪ 子供の頃は、これに脅えてしまったのかなぁ。勿体無かった!

*臙脂色の文字の部分は本文中より引用を行っております。何か問題がございましたら、ご連絡ください。

「憧れのまほうつかい」/絵本作家エロール・ル・カインを知っていますか?

 2006-02-21-19:43
さくら ももこ
憧れのまほうつかい

これは、さくらももこさんの、エロール・ル・カインへのラブレター。さくらさんにとって、ル・カインは、長い間まさに「憧れのまほうつかい」だったのだ。

エロール・ル・カインについては、ほるぷ出版 のこちらの特集ページ に詳しい(ほるぷ出版の該当ページにリンク)。

◆エロール・ル・カインは、東洋と西洋の絵画様式を巧みに織り交ぜた、ユーモラスでドラマチックな絵本を次々に生み出した作家なのだという。また、BBC放送が制作した大ヒットアニメーション映画、「雪の女王」や「階下の幽霊」などのイラストを担当したのも彼◆

そんなル・カインの絵本に、さくらさんが初めて出会ったのは高二の冬。記念すべきその絵本は、「おどる12人のおひめさま」。美しい絵、ロマンチックなストーリーに、さくらさんはすっかり魅せられたのだという。

オンライン書店ビーケーワン:おどる12人のおひめさま
(↑この本です。緻密で美しい絵が分かりますよね)

その後も店頭でル・カインの本を見かける度に、レジへと向かう日々が続く。出版業界に身を置くようになって、「いつかル・カインに会えたらいいな」という夢に近づいたかと思えたけれど、言葉の壁など、さくらさんにとっては、ル・カインへの道はなかなか敷居が高かった。

ところがある日、さくらさんは本屋で衝撃的なニュースを知る。ル・カインは癌によって、47歳でその短い生涯を終えており、彼の絵本には「遺作」の二文字が・・・。ここにきて、さくらさんは行動を開始し、ル・カイン縁の人々と会うための旅に出る。?

目次
第1回 ル・カインとの出会い
第2回 原画をみにいく
第3回 ウェジウッドの町
第4回 イアン・キールさんの家に行く
第5回 ロンドンの街とペニー・シブソンさん
おまけ ライカのこと
 エロール・ル・カイン 著作目録

第3回
「ウェジウッドの町」のみは、どうせロンドンに行くのだったら!、という観光的イベントなので、ル・カインとはあまり関係がない(ただし、さくらさんによる絵付けの写真を見ることは出来る)。

遅れてル・カインが住んだロンドンに渡ったさくらさんだけれど、生前のル・カインを知る人々の知己を得る事で、生前の彼に触れたように感じる。ほんとは勿論、生きているカインに出会えれば、それが一番良かったけれど、タイミングってきっとそういうものだ。ル・カインの原画の散逸を防ぐために、かなりの量を買い取り、未亡人の面倒まで見た、という第2回に登場する渋谷さんも凄い。

ル・カインは才能に溢れ、多くの作品を残したけれど、その生活は決して楽なものではなかったそうだ。なんと、彼のお墓ですら、この時点では確りとはしていなかったそうなのだ。さくらさんは未亡人に点が辛いけれど、芸術家の配偶者としては、この未亡人のようなタイプというのも、分かるように思います。半端に分かるよりも、徹底的に配偶者の仕事を理解しない方が、うまくいくこともあるのでしょうか・・・。

さくらさんのル・カインへのオマージュのような絵、ル・カイン自身の絵が豊富に載せられた、美しい本です。ル・カインの絵本、今度探してみようと思います。また、出版社別のテーマにするようになって、出版社を注意してみるようになったのですが、ほるぷ出版はなかなかいい本を出していますよね(ル・カインの絵本は、日本ではるぷ出版から数多く出されているようです)。

← こちらは文庫

「書斎の料理人」/翻訳家・宮脇氏は料理もこなす

 2006-02-19-19:13

宮脇 孝雄
書斎の料理人―翻訳家はキッチンで… 


コリン・ウィルコックス「容疑者は雨に消える」
(文春文庫刊)、クライヴ・バーカー「ミッドナイト・ミートトレイン」(集英社文庫刊)、パトリック・マグラア「血のささやき、水のつぶやき」(河出書房新社刊)などの訳者である、この本の著者、宮脇氏は料理する翻訳家である。

この本には、英米のクッキング・ブック掲載のレシピを参考にして、宮脇氏が料理された、数々のレシピが載せられている。真面目に冷静に書いておられるのだけれど、文章にも独特のおかしみがあって面白い。いやー、こんな風に料理出来る男性って、格好いいよなぁ。しかも連載途中で、彼の元に「女の同居人」がやって来るのだけれど、「こんな面白いことを女に独占させておくつもりなどなかった」のであり、「そんなわけで、今でも夕方になると食事の支度にいそしんで」おり、「できることなら、買い物かごの似合う男と呼ばれたいものだ」なんだそうだ。実に格好いい大人の男性で、宮脇氏が訳されているような本は、これまで読んだことがないんだけど、ちょっとファンになりそう。

目次
第1章 翻訳家とは料理する生き物である
 私が料理を作るようになった理由
第2章 翻訳家の料理はインターナショナルである
 ホラー小説の翻訳家に「オカルトの血」は流れているか
第3章 翻訳家の料理はときにメイワクである
 世紀末のよく晴れた日には干物を作ろう

宮脇氏は翻訳の仕事の気散じのために、料理を始めたのかもしれないと書く。材料の買出しに始まり、どの順番で何をどう切るか。二つのガス台でどの手順で鍋、フライパンをかけるのか。脳みその普段使わない部分を使っているのが分かるのだという。宮脇氏の場合、料理に興味があるといっても、それはうまいものを食べることが出来ればそれでいい、評判の店の食べ歩きで事足りるというわけではない。問題はその過程にあり、「タマネギの成分が熱で変化して刺激臭が消え、次第に甘い芳香を発するときの媚態にも似た化身のさま」、「しょうがの薄切りを酢に漬けたときの、だんだん薄紅色に染まっていく様子」を心ゆくまで楽しむのだという。「料理は、メランコリーの妙薬であり、美しい思い出であり、楽しい理科の実験でもある」(以上、私が料理を作るようになった理由より)。

たいていの料理は英米のクッキング・ブック掲載のレシピからとられているのだけど、少々毛色の変わったところでは、Writers' Favourite Recipesという本と、Grand Dictionnaire de Cuisine(料理大百科)という本があげられるだろう。

Writers' Favourite Recipes の方は題名通り、英米の作家が自分の得意料理を披露したレシピ集。現役の作家の場合は書き下ろしのエッセイが入っているし、物故作家の場合は、その作品の中から食事や料理のシーンを抜き出して紹介してあるのだそう。作家の幅も、純文学系、ミステリ、SFと幅広く、例えばSF作家のマイケル・ムアコックは、胃にやさしいレタスのスープという得意料理を披露している。ここで本命として取り上げられているのは、ハードボイルド・タッチの冒険小説を得意とするギャビン・ライアルによる中華風蟹スープ。この作家は、台所に立って料理をしながら、活劇シーンの構想を練るんだそうな。包丁持ってる所が、活劇にいいんですかね。ちょっと怖いような気もするけど・・・。(物書きと料理の密接な関係について-第1章-より)

Grand Dictionnaire de Cuisine(料理大百科)は、「三銃士」「鉄仮面」「モンテクリスト伯」でお馴染み、父デュマ(「椿姫」を書いた息子と、この父と、アレクサンドル・デュマは二人いる)によるもの。実は父デュマは大の料理好きで、書き溜めておいた料理に関する原稿が、亡くなった後に出版されたそうなのだ。ここからとられているのは、固ゆで卵のオニオンソース添え。卵は半熟で食べるのが一番おいしいけれど、中には気持ちが悪くて半熟の卵が食べられない人がいる。これはそんな人たちでも、美味しく卵を食べられるように開発された類の料理。(文豪デュマはどのようにして卵を食べたか-第1章-より)

翻訳家であるだけに、イカの解体は楽しきスプラッターであるの節などでは、イカの部位の英語の説明もさらりと付け加えられている(sac(胴:袋)、tentacles(脚:触手)、sword(イカの軟骨:剣))。

雑学としても楽しめ、著者自身の文もまた楽しむことが出来るという、なかなかに良い本でありました。料理も美味しそうだったしね。 ハードボイルドな人たちは、碌な食べ物を食べていないイメージがあるけれど、やっぱり美味しいものを食べている方が、幸せそうだよね。しかも、そんな美味しい料理を自分で作ることが出来れば、こんなに幸せなことはない。

*臙脂色の文字の部分は本文中より引用を行っております。何か問題がございましたら、ご連絡ください。

「あまの川」/うた

 2005-11-17-17:22

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宮沢 賢治, 天沢 退二郎, おーなり 由子

あまの川―宮沢賢治童謡集
筑摩書房

宮沢賢治の童話の中から選りすぐったウタたちを、読み味わうための本。
詩に添えられる、おーなり由子さんの水彩画も美しい。

宮沢賢治の言葉は、響きが楽しく、美しい。
有名な「風の又三郎」の始まり、「どっどどどどうど どどうど どどう」もそうだし、例えば童話「十力の金剛石」「りんどうの花のうた」はこんな感じ。

トッパァスのつゆはツァランツァリルリン、
こぼれてきらめく サング、サンガリン、
ひかりの丘に、すみながら
なぁにがこんなにかなしかろ

装丁も美しく、読んでみても舌が楽しい一冊。
トパーズではなくって、トッパァスだものね。

賢治の童話については、こんな本もあるようです。

国文学編集部

宮沢賢治の全童話を読む

約140におよぶ作品の一篇一篇について、〔あらすじ〕〔初出・分類〕が紹介され、更に〔原文の一部〕も載せられているので、賢治の童話の取っ掛かりに便利そうです。

*臙脂色の文字の部分は本文中より引用を行っております。何か問題がございましたら、ご連絡ください。

「「赤毛のアン」の人生ノート」/いき方

 2005-08-17-09:02
熊井明子「「赤毛のアン」の人生ノート」大和出版

「赤毛のアン」ってやっぱり、少女趣味だと感じますか? 私はアンが好きで、彼女はずっと私の「腹心の友」だった。
(アンについては、以前こちら でも記事を書いています )

この本の熊井さんによれば、同年齢でアンに出会って夢中になった人は、その後、三つのタイプに分かれるのだという。
A = アンに対する熱が全くさめないまま、年を重ねていくタイプ
B = 成長して現実を知ると同時に、アンのスピリットもアンの世界も甘くバカらしく感じられて、離れていくタイプ
C = いったん離れて、またアンにかえるタイプ

さっきは「ずっと「腹心の友」」と書いたけれども、私もこの本の熊井さんと同じくCタイプ。もっと難しい本を読まなくてはいけないのかな、と思って難しげな古典名作も読みましたが(これらは、殆ど忘れてしまった)、ほっとして戻っていくのは「アン」の世界でした。

私はこの本で、そんなアンの虹の七色を、一つ一つとらえて、それを透かして見た人生の知恵を書きとめようと試みた。

「あのアンという女の子は常に向上してますね・・・・・・わたしは他の女の子たちにはあきあきしているんですよ。皆、腹が立つくらい、いつも同じですからね。アンには虹のように多くの色合があって、どの色が現れているときも、それぞれ最高に美しい。・・・・・・」
******************************************************
巻頭「幸せになりたいあなたへ」より
作者モンゴメリは、幼いときから、生きることの悲しみを知っている人でした。だからこそ、喜びをもたらす光の素晴らしさがわかり、それを創作の中に描きました。『赤毛のアン』が成功をおさめた頃の日記にモンゴメリは、こんな意味のことを書いています。

批評の一つに「この本は幸せと希望の光にあふれている」と書いてある。この物語が、悩みや憂鬱や苦労の中で書かれたことを思うと、こうした批評には驚いてしまう。
有り難いことに、私は自分の人生の暗い陰の部分を作品から締め出しておくことができる
私は他の人の人生を暗くするようなことは望まない。むしろ希望と光の使者になりたいのだ。
******************************************************
目次
◆<LUCK>の鍵    ?  幸運を引き寄せるヒミツ
◆<LAUGHTER>の鍵  笑いが開く幸福のドア
◆<LEARNING>の鍵   勉強は夢に至る階段
◆<LOOK>の鍵      美しさは顔かたちじゃない
◆<LUXURY>の鍵    生活を薫らせる、ちょっとした贅沢
◆<LOVE>の鍵      あなたの人生を織りなすさまざまな愛
◆<LIGHT>の鍵       アンは人生を照らす光の子

ちょっと、贔屓目に見ている所もあるとは思うけれど、この本、私は好きなのです。アンシリーズ、全部読む返すのがキツイ時など、これをぱらぱらめくったりします。特にその章の扉に引用されているのは、私の好きだった箇所ばかり!特に好きな箇所を以下に引用しておきます。

■<LAUGHTER>の鍵では、『アンの愛情』からの引用
「教授はね、『ユーモアは人生の饗宴においての最も風味に富んだ調味料である。自分の失敗を笑い、そしてそこより学べ。自分の苦労を笑い草にしつつそれから勇気をかきあつめよ。困難を笑い飛ばしながら、それに打勝て』っておっしゃったの。これは学ぶ価値があるでしょう、ジェムシーナ伯母さん?」

■<LEARNING>の鍵では、『アンの青春』からの引用
「でもね、アン、詩人のローウェルがこう言っているではありませんか。『失敗がわるいのではない。目標の低さこそは罪悪だ』とね。わたしたちは、理想をもち、たとえ成功しないとしても、それを実現するために、努力しなくてはいけないのよ。理想がなかったら、人生はみじめなものですよ。理想があればこそ人生も偉大なものとなるのですからね。自分の理想をしっかりもっていることですよ、アン」

■<LOVE>の鍵、同じく『アンの青春』からの引用
けっきょくロマンスはすばらしい騎士がラッパのひびきも華やかに、自分の生涯にあらわれてくるというようなものではなく、いつのまにか、昔ながらの友達が自分の傍を静かに歩いていた、というふうに、忍び寄るものかもしれなかった。見たところは平凡で、散文的だが、不意に、一筋の光線がそのページの上に落ちたとたん、詩と音楽がうかびあがるのである。たぶん・・・・・・たぶん・・・・・・愛とは、黄金の芯のばらが緑の葉鞘からすべり出るように、美しい友情から自然に、花開くものかもしれなかった。
******************************************************
「「赤毛のアン」の人生ノート」における引用は、全て(『赤毛のアン』『アンの青春』『アンの愛情』『アンの友達』『アンの幸福』『アンの夢の家』『炉辺荘のアン』『アンの娘リラ』)、村上花子訳/新潮文庫版から引用されている。アンシリーズは色々な訳が出ているけれど、私のお勧めもやっぱり村岡花子訳。だって、マシュウの「そうさな(well now)」が聞けなかったら、淋しいじゃない?
熊井 明子
「赤毛のアン」の人生ノート―あなたの夢が実現できる7つの鍵

*臙脂色の文字の部分は、「「赤毛のアン」の人生ノート」の地の文からの引用、橙色の文字の部分は、モンゴメリの文からの引用です。何か問題がございましら、ご連絡ください。

懐かしい本/「ドリトル先生の英国」

 2005-04-02-08:40

懐かしついでにもう一冊。
「ドリトル先生」は実は全巻読み通したわけではなかったけれど、井伏鱒二の訳、ドリトル先生の優しさ、登場する動物達の個性、挿絵、装丁の美しさ等が強く心に残っているシリーズ。
先生の旅行の行先の決め方にわくわくしたものです。
目を閉じて地図を鉛筆で突き、鉛筆のあたった場所へ行く

南條竹則「ドリトル先生の英国」文春新書

これは英文学者である著者が、子供の頃親しんだ「ドリトル先生」を全巻再読し、子供の頃は見過ごしていた細部の発見を著した本。

「ドリトル」先生は「do little(為すこと少なし=ろくでなし)」先生であったこと、この物語が第一次世界大戦をきっかけとして生まれたこと(こちらは有名だそうですが、子供だった私はすっかり読み飛ばしていたものと思われます)。
作者ロフティングが戦地で感じた馬への気持ちから、動物語を話せるお医者の物語が生まれたこと。
ドリトル先生の物語の中に巧妙に混ぜられた現実や、ドリトル先生の博愛精神、個性的な動物達。

何より、この著者がドリトル先生の物語を、深く愛していることがよく伝わる一冊でした。懐かしかった!ちょっと突き合わせて「ドリトル先生」を再読したくなりました。








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著者: 南條 竹則
タイトル: ドリトル先生の英国

懐かしい本/「イギリス7つのファンタジーをめぐる旅」

 2005-04-01-09:41

さくまゆみこ「イギリス7つのファンタジーをめぐる旅」メディアファクトリー

7つのファンタジーとは、以下のものを指す。?

ビアトリクス・ポター「ピーターラビットのおはなし」、ルイス・キャロル「ふしぎの国のアリス」、A.A.ミルン「クマのプーさん」、J.M.バリ「ピーター・パン」、チャールズ・ディケンズ「クリスマス・キャロル」、ケネス・グレアム「たのしい川べ」、ルーシー・ボストン「グリーン・ノウの子どもたち」。



「クリスマス・キャロル」のみ少し大人になってから読んだのだけれど、後は懐かしい懐かしい本たち。これは、これらの本が描かれた背景及び作者自身の生涯を追った本。写真や地図も付いています。





「ピーターラビット」:子供の頃、確かに恐怖を憶えた「お父さんは、人間のお百姓マクレガーさんにつかまり、パイにされて食べられてしまった」という一文。ビアトリクス・ポターはファンタジーに生きたのではなく、現実に生きた人であったこと。



?「アリス」:こんなナンセンスな物語を書いたキャロルは、そういえば数学者だった。現実をよく踏まえていたからこそ、こんなお話が書けたのかなあ。



「プーさん」:この本があまりにも有名になりすぎて、息子クリストファー・ロビンとの仲が上手く行かなくなってしまったのだよね(椎名誠さんの「岳物語」を思い出したけれど、こちらは丁度良い距離を保つことで、良好な親子関係となっているようで良かった)。



「ピーター・パン」:確かにインディアンを一段低い存在と見なしていたり、女性の理想像を良妻賢母としていて、そこには違和感を覚えていたんだよなあ。でも、私だったらウェンディのように帰ったりしない!ピーターと一緒にいるのに!、と随分夢中になったものだった。



「グリーン・ノウ」:この本だけは他のものと違って、暗い深いイメージが印象に残っていた。それは「母は亡くなり、父と継母はビルマ。普段はイギリスの寄宿舎にいる」という孤独なトーリーの設定によるものなのか、「17世紀にこの館【グリーン・ノウ】で暮らしていた子ども」が出てくるという設定によるものだったのだろうか。適切な表現かどうか分からないのだけれど、アジア的混沌を感じていたのだった。





何かの情報番組などで既に得ていた知識もあったけれど、懐かしい本たちの背景が綺麗に纏められていて、私にとって良い一冊でした。写真もまた美しかった。いい本を書いたからと言って、全ての作者の人生が幸福だったわけではないけれど、やはり残された本たちは素晴らしい。幼少期にお世話になったお礼を述べたくなったことでした。

著者: さくま ゆみこ

タイトル: イギリス7つのファンタジーをめぐる旅

ところで、「メディアファクトリー」リクルート社から出版されているものだとばかり思っていた、雑誌「ダ・ヴィンチ」。いつの間にか、メディアファクトリーから出版されていますよね・・・。あれ???
あと、一応もう少し字のあるものを、と思いピーター・ミルワード著、小泉博一訳「童話の国イギリスマザーグースからハリー・ポッターまで」中公新書も読んだのだけれど、こちらはちょっと私には難しかった・・・。でも英語の韻を踏んだ詩的表現などはよく分かったし、賛否両論があると思われるハリー・ポッターに対し(著者はカトリック司祭かつシェイクスピア学者であるとのこと)、好意的であった。
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つな がる

Author:つな がる
つなです。
「日常」logとも称していますが、そう多くはない手持ちの本、興味が赴くままに借りてきた図書館本の感想が主になります。
興味を持った記事があったり、あなたが読み終えた本について語っていたら、是非あなたの感想を教えて下さい。お待ちしています。

2008年3月23日に、fc2ブログに引っ越してきました。それ以前のamebaブログでの更新も、引っ越しツールによって移行しています(以前の記事は、表示が少々見辛いかもしれません。ご容赦を)。

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