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「歩く」/それは小さな一歩から

 2007-12-17-23:29
歩く歩く
(2007/05/25)
ルイス・サッカー

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」、サイドストーリー的な「 」に続くのは、アームピット<脇の下>を主人公とした物語。

あのグリーン・レイク・キャンプ少年院(文庫を確認したら、”グリーン・レイク少年矯正キャンプ”でした)を出たアームピットは、レイククリーク灌漑造園会社に時給七ドル六十五セントで雇われ、またしてもシャベルを握っていた。

地元オースティンに戻ってくるとき、アームピットが自分に与えた課題は五つ。その一、高校を卒業する、その二、仕事を見つける、その三、貯金をする、その四、喧嘩の引き金になりそうなことはしない、その五、アームピットというあだ名とおさらばする。そう、大切なのは、こういった地道な一歩一歩。カウンセラーは言う。グリーン・レイク・キャンプを出たアームピットの人生は、いわば激流の中を上流に向かって歩いて行くようなもの。それを乗り切るコツは、小さな一歩を根気強く積み重ねて、ひたすらに前に進むこと。もしも、大股で一気に進もうとしたならば、アームピットは間違いなく流れに足元をすくわれて、下流へと押し戻される…。

さて、オースティンには、同じくグリーン・レイク・キャンプを出たX・レイ<X線>が居た。地道な生活を心がけるアームピットに対し、X・レイは浮ついた考えを捨てきれないようで…。X・レイがアームピットに持ちかけてきたのは、人気歌手、十七歳のアフリカ系アメリカ人の少女、カイラ・デレオンのコンサートチケットのダフ屋行為。

勿論、地道な生活を心がける者ならば、こんな誘いに乗ってはいけないのだけれど…。話に乗ると告げた時から、後悔が始まっているというのに、アームピットはそのままずるずるとX・レイに引き摺られることに…。

さて、このアームピットとX・レイの話に挿入されるのは、人気歌手カイラ・デレオンその人の生活。三週間半で十九のホテルのスイートに泊まるような生活だけれど、大人ばかりに囲まれた彼女の生活もまた、それはそれで大変そうで…。

アームピットとカイラの人生が交わるとき、さて、何が起こるのか?

同じく、グリーン・レイク・キャンプに居たとはいえ、やってもいない盗みのせいで捕まった、「穴」の主人公、スタンリーとは異なり、アームピットは同情の余地があるとはいえ、実際に罪を犯した少年です。その辺は、だから物語としては、高校におけるアームピットの苦労や、家族のアームピットへの目など、少々厳しくなっているようにも思います。

そんなアームピットを助けるのは、高校の同級生の女の子などではなく、隣の家の脳性まひの白人の女の子、まだ十歳のジニー。年や肌の色、性別は違えど、二人は親友。結果として、アームピットとカイラを結び付けるのも、このジニー。ジニーとアームピットとの会話はほのぼの。ガタイのいい黒人の青年と、よわよわしい白人の女の子。好対照の二人だけれど、人間は誰かに尊重されることで、初めて自分を大切に思えるもの。アームピットはまさにジニーによって、そういった感情を引き出される。

訳者は変われど、ルイス・サッカーの本のリーダビリティは全く変化なし。ちょっとのつもりで読みはじめたら、ぐいぐいと読み進んでしまいました(しかし、金原さんって、翻訳ものの児童文学の内、えらい数に顔出してませんか??)。

 小さな一歩
  いく当てはない だから
   小さな一歩で

    一日一日を生き抜いていこう
     小さな一歩で
      どうにか自分を取りもどせたら
       道の途中で いつかわかるかもしれない
        自分はいったいだれなのか
                             (P343より引用)

そして、アームピットは最後にまた五つの目標をたてる。
その一、高校を卒業する、その二、オースティン・コミュニティ・カレッジに二年通う、その三、テキサス大学に編入できるようにがんばる、その四、やばい事には手を出さない、その五、アームピットっていうあだ名とおさらばする。

爽やかな青春小説です。是非この続きも読みたいもの! そして、弁護士もしくは有名なペテン師になれるのでは?と揶揄される、X・レイの物語も読みたいなぁ(最後、ちょっと見直すものの、X・レイって調子良すぎて、ひどいのだものー。いくら笑顔が良くたって、ダメだよう。ええ、ぜひ更生して貰いたいものであります)。グリーン・レイクものとして、色々な登場人物にスポットが当たるシリーズが出来れば嬉しいな~。

*臙脂色の文字の部分は本文中より引用を行っております。何か問題がございましたら、ご連絡ください。
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「道」/スタンリー・イェルナッツ、かく語りき

 2006-10-04-22:04
ルイス・サッカー, 幸田 敦子, Louis Sachar


これは、スタンリーがあのグリーン・レイク・キャンプ少年院を生き抜くための知恵を教えてくれる本。

グリーン・レイク・キャンプ少年院がどんな所かって言えば、そこはこんなところ。レイクと名が付くものの、そこには水なんて一滴もない。少年たちは、熱と埃にまみれた荒れ果てた大地に、毎日一つずつきっかり直径1.5メートル、深さ1.5メートルの穴を掘る。所長は穴を掘らせるのは少年たちの更生のためだって言うけれど、前作「 」を読んだ読者は、それが違うってことはもう分かってるよね。

さて、前作「穴」の最後において、グリーン・レイク・キャンプ少年院は閉鎖されたはずだったんだけど、お偉方が「根性を鍛える」ことにいたく共感してしまったせいで、少年院は再開、でもって、あの女所長はまたしても、ボスに返り咲いたんだそうだ。

だから、スタンリーはこの本を書いた。スタンリーが語る、キャンプでの生き残りの知恵やコツは、グリーン・レイク・キャンプ少年院だけでなく、どこかの施設に入る誰かのためにも、きっと役に立つはずなんだ。

目次
まえがき
プロローグ 独り
1 やつら
2 鎧
3 嗚呼!
4 蠍
5 命綱
6 蜘蛛
7 穴
8 真相
9 蛇
10 作法
11 蜥蜴
12 あいつ
エピローグ 旅立ち
あとがき

1~6まであるサバイバル・テストが途中に挟まる。でも、その問いがたとえ三択であったとしても、油断しちゃいけない。繰り返し語られるのは、自分の頭で考える事の大切さ。

「穴」の登場人物のその後についても、少々匂わせたり、「旅立ち」の章では二、三行で軽く説明はなされるんだけど、全編通して考えれば、「穴」の続編というよりは、サイド・ストーリーといった感じかな。

ガラガラ蛇や、蠍、タランチュラ、なんてーのには、なかなか出遭う機会がないとは思うけど、スタンリーが語る言葉には、人生の真実がちらほらと見え隠れしている。

いま、きみの人生は、いばらの道にさしかかった。遠からず、きみは穴掘りマシンになる。全身に、かたい筋肉がついてくる。心にも、魂にもだ。そうでなければ生き残れない。でも、きみのなかの奥深くに住む大切な<だれかさん>と―自分自身と―疎遠になってはいけないよ。いつも見つめあってこそ、ほんとうに、きみは生きのびられるんだ「あいつ」より)。

*臙脂色の文字の部分は、本文中より引用を行っています。何か問題がございましたら、ご連絡ください。

「顔をなくした少年」/ 少年は呪われた

 2006-10-02-21:55
 
ルイス サッカー, Louis Sachar, 松井 光代
顔をなくした少年 
新風舎

デーヴィットは、最近、全くついてない。

二年生の時からの大親友スコットは、気付けばクラスの人気グループのロジャーたちに取り入っており、ある日突然、デーヴィットを邪魔にするようになった。ロジャーたちに「クールなやつ」と思われるために、スコットはことさらにデーヴィットを馬鹿にする。それを見たロジャーたちや、彼らにくっ付く一番人気の女の子達も、勿論デーヴィットを馬鹿にする。

おまけに、「友だち」だと信じて、ロジャーやスコットたちと、杖を盗みに入った、魔女と噂のベイフィールドさんの家で、スコットだけが呪いをかけられてしまう!

「おまえのドッペルゲンガーがおまえの魂を吸い上げてしまうだろう!」

ベイフィールドさんは、顔を盗む魔女との噂。居間の壁には、彼女がこれまで盗んだ顔がかかっているのだ。

さて、勿論、盗みなどしたくはなかった、デーヴィットの胸は痛む。ロッキングチェアを引き倒され、少年たちに振舞おうとしたレモネードを顔にかけられ、また投げ入れられた水差しで窓を割られてしまった、可哀想なおばあさん・・・。

ところが、デーヴィットの身に、ベイフィールドさんにした事と、全く同じ事が起こり始め、魔女の呪いは現実的なものとなる!一体、僕はどうなってしまうのだ? このままでは、本当に顔を失くしてしまうのか?

スコットという友だちを失くしたデーヴィットは、身近にいた友人に気付く。転校生で、いつも青いサングラスをしているラリー、口では決して負けない女の子、モー。彼らはクールではないし、どちらかというと、「ダサい」存在だけれども、クールなことって、本当に重要なこと?

呪いの事を気にしつつも、デーヴィットには気になる女の子もいる。「ハイ!ミス・ウィリアムズ」、「ハイ!ミスタ・バリンジャー」と挨拶をし合う女の子。まだファースト・ネームも知らないけれど、彼女もデーヴィットに好意を持ってくれているよう。でも、好きな女の子の前で、呪いによる無様な姿を晒したくはない!

ロジャーたちのデーヴィットへのいじめはどんどんエスカレートし、また「呪い」も一向に解かれる様子がない。デーヴィットを盲目的に尊敬していた弟、リッキーとの仲もどんどんおかしくなり、リッキーもまた痣などを作って帰ってくるようになる・・・。

さて、デーヴィットは、このまま本当に顔を失くしてしまうのか??
一生、魔女の呪いから逃れることは叶わないのか?

最後まで読み通すと、にやり、じんわり。

人気グループに付いて行こうと無理をしている子供たち、現在いじめられてしまっている子供たちに是非読んでもらいたい本。幸運にも、どちらの立場にないとしても、非常に面白い本。

☆関連過去記事:「
」/Stanley Yelnats ←こちらも抜群の面白さ

「穴」/Stanley Yelnats

 2006-01-10-10:16
ルイス・サッカー, 幸田 敦子, Louis Sachar


Stanley Yelnats。前から綴っても後ろから綴っても同じ名前を持つ、スタンリーはいつだって「まずい時にまずい場所に」いる少年。実は「ツイてない」のはスタンリー一人だけの問題ではなく、スタンリーに至るイェルナッツ家の四代にわたってずっとそう。ちなみに、回文調の綴りが気に入ったイェルナッツ家の者は、この名前が大好き。息子は代々「スタンリー」と名づけられた。

初代スタンリー・イェルナッツ。つまりこの物語の主人公、スタンリー少年のひいじいさんに当たる人物のみは、その後に続く「スタンリー」のような負け犬ではなく、株で大儲けした人物だと、スタンリーの母はツイていない男どもを励ます。ひいじいさんは確かに成功したのだけれど、ニューヨークからカリフォルニアへ移る途中、無法者<あなたにキッスのケイト・バーロウ>に襲われて、身ぐるみをはがされた。ために、スタンリーたちは豪邸で生活するわけにはいかず、「ツイてない」まま貧乏生活を送っている。スタンリーの父さん、発明家スタンリー三世が現在熱中しているのは、おんぼろスニーカーを再利用する方法」だ。

さて、少年スタンリーは、やってもいない盗みのせいで、「グリーン・レイク・キャンプ少年院」に送り込まれる。グリーン・レイクとはいうものの、湖とは名ばかり。その昔、百年以上も前には、テキサス一のとても大きな湖があったのだが・・・。荒れ果てた不毛の大地で、熱と埃にまみれながら、スタンリーたち収容された少年は、毎日ひとつ穴を掘る。更生のためであると、所長たちは言うのだけれど、これは一体何のため?

この「キャンプ」では少年たちは、奇妙なあだ名で互いを呼び合う。スタンリーに付けられたのは、<原始人>というあだ名。<原始人>スタンリーは、一族に伝わる呪いの言葉、あんぽんたんのへっぽこりんの豚泥棒のひいひいじいさんのせいだ!」を吐きながら、ひたすら穴を掘り続けることになる。

イェルナッツ一族に伝わる呪いの言葉は、実はあながち間違いではない。スタンリーのひいひいじいさん、ラトヴィア生まれのエリャ・イェルナッツと、マダム・ゼローニの約束。山のてっぺんにある、上に向かって流れる小川。更にはスタンリーのひいじいさんが襲われた、<あなたにキッスのケイト・バルトロウ>が生まれることになった、グリーン・レイクの町でかつてあった悲しい恋の話。後にケイトとなるキャサリンの作る絶品スパイス入りピーチジャム、キャサリンと恋に落ちたサムのタマネギ畑。タマネギの匂いを嫌う、恐ろしい黄斑とかげ。<巨大な親指>(ビッグ・サム)に見える、山の上の巨岩。

一体何のことやら?、と思うこれらの断片が、全て重なり合ってピタリとハマる。

「ああ、もしも―」キツツキはため息ついた。
 「木の皮がほんのちょっぴりやわらかければ」
  その下で、ひとりぼっちの腹ぺこオオカミ、
   じれて、吠えたよ、おつぅ~きさまに。

「ああ、もしも―」
 ああ、もしも―。月は語らず、ひたすらに、
  映し返して、陽を、影を。
   立ち上がれ、疲れた狼、力をこめてふりかえれ。
    翔べ、小さき鳥よ、宙はるか、
     たったひとりの、わたしの天使。

あなたはどちらの歌が好きですか? 私は意味が分からないけど、おつぅ~きさまに」というフレーズが気に入ったので、上に引いた方。原語だとどうなっているのかなぁ。

ぐるぐる回って、ぴったりハマッて。奇妙な味わいだけれど、非常に面白く魅力的な物語。スタンリーの名前も回文だけれど、物語そのものも回文調の趣き。

この本は、「
喜八log 」の喜八さんの記事で知り、図書館で借りてきたものです。
ご紹介、ありがとうございました。

 ■喜八さんの記事はこちら→『


*臙脂色の文字の部分は本文中より引用を行っております。何か問題がございましたら、ご連絡ください。

■「みすじゃん
。」のおんもらきさんの記事にリンク
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プロフィール

つな がる

Author:つな がる
つなです。
「日常」logとも称していますが、そう多くはない手持ちの本、興味が赴くままに借りてきた図書館本の感想が主になります。
興味を持った記事があったり、あなたが読み終えた本について語っていたら、是非あなたの感想を教えて下さい。お待ちしています。

2008年3月23日に、fc2ブログに引っ越してきました。それ以前のamebaブログでの更新も、引っ越しツールによって移行しています(以前の記事は、表示が少々見辛いかもしれません。ご容赦を)。

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