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「死神の精度」/生か死か

 2007-12-11-22:24

伊坂 幸太郎

死神の精度


目次
死神の精度
死神と藤田
吹雪に死神
恋愛で死神
旅路を死神
死神対老女


目次を見てもひたすら死神死神なんだけれども、そう、これは人間界でオシゴトをする死神・千葉のお話(人間界で仕事をする死神には、なぜか地名に基づいた名前がある)。

人間界においては完全に旅人であり、様々な感情、感覚を、借りた男性の体を使って、しっとりと味わっていくブラッド・ピット主演、ジョー・ブラックをよろしく(感想はこちら )と同様に、「死神」は人の微妙な機微や、言い回しが分らないけれど、これはどちらかというと缶コーヒー「BOSS」における、トミー・リー・ジョーンズ演ずる宇宙人の方がイメージに近いかなー。余計な仕事はしないことをモットーとしているし、結構冷たくも感じそうな部分もあるけれど、自分とは違う存在である人間を、仕方ないなと見守ったり、その不思議さ、脈絡のなさを尊重しているように思うのです。

ちょっとお茶目な面も用意されていて、それは死神たちの特性として、「ミュージック」を何よりも愛するところ。調査部に属する死神のお仕事は、情報部(やつらは、いつだって必要な情報しか与えてくれない。こちらから特に聞かない限りは!)から渡されたスケジュール表を元に、死を迎える人間に接触し、その人間の死を見定めること。彼が「可」と言えば一週間後にその人間は死に、「見送り」と言えばその人間は生き続ける。大抵は「可」の判定を下すこの死神・千葉。さっさと仕事を終わらせれば良さそうなものだけれど、どうも、この死神たちは「ミュージック」を聞きたさに、調査を延ばしているようなところもある。同業者に会うのは、どこよりもCDショップの確率が高い。

仕事で人間界にやって来る時は常に雨が降っていて、これまで晴天を見たことがなかったこの死神・千葉。この短編は、短いスパンの話ではなくて、実は長い期間にまたがる話。
最後に千葉がみた景色が良い。

人間というのは、眩しい時と笑う時に似た表情になる。眩しいのと嬉しいのは似てる?
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「陽気なギャングが地球を回す」/陽気なギャングだ、地球を回せ

 2007-11-23-00:14
伊坂 幸太郎
陽気なギャングが地球を回す (祥伝社文庫)

目次
第一章
悪党たちは下見のあとで、銀行を襲う
「犬の吠える相手が泥棒とはかぎらない」
第二章
悪党たちは反省を行ない、死体を見つける
「税金と死ほど確かなものはない」
第三章
悪党たちは映画館の話をし、暴力をふるう
「鞭を惜しむと子供はだめになる」
第四章
悪党たちは作戦を練り、裏をかかれる
 新書刊行時あとがき
 解説 ギャングをめぐる二つの考察と二つのおしゃべり
    ミステリ書評家・村上貴史


如何にも、伊坂さんらしく、つまらない(その時点では、という意味で)伏線が、ラストにはぴたぴたとはまり、自分たちなりの道徳観と判断指標を持つ人間たちが活躍する小説です。

ここでいうギャングとは、それぞれに特殊能力を持ち、けれども日常生活では普通の社会人としての顔を持つ、四人の銀行強盗グループのこと。銀行強盗という、一般には犯罪であり、そこに至るまでは高い障壁があると思われる行為であっても、彼らは飄々とその「仕事」をこなす。特にお金が必要なわけではなく、偶然、映画館爆破事件とその後の銀行強盗事件に居合わせたために、銀行強盗グループを組むことになった彼ら。人質となって銀行強盗を観察する機会を得たために、皮肉にもどうすれば銀行強盗が成功するか?ということが、理解出来てしまったというわけ。

分かったからには、実行しちゃいましょう、というノリの彼らの犯罪はとってもスマート。通報する隙を与えず、籠城することもなく、仲間の一人である響野が演説をぶっている間にボストンバックに札束を詰め、正確な体内時計を持ち、自動車の盗難だって朝飯前の雪子の待つ車で逃走する。そもそも、銀行から金を頂くとはいえ、それはきっと保険会社の懐が痛むだけで、誰も傷つけることのない実にスマートな犯罪なのだ(本当か?、という気もするけど。笑)。

そんな彼らとは対極に立つ、荒っぽい現金輸送車襲撃事件も、同時に街を賑わしていた。そうして、なぜか現金輸送車ジャックとニアミスした彼らは、みすみす銀行から奪った金と逃走用の車を、彼等に奪い去られてしまう。なぜ、そのグループにタイミングがばれたのか? 彼等の狙いは車だったのか、金だったのか? そこには、雪子の元・夫、地道(という名だけれど、「地道」さからは対極にある男)が関係しているようで…。

と、筋はこんな感じなんだけど、筋はどうでもいいというか、ギャングたちの個性が面白いお話です。映画化もされてたし、続編もあるのですね。これは映画化したくなるのが良く分かるな~。同じ伊坂作品でも、「アヒルと鴨のコインロッカー 」は映像化なんて、んな無茶な、と思ったし、「重力ピエロ 」もちょっと辛いと思うけど、これは普通に映像化出来ちゃうように思います。



さて、ここで、簡単にギャングたちの特徴をメモ。それぞれ、単独の能力としては銀行強盗に役立つものとは思われないけれど、四人集まると、立派な犯罪グループが出来上がるのです。そう、最初の伊坂さんの言葉にある通り、銀行強盗は四人いるのです。

■リーダー格の成瀬
:市役所勤務。その人間が嘘を吐いているかどうかを、完璧に察知することが出来る人間嘘発見器。別れた妻と、自閉症の息子、タダシがいる。
■嘘しかついたことがない、と評される響野
:妻、祥子と共に喫茶店を経営する。ボクシングでインターハイに出たことがある。演説が得意。
■人間よりも動物をこよなく愛する若者、久遠
:卓越したスリの技術を持つ。
■精巧な体内時計を持つ、雪子
:車の盗難もお手の物。慎一という、高校生の息子がいる。

その他、辞書の内容をイメージしたという、文章中に出てくる記述も楽しい。これは、『広辞苑 第五版』の記述に伊坂さんが脚色を施したのだとか(「アヒルと鴨のコインロッカー」といい、伊坂さんは広辞苑派なのかしらん)。

たとえば、【会話】では、「二人あるいは少人数で、向かい合って話し合うこと。また、その話。成立することは困難。どちらかが満足を得ると、どちらかは忍耐を強いられることが多い」とか、ちょっとシニカルな感じ。ちょっとくすり、くらいな感覚が程良いのでは。

☆関連過去記事☆
オーデュボンの祈り

「チルドレン」/奇跡を起こせ!

 2006-08-10-22:03
伊坂 幸太郎
チルドレン

物語の中心となるのは陣内という、一人の男。
逆さに吊るせば、「失礼」と「無遠慮」が落ちてくるような男であり、言っている事、やる事も滅茶苦茶ながら、彼なりのポリシーを持って生きている。

これはそんな陣内の、学生時代と家裁調査官になってからの、五つのお話を綴ったもの。

脇を固めるのは、学生時代からの付き合いで言えば、陣内に振り回されがちな鴨居、ふとした事から知り合った、盲目の青年、永瀬、その彼女の優子。
陣内が家裁調査官となってからは、ちょっと頼りない後輩の武藤。

ふざけているようでありながら、真面目。真面目なことを言っていても、重さはなくあくまで軽妙。いかにも伊坂作品!な物語でありました。

目次
バンク
チルドレン
レトリーバー
チルドレン?
イン

バンク
:学生時代に、鴨居と陣内が銀行強盗の人質にされたお話。
 そこで二人は、盲目の青年、永瀬と出会う。

チルドレン
:家裁調査官となった陣内と、その後輩、武藤のお話。
 武藤が面接した、奇妙な父子のお話。

レトリーバー
:盲目の青年、永瀬の彼女、優子が語る、彼らの黄金時代、学生時代の話。
 黄金時代とは決して現在のことではなく、後になって分かるもの。
 陣内が巻き起こした「事件」の話。

チルドレン?
:少年事件担当から家事事件担当へ異動した、陣内の後輩、武藤のお話。
 大人が格好良ければ、子供はぐれない。陣内に巻き込まれた武藤は、
 陣内と共に人為的に「奇跡」を起こす。

イン
:永瀬が語る、彼らが学生時代の話。
 永瀬と優子は、陣内がバイトをしているという、デパートの屋上に行って
 みるが、そこに居たのは期待したようなバンドの演奏をする陣内ではなかった。

良かったのは、「チルドレン?」。

俺たちの仕事は奇跡を起こすこと。
ところで、あんたたちの仕事では、奇跡は起こせるのか?

非行少年を更生させるのは難しい。それはまさに、奇跡を起こすことに等しい。

でも、それにチャレンジするのは格好いいし、大小の違いはあれど、人生って実は奇跡の連続なのかもね。

「オーデュボンの祈り」/奇想天外だけど・・・

 2005-10-07-08:01
伊坂幸太郎「オーデュボンの祈り」

カカシを殺したのは誰?

「カカシを殺す」って普通はおかしなことだ。けれど、ここではおかしくない。なぜなら、この「カカシ」はただのカカシではなく、ものを言う、預言するカカシだから。そんなの、私たちが知る普通の世界では有り得ない出来事。そう、この物語の舞台は、外界から隔絶した「荻島」という島。島の住人、日比野がいうには、この島はこんなところ。

「この島は孤立している。閉じこもっているんだ。仙台なんかと行き来があるものか。俺はこの島で生まれたし、このまま外に出ることもなく、死ぬ。小さな荻島の数千人はみんなそうだ」

「変な島だろ。ここは本当の孤島だ。外界とは隔絶している」

主人公である伊藤は、百五十年ぶりにこの島にやってきた、二人目の人間。日本の開国とほぼ逆行するように、百五十年間も鎖国を続けているこの島には、ここには大事なものが、はじめから、消えている。だから誰もがからっぽだ。島の外から来た奴が、欠けているものを置いていく』という伝説がある。

物言うカカシ・優午を殺したのは誰? 島に欠けているものは何?

島の人間たちは、みな、どこか変わっている。それは伊藤を案内してくれる日比野だってそうだし、その他にも、嘘しか言わない変人画家・園山、唯一人外の世界と行き来をしている、熊の様な男・、島のルールであり、武力を行使する男・、あまりに太りすぎてその場から動けない女・ウサギ、地面に寝転がって心臓の音を聞く少女・若葉、妻である百合ちゃんを盲目的に信仰する郵便配達員・草薙、鳥が大好きで足が不自由な男・田中などなど、どれも一癖ある人物ばかり。

更に、伊藤のいた元の世界の住人である、強迫的に仕事に没頭する元恋人・静香伊藤とは中学時代からの因縁がある、最低の警察官・城山が加わって、物語は進行する。

伊坂さん得意の全てが繋がっていく物語。少々馬鹿馬鹿しくもある設定だけれど、美しい島の描写のせいか、どこか淋しげな日比野のせいか、はたまた優しい優午のせいか、私はこの物語がとても好きだった。

ラスト、まだ若く達観する前の、意地を張って見せたりもする優午も、微笑ましくていい。

 ←私が読んだのはこちら
伊坂 幸太郎
オーデュボンの祈り

 ←既に文庫化されています
伊坂 幸太郎
オーデュボンの祈り
*臙脂色の文字の部分は本文中より引用を行っております。何か問題がございましたら、ご連絡ください。


これ、伊坂さんのデビュー作なんだそうだ。
後の物語の片鱗となる部分があるようにも思う。

☆関連過去記事
 廻る廻る/「アヒルと鴨のコインロッカー
 兄弟/「重力ピエロ

兄弟/「重力ピエロ」

 2005-04-24-09:26
伊坂幸太郎「重力ピエロ」

兄弟とカテゴライズするのもどうかと思うのですが、昨日の「間宮兄弟」繋がりで、こちら。
「アヒルと鴨のコインロッカー」が面白かった伊坂幸太郎さん、図書館で借りてきました。いつも装丁がとても綺麗。

「泉水」と「春」。英語にすると共に『スプリング』となる名を持つ、二人の兄弟の物語。過去彼らの家族を襲った事件、彼らの子供時代の話、グラフティーアート、ネアンデルタール人とクロマニョン人、ピカソ(ピカッソ?)、放火事件、コノハナノサクヤビメ、兄弟の職業、ガンジーと徳川綱吉などなどが、今回のピース。やはり明るくくっきりとした書き方で、これらのピースがぴたりと嵌まっていく。

「アヒルと鴨」の読後感と似ているかなあ。あと、章のタイトルがすごくかっこいいと思う(嗚呼、私のボギャブラリーの貧困ぶりが思いっきり露呈。でも、言葉フェチ的に楽しいタイトルだなあ、と思います)。

「目に見えるものが一番大事だと思っているやつに、こういうのは作れない」
「本当に深刻なことは陽気に伝えるべきなんだよ」
「重いものを背負いながらタップを踏むように」
「ピエロが空中ブランコから飛ぶ時、みんな重力のことを忘れているんだ」
「楽しそうに生きてればな、地球の重力なんてなくなる」

春、いいなあ。お父さんも素敵。「俺たちは最強の家族だ」。お母さんも。
過去の名作、「金閣寺」や「地獄変」を「ただの青春小説」と表現するのにも賛成!
(でも泉水が「おまえは何でもかんでも青春小説にするんだな」と言ってるから、作者の考えはどっちなのかしらん?)

『WEB本の雑誌』「作家の読書道」 によると、伊坂さんは、
「若者たちのちょっと変わった生活と、不思議な冒険を融合させたものを読みたいとは思いました。そうしたものは、僕が知らないだけだったのかもしれないけれど、これまでにないと思って、だから自分で書いてみよう」と思って本を書かれているらしく、
「大江さんのほかに北方謙三さんや逢坂剛さんも好きで、そういうものを合体させたい、それらの作品の中間にあるものが読みたい」そう。
でも、今の所「ちょっと僕の希望より、軟弱な感じです。書きたいものを書いてはいるんですが、まだ通過点というか、強度でいうとずいぶん弱い感じ」らしい。これからの作品も楽しみではないですか。


ところで、既読の方(以下、反転)、
二十螺旋の捩れの距離を教えてくれる女性って、何のために出てきたのでしょうか?
もしお分かりでしたら、私に教えて頂けないでしょうか?
何の振りなのか分からんかった…。そのピースだけ、どこにも嵌まらず。

*)臙脂色の文字の部分は、引用を行っています。何か問題がございましたら、ご連絡下さい。

著者: 伊坂 幸太郎
タイトル: 重力ピエロ

廻る廻る/「アヒルと鴨のコインロッカー」

 2005-04-03-09:40

懐かしい本が続いたので、少し新しい本を。

伊坂 幸太郎「アヒルと鴨のコインロッカー」

感想を書くのが難しいけれど、面白い本でした。
二つの話が同時進行していき、最後に収束していく所など、村上春樹「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」を思い出しました「世界の~」は私が唯一読了した村上春樹の本(村上なら龍派です)。
またしても「世界の~」が手元にないので、本当に印象のみなのだけれど、内容に関わりなく、何となしに全編に流れている明るい感じなどに、似た雰囲気を感じました。

輪廻転生を信じるブータン人、いろいろなピースがぴたりとはまる所。上手いなあ、と思いました。この作者の他の本も読んでみよう。3人の物語はまだ続いていくのだろうか。そして遅れて参加することになった彼の物語は、別の次元で続いていくのだろうか。

何かぐるぐると、余韻が残った。

珍しく短い感想になりました。つい最近読んだからでしょうか。本は自分の中に置いておく期間が長ければ長いほど、自分の中の何かとどんどん結合していくのかもしれません。この本は、今後私のどの記憶と結合していくのだろうか。今の所「世界の~」の印象と結合しているくらい。

著者: 伊坂 幸太郎
タイトル: アヒルと鴨のコインロッカー

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○ローマ法王死去
私はプロテスタントからカトリックに転んだ人間なので、実はあまり「法皇様」という存在に対して、特に思い入れがあるわけではない。しかし、周りの信者の方々は法王を「パパさま」と呼び、親しんでおられた。一つの宗教に対する賛否は色々とあると思うのですが、世界各国を訪問し平和のために尽力されたのは事実だと思います。長期間に及ぶ任期、お疲れ様でした。

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プロフィール

つな がる

Author:つな がる
つなです。
「日常」logとも称していますが、そう多くはない手持ちの本、興味が赴くままに借りてきた図書館本の感想が主になります。
興味を持った記事があったり、あなたが読み終えた本について語っていたら、是非あなたの感想を教えて下さい。お待ちしています。

2008年3月23日に、fc2ブログに引っ越してきました。それ以前のamebaブログでの更新も、引っ越しツールによって移行しています(以前の記事は、表示が少々見辛いかもしれません。ご容赦を)。

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