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海堂尊さんにハマり中

 2009-08-13-20:59
今更って言えば今更なんですが、「チーム・バチスタの栄光」を読んで、その面白さに瞠目しましたよ。一緒に借りてきた、「ナイチンゲールの沈黙」も一気読み。

再度図書館に行ったら、「ブラックペアン1988」があったのでこちらも。更にぽちっと予約した「ジェネラル・ルージュの凱旋」も借りだしてきて、その際、ついでに医療系じゃないしなぁ、と迷っていた「夢見る黄金地球儀」も借りてきちゃいました。

今のところ、読了したのは以下のもの。
・「チーム・バチスタの栄光」
・「ナイチンゲールの沈黙」
・「ブラックペアン1988」
・「ジェネラル・ルージュの凱旋」

バチスタとナイチンゲールは文庫上下巻で借りたので、たくさん読んだ気になってたけど、実はまだ四冊なのかー。久々に全部読まなくっちゃ!、という作家さん(現役病理医でもあるけど)です。だって、ほとんど全部の作品が繋がっているんだもの!

しっかりエンターテインメントしながら、現代の医療問題を滑り込ませるその手法がお見事。なんで1つの市を舞台にこんなに沢山の本が書けるんだろう、と思ったけど、1つの市を舞台とすることで現実としっかりリンクしてくるし、何より書きたい問題が海堂さんの中には沢山眠っているんだろうなぁ、と思いました。

「チーム・バチスタ」では、海堂さん悲願のオートプシー・イメージング(Ai)と壊れる医師、「ナイチンゲール」では共感覚(これは医療には関係ないけど)と小児医療。でもって、吃驚したのが、「ジェネラル・ルージュ」が「ナイチンゲール」の対となる作品だったということ! なんと、「ナイチンゲール」と「ジェネラル・ルージュ」は同時進行で起こっている出来事を、二つの作品に分けて語るという、荒業を使用しておられるのです。

「ジェネラル・ルージュ」は力作です。まさに今、赤字という血が流れている救急医療のお話です。それにまだ赤子である倫理問題が絡む。これだって、まだまだ話は広がっていきそうだし、「ブラックペアン」でその若き日を見た花房師長がどうしてこうなってるんだか、気になるー!気になると言えば、「ブラックペアン」では、まだ若くカッコよさ気な高階が、その後ではすっかり「タヌキ」キャラになっていること。あのスマートさには似合わん気がするんですが、どうなんでしょ。しかし、スマートかつ剛腕というのは、部下としては辛いですよね…。

それぞれの感想も後で書きたいなぁとは思うのだけれど、とりあえずこのはまり具合を書きたかったので、まずは一本記事にしちゃいます。
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「青空の卵」/卵の外の青空は

 2009-08-03-14:46
青空の卵 (創元推理文庫)青空の卵 (創元推理文庫)
(2006/02/23)
坂木 司

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内容(「BOOK」データベースより)
僕、坂木司には一風変わった友人がいる。自称ひきこもりの鳥井真一だ。複雑な生い立ちから心を閉ざしがちな彼を外の世界に連れ出そうと、僕は日夜頑張っている。料理が趣味の鳥井の食卓で、僕は身近に起こった様々な謎を問いかける。鋭い観察眼を持つ鳥井は、どんな真実を描き出すのか。謎を解き、人と出会うことによってもたらされる二人の成長を描いた感動の著者デビュー作。

主人公は作者と同名の坂木司。覆面作家だという作者ご自身の姿にも、興味が沸いちゃいます。こんなやさしく、かつ変った物語を書いたのは、どんな人なのでしょう。
目次
夏の終わりの三重奏
秋の足音
冬の贈りもの
春の子供
初夏のひよこ
 文庫版あとがき
 解説        北上次郎
ミステリーとしては、所謂日常の謎的系譜に連なるもの。しかし、この物語が特異なのは、探偵役の鳥井と、ワトソン役の坂木ふたり、それぞれが負っているもの。

やさしい坂木はとにかく良く涙を流す。それまで冷徹に推理を繰り広げていた鳥井は、坂木の涙を見た途端、まるで幼い子供に戻ったように落ち着きをなくしてしまう。自分を平凡極まりないと感じる坂木は、異能の人である鳥井と関わる事で自分の存在意義を感じ、中学生の頃のいじめから鳥井を救った坂木は、鳥井にとって神にも等しい存在となる。有体にいえば、二人は共依存の関係にある。だから、坂木の涙は鳥井を動揺させるし、人の良い坂木を利用しようとする輩を、鳥井は許すことが出来ない。

夏から初夏にかけての一年間、二人は様々な謎と様々な人たちに出会い、少しずつ成長していきます。「春の子供」においては、鳥井はとうとう確執があった父親との和解も果たす。ひきこもりでぶっきらぼうだという鳥井だけれど、大人の策を弄さないだけで、彼はきちんと人間関係を形作る事が出来る。だから、かつて謎に関わった人々が、料理上手な鳥井の部屋に集ったり、その関係は終わる事がない。

大人の視点で推理し、子供の純粋さで語る、という鳥井。坂木と鳥井の関係も、物語が進めばいつか変っていくのでしょう。それでも、彼らの周りには、彼らがそれまでに作ることが出来た人たちとの関係がある。白か黒か、子供と大人が溶け合う中間部分がないという鳥井。潔癖と鷹揚の境界線。それもまた、いつか変っていくのでしょうか。

坂木のいい人ぶりが鼻につく向きもあるかもしれませんが、私は坂木に付き合いたいと思うのです。

「心の中に棲む人と暮らせば、幸せも不幸せも、本物が手に入るぞ」

僕は、本物が欲しい。
僕は、本物になりたい。


続きはこっちだ↓
仔羊の巣 (創元推理文庫)仔羊の巣 (創元推理文庫)
(2006/06/17)
坂木 司

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動物園の鳥 (創元推理文庫)動物園の鳥 (創元推理文庫)
(2006/10/11)
坂木 司

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「一の富」/並木拍子郎種取帳1

 2009-08-03-14:14
一の富―並木拍子郎種取帳 (時代小説文庫)一の富―並木拍子郎種取帳 (時代小説文庫)
(2004/06)
松井 今朝子

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内容(「BOOK」データベースより)
「ちと、面白いことがござりました」―人気狂言作者・並木五瓶の弟子・拍子郎は、“町のうわさ”を集め、師匠のうちに報告にくるのが日課だ。大店の不義密通事件、出合茶屋の幽霊騒動、金貸し老婆の首括り事件…拍子郎は、遭遇する事件の真相を、五瓶とその妻の小でん、料理茶屋のおあさ、拍子郎の兄で北町奉行所に勤めている惣一郎などを巻き込んで、次々と明らかにしていく―。江戸の四季と人の心の機微が織りなす、粋でいなせな捕物帳の傑作シリーズ第一弾。

松井さんの歌舞伎ミステリーを何冊か読んでいたので、その勢いでこちらも。しかし昨今は、近藤史恵さんの「巴之丞鹿の子」とか、所謂捕物帳とは若干違った歌舞伎ミステリーというジャンルが確立されてるみたいですねえ。
目次
阿吽
出会い茶屋
烏金
急用札の男
一の富
 解説  細谷正充
拍子郎だなんてちょっと変な名前ですが、これは師匠の狂言作者、並木五瓶に貰った名前。本名は筧兵四郎という、れっきとした武士の若者なのです。この拍子郎の兄、筧惣一郎が北町奉行所に勤めている関係で、捕物帳としても機能しちゃうわけ。これに化粧もせず、料理が大好きなバラガキ娘、料理茶屋のおあさが加わって…。おあさ坊の作る料理がまた旨そうで。捕物とは関係ないところでも、楽しみがあるのです。

最後の「一の富」では、拍子郎にはある迷いが生じます。この先、彼はどうなるんだろうなぁ。続巻も読もうと思いますー♪ 「一の富」はね、人との縁を語る、五瓶の言葉も良いのです。

「ぼくと、ぼくらの夏」/夏に死んだ

 2009-07-30-14:05
ぼくと、ぼくらの夏 (文春文庫)ぼくと、ぼくらの夏 (文春文庫)
(2007/05)
樋口 有介

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内容(「BOOK」データベースより)
高校二年の夏休み、同級生の女の子が死んだ。刑事の父親と二人で暮らすぼくは、友達の麻子と調べに乗り出したが…。開高健から「風俗描写が、とくにその“かるみ”が、しなやかで、的確であり、抜群の出来である」と絶賛され、サントリーミステリー大賞読者賞を受賞した、青春ミステリーの歴史的名作。

新しい作品かと思っていたら、私が手に取ったのは新装版だったらしく、実際には88年の作品なんですね。解説には「古びていない」とあるんですが、私は時代を感じちゃったなぁ。途中までは、ん?これって時代はいつ?、と思いながら読んでたんです。つまりは古いことに気付かなかったとも言えるので、ある意味では「古びていない」のかもしれないんだけど…。

美人教師、美少女のガールフレンド、バイクを駆る、喫煙、お酒だって飲んじゃう(主人公たちは高校二年生)、なーんてあたりに時代を感じたんですが、如何でしょう? 今の「青春ミステリー」には、あまりないだろうキーワードな気がするなぁ。

男の子と父が二人で住んでる家で、シャワー借りたり、Tシャツ借りたり、あれがどうのこうのって、言わないと思うんだけどなー。とってつけたように、生理の話が出るお話って、あんまり好きじゃないんです(さばけてる女の子、とかそういう面を出したいの?)。

地の語りでは、「麻子さん」と読んでるのに、実際に彼女を呼ぶときは「酒井」と呼ぶ、主人公の戸川くんもなんだか不思議ー。し、しまった、一つもいいことを書いていない! なんかね、でも、この表紙とタイトル、「青春ミステリー」という単語から惹起された自分のイメージだけでも、ま、良かったかな。

「魔法飛行」/魔法を信じるかい?

 2009-07-12-13:23
魔法飛行 (創元推理文庫)魔法飛行 (創元推理文庫)
(2000/02)
加納 朋子

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以前、「ささらさや」(感想)を読んで、面白いんだけど、続けて読むほどではないなぁ、とそれから何となく読んでなかった加納朋子さん。でも、これは純粋に面白かったよ! しかし、これは「ななつのこ」の続編なのでした…。ちょっと失敗しちゃったなぁ。

なんとなーくね、北村さんの「円紫さんとわたし」シリーズを思い出させるところもあるんだけど、こちらは少し凝ったつくり。主人公である短大生の入江駒子(イリゴマと呼ばれることも)は、“瀬尾さん”に向けて近況報告のような物語を書いています。それは、彼女の身近であった、ちょっと不思議な出来事を題材にしたもの。手紙を受け取った”瀬尾さん”は、返信でもって彼女の物語の中の謎に、一つの答えを見せますが…。ここに更に絡んでくるのが、”誰か”から届く手紙。そうして、この”誰か”についての謎は、連作の謎を貫いて、鮮やかに解かれるのです。

可愛らしいイリゴマちゃん(そして、図書館大好き!)、周囲の友人、安楽椅子探偵の”瀬尾さん”。この辺が、「円紫さんとわたし」シリーズを思い出させるのだと思いますが(解説の有栖川有栖さんも関連を指摘されてます)、こちらにはこちらの、また違った魅力がありました。しかし、いまどき電話も引いていないという”瀬尾さん”。不思議なお人ですねえ…。

「ななつのこ」は、「生まれて初めて書いた小説」で、デビュー作なんだとか。こちらのイリゴマにも会いたい!
目次
一 秋、りん・りん・りん
 誰かから届いた最初の手紙
二 クロス・ロード
 誰かから届いた二番目の手紙
三 魔法飛行
 誰かから届いた最後の手紙
四 ハロー、エンデバー
 ”論理(ロジック)じゃない、魔法(マジック)だ”  有栖川有栖
 あとがき
ななつのこ (創元推理文庫)ななつのこ (創元推理文庫)
(1999/08)
加納 朋子

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「私立探偵・麻生龍太郎」/龍太郎、出直しの一歩

 2009-04-24-23:54
私立探偵・麻生龍太郎私立探偵・麻生龍太郎
(2009/02/28)
柴田 よしき

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夜の埠頭(?)に佇む二人の男性。ちょっといやーんな感じですが、RIKOシリーズのスピンオフシリーズ、麻生と山内の物語再び!なのです。

麻生と山内の物語と書いたけれど、これは麻生が警察をやめて、私立探偵を開業したあたりのお話。麻生の私立探偵業がメインのお話なので、山内の影がちらちらは見えるんだけど、「聖なる黒夜」(感想)のように、二人の関係ががっつり描かれるお話なわけではありません。あくまで、「私立探偵」の「麻生龍太郎」のお話なのです。

最初はねー、これ、短編集だと気付かなかったので、こういう何でもないような依頼が、とんでもない事件に結びつくのよねえ、とわくわくしてたんですが、短編だったので、事件としては割と普通のところに収まってました。いや、そこは柴田さんなので、人間のふかーい悪意を、一瞬覗きみてしまったような、鋭い切れ味なんですけど。とはいえ、今までのとんでも事件を考えると、事件としては若干小粒? 「所轄刑事・麻生龍太郎」(感想)のように、同僚が出てくるわけでもない、一人の探偵業だから、余計にそう感じてしまうのかも。

しかし、麻生が事件にかかずりあってる間に、明らかに山内からSOSが出ているのが切ないです。龍太郎はもっと、田村の忠告を聞くべきだったと思います。この段階では、山内はまだヤクザではないんですねえ。間の物語だからこれは仕方がなくて、山内はこの後、ずぶずぶのヤクザになっているので、それはもう、ゴールが見えている、「スターウォーズ」のアナキン・スカイウォーカーを見るかのようなんですが。

えー、最初にRIKOシリーズを読んだとき、こんなにこのシリーズ(というか、追っかけてるのは、既にこちらが本シリーズなのでは?、と思われるこの二人なんだけど。でも、RYUTAROシリーズとかRENシリーズとかも、やだよなぁ。あ、みんな”R”だ!)にはまるとは思わず、しばらくしてから文庫本を手放しちゃったんですよねー。文庫本なんだし、持っとけば良かったなぁ。いやー、RIKOシリーズの麻生と山内の場面だけでも、読み直したいっす。麻生は結局、事務所をこの殺風景な場所から引っ越せたのかなぁ、とか色々気になるー!

うろ覚えですが、RIKOシリーズの最後の方では、緑子が山内の例の事件に迫ってませんでしたっけ? うだうだと悩む男たちに比べ、異常に強い突破力とアクの強さを持つ緑子(なのに、すっかり影は薄いですけど)。緑子が例の事件を調べ始めれば、麻生、山内、二人の関係にも変化が訪れるんじゃないのかなー、などと思ったり。

次は久々に緑子の活躍を見たいなぁ。麻生なんかは、すっかり人間味溢れるキャラになっちゃって、それに比べると、緑子が何だかサイボーグにも思えてくるんですが…(犯されても犯されても立ち上がる…)。

巻末に、シリーズの時系列についての記述がありました。

この物語の主人公である麻生龍太郎は他作品にも登場します。
それぞれ独立した物語で、どれがどれの続編ということはありませんが、
物語の時系列的に並べると以下のようになります。

所割刑事・麻生龍太郎(新潮社)
聖なる黒夜(角川書店)〔文庫〕角川文庫*上下巻で刊行
本書(角川書店)
聖母(マドンナ)の深き淵(角川書店)〔文庫〕角川文庫
月神(ダイアナ)の浅き夢(角川書店)〔文庫〕角川文庫

やっぱり次はRIKOシリーズが読みたいです!(でも、RIKO自身はあまり好きになれない…)
contents

OUR HOUSE
TEACH YOUR CHILDREN
DEJA VU
CARRY ON
Epilogue

「秋期限定栗きんとん事件 上・下」/小市民シリーズ3

 2009-04-06-00:00
秋期限定栗きんとん事件〈上〉 (創元推理文庫)秋期限定栗きんとん事件〈上〉 (創元推理文庫)
(2009/02)
米澤 穂信

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秋期限定栗きんとん事件 下 (創元推理文庫 M よ 1-6)秋期限定栗きんとん事件 下 (創元推理文庫 M よ 1-6)
(2009/03/05)
米澤 穂信

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「春期限定いちごタルト事件」(感想)、「夏期限定トロピカルパフェ事件」(感想)ときて、この「秋期限定栗きんとん事件」では、ラスト、とうとうこの小市民シリーズの世界は高3の秋を迎える…。春夏秋冬、ぐるっと回って、このシリーズももう少しで終わってしまうのかしら、と思うと淋しいなーー。

さて、「夏期~」で袂を分かち、それまでの互恵関係を断ち切った小鳩くんと小佐内さん。小鳩くんには、当世風の彼女が出来、一方の小佐内さんにも、また年下の彼氏が出来たよう。このまま二人は交わらぬ道を歩むかに見えたのだけれど…。
目次
第一章 おもいがけない秋
第二章 あたたかな冬
第三章 とまどう春
第四章 うたがわしい夏
第五章 真夏の夜
第六章 ふたたびの秋
 解説 辻真先
このたび一人称で語るのは、「ぼく」小鳩くんだけではなく、新聞部部員の「おれ」、瓜野くん。瓜野くんは、年上とも知らず、小佐内さんにアタックをし、付き合うようになった猛者でもある。

旧態依然の新聞部を気に入らず、学外の記事を載せるべきだと、堂島健吾部長に楯付いていた瓜野くん。そこで取り上げたのが、木良市で続いていた小火騒ぎ。瓜野くんはほぼ暴走とも言える行動力で持って、犯人を捕まえようと周囲を巻き込むのだが・・・。

途中までは、「月報船戸」(瓜野くんたち新聞部が出している)の騒ぎを横目に、彼女とのデートを楽しんでいた小鳩くん。しかし、何回目かの放火で燃やされたのは、夏のあの事件に関係する車だった。小鳩くんは小佐内さんの関与を疑うのだが・・・。

互いに姿が見えないながらも、再び向き合うことになる小鳩くんと小佐内さん。読んでいるこちらの緊迫感も高まるのだけれど…。なるほどねえ、うっまいなーー。直截は見えないんだけど、どう考えても暗躍してる小佐内さんに、ちょっとにやにやしてしまいます。

確か、「マロングラッセ(仮)」だったはずが、「栗きんとん」になった理由。なるほどねえ。「栗の渋皮煮」でもいいんじゃないかと思ったけど、タイトルとしてはきついですかね。にしても、マロングラッセってああやって作るのね。め、面倒だ…。

ここへきて、自分たちがまったくの小市民ではないことを認めた彼ら。必要なのは、小市民の着ぐるみだったのではなく…。

絶妙のお菓子と、楽しくスリリングな会話。
こういう放課後はやっぱり、素敵の一語に尽きる。

一年たってぐるっと一回り。二人の関係は変わったのかしら? 小鳩くん、ちょっとわかり辛いデス。互いの美学にも目を向けるようになったあたり、ただの互恵関係から、やっぱり変わったんでしょうけれど。

米澤さんの作品は読み易いし、一見可愛らしいんだけど、実際はちょっと暗いというか、ひねくれたところがあるように思うのです。でも、このほんのちょっぴり落された暗さ加減が絶妙で、なんだか後を引くんだよなぁ。

「踊るドルイド」/ドルイドは踊るよ

 2009-02-15-21:55
踊るドルイド (ヴィンテージ・ミステリ・シリーズ)踊るドルイド (ヴィンテージ・ミステリ・シリーズ)
(2008/09/26)
グラディス・ミッチェル

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内容紹介
見知らぬ男に、いきなり車に乗せられ「病人」移送を手伝わされたのだが、その病人は「血を流した死体」のように見えた・・・。
ドルイドが踊りだすとき、バラバラのピースはつながりはじめる――。

amazonの内容紹介も、いやにあっさりなんですが、これはうーん、確かに仕方のない面もあるのかな。グラディス・ミッチェルによる、「ミセス・ブラッドリーシリーズ」の一冊なんだけど、いつものことながら、ミステリの癖にプロットよりも、細部に面白さがあるんだよねえ。

”野ウサギと猟犬”のレース中、”猟犬”として”野ウサギ”を追っていた、青年、マイケル・オハラは、足をくじいた揚句に、内容紹介にもあるように病人の移送を手伝わされる。その後、血だらけの自分に気づいたオハラは、何らかの犯罪に手を貸してしまったことを恐れ、親友、ガスコインと共に、当地に滞在していた知り合いの弁護士のもとを訪ねる。そこにいたのは、彼の母親の、高名な精神科医、ミセス・ブラッドリー。青年たちの話を聞いた彼女は、秘書のローラ・メンジーズと共に、調査に乗り出すのだった…。

タイトルには「ドルイド」とはっきりあって、王家の血をひく若者オハラがいて(でも、王家の血を引いてることの意味が全くなかったような…)、巨石群があって…。確かにドルイドが踊るんですが、あまりそこをメインに考えない方が楽しめるような気もします。どっちかというと、学生たちがクロスカントリーを楽しむ、田舎の長閑な休日とか、ローラや青年二人(しかも、ハンサムなんだよー)の探偵ごっこを楽しむ感じ。陸地の巨石だけではなく、海岸の洞窟なども出てきちゃうんです。

ローラが若い女性であるということを考えると、すわ、二人の青年のうちどちらかとのロマンス?!などと思ってしまうのですが、そこはやはりグラディス・ミッチェル。ローラはかなり逞しき女性であり(具体的な体重の記述によると、かなりいい体格だったような気がするし、格闘になっても負けてません)、青年二人のことなんてお子様としか思ってないんですよねー。かつ、ローラには、実はギャヴィン警部という、婚約者がいるのでした。

今回の魅力はね、もうこのローラ嬢に尽きます! ミセス・ブラッドリーも相当面白がりながら、ローラを見守ってる感じなんだけど、バリバリ車を運転していたり、地図を読み込んでその地を歩き通してみたり、実践派の彼女の活躍が楽しいのです。ミセス・ブラッドリーの身辺で言えば、やたら有能な運転手ジョージもひそかに魅力的。ヘンなところが生き生き描かれちゃうのも、やっぱりグラディス・ミッチェルならではなのかなぁ。

■関連過去記事■
・「ウォンドルズ・パーヴァの謎」/イギリス人のミステリ!
・「月が昇るとき」/ミセス・ブラッドリー

「月が昇るとき」/ミセス・ブラッドリー

 2008-11-30-22:19
月が昇るとき (晶文社ミステリ)月が昇るとき (晶文社ミステリ)
(2004/09/30)
グラディス・ミッチェル好野 理恵

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Ciel Bleuの四季さんとジーヴス物についてお話していた時に、イギリス人のミステリということで思い出したのが、グラディス・ミッチェルによるミセス・ブラッドリーシリーズの「ウォンドルズ・パーヴァの謎 」(感想)だったのです。

で、その時、このシリーズをお勧めした割に、その後、シリーズその他の本を読んでないことを思い出し、借り出してきた本です。サーカスのテント、月、少年と自分が好きな要素が詰まってんなー、と思ったんですが、これが意外に楽しめず。
目次
第一章  骨董屋
第二章  月が昇るとき
第三章  サーカス
第四章  女綱渡り師の死
第五章  女給の死
第六章  亭主、しばし行方不明
第七章  農場に死す
第八章  ナイフ
第九章  月のない夜
第十章  老婦人
第十一章 子守り女の死
第十二章 拾い物
第十三章 分かれ道
第十四章 骨董屋
第十五章 サーカス
第十六章 子守り女の死
第十七章 亭主、しばし行方不明
第十八章 拾い物
第十九章 月が昇るとき
第二十章 老婦人
 グラディス・ミッチェルのオフビートな魅力
目次を書き出してみたら、割と凝った作りだったのかな。

主人公の少年はサイモンとキースという、十三歳と十一歳の兄弟二人。舞台は、ロンドンの西に位置する運河の町。両親は亡く、年の離れた兄夫婦と共に暮らす二人。赤ん坊もいる兄夫婦の家計は決して楽ではないようで、イネス家には若い女性である下宿人、クリスティーナがいる。サイモンとキースの二人はもちろん、兄ジャックもクリスティーナに恋しているといっても過言ではない。逆に兄の妻、ジューンは口うるさく、うんざりさせられる存在なのだが…。

復活祭の祝日に、サイモンとキースの暮らす町に、サーカスがやって来る。二人はサーカスのテントに潜り込むため、夜のうちに隙間を空けておこうと考え、偵察に向かうのだった。その途中、二人は運河の橋の上でナイフを持って佇む怪しい人影を目撃する。翌日、サーカスの綱渡りの女性が殺されていることが分かり、サーカスどころではなくなってしまう。サーカスを楽しみにしていた二人だったけれど、探偵だってやっぱりわくわくするもの。にわか少年探偵となった二人は、この謎に挑むのだが…。

続けて起こる殺人、なんとなく恐ろし気なぼろ屑屋、兄弟の友人である骨董屋の女性との少々奇妙なやり取り、やって来るスコットランドヤードの刑事、内務省の顧問であるミセス・ブラッドリー…。
うーむ、この奇妙なんだけど、微妙にツボを外した感のあるところは、確かにオフビートといえるのかも。若い女性ばかりを狙う切り裂き魔などといえば、割とセンセーショナルだったり、もっとえぐかったりするもんだと思うんだけど、ラストのあの部分を含めてもえぐいところはないんだよねえ。で、少年探偵+ミセス・ブラッドリーという、探偵小説もしくはミステリーであるにも関わらず、ミステリー色は薄いのです。

主眼は月が煌々と照らす中の運河だったり、少年二人の生活だったり、ぎくしゃくしていたけれど、今後は少しうまくいきそうでもあるジャックとジュリーの家庭なんじゃないかしら、と思うのです。ミステリーと思って読むと肩透かしで、その時代のイギリス少年の暮らしと思って読むほうがいいのかなー。ミセス・ブラッドリーも、ウォンドルズ・パーヴァと違って随分大人しいのよ。むしろ、サイモンの目を通してみれば、いい人だし。相変わらず、けたたましく笑ってはいるようだけれど、あんまり強烈エピソードはありません。

教会に対する考え、神に対する畏怖、彼らが通う学校、お茶の時間、食事など、なんだかねえ、イギリスの習慣がほの見えるものの、その辺の知識を持って読めば、もう少し面白いんじゃないかなぁ、と思いました。彼らはたぶん、上流階級ではなく、中流もしくは下級階級の子なのかな。それでも、わざわざ列車に乗って学校に通い、毎晩のように宿題があるんだよねえ。その辺り、ちょっと不思議だったなぁ。上流じゃないから、逆にこうなの?

amazonその他では、詩情にあふれた名作とされ、また著者グラディス・ミッチェル自身も本書がもっともお気に入りの作品なのだとか。それは彼女の子供時代を思い出させるからとのことで、サイモンは自分であり、キースは弟のレジナルドだと言明しているとのこと。というわけで、本書の肝は、この少年たちにどれだけ沿うことが出来るか、ということなのかも。最近、どうも読書の感受性が落ちてるので、ちょっと楽しめませんでした。「ウォンドルズ・パーヴァの謎」は、ミセス・ブラッドベリーのキャラが立ちまくってたので、楽しかったんだけどなぁ。

「人くい鬼モーリス」/ひと夏のミステリー 少女ver.

 2008-11-03-20:20
人くい鬼モーリス (ミステリーYA!)人くい鬼モーリス (ミステリーYA!)
(2008/06)
松尾 由美

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「バルーンタウン」シリーズが有名な松尾さん。「フリッツと満月の夜」(感想)はいまいちだったんだけど、こっちは良かったよー。

フリッツが少年二人をメインとし、海の近くを舞台とする、比較的明るめの作風だとすれば、こちらは美少女二人がメイン、携帯も圏外となる避暑地の別荘を舞台とし、何人かの「死」が出てくるという、そういう条件からしても、森の苔とか、湿り気を感じるような、しっとりした少し暗めの感じ。

聡明な美少女って好きなんだけど、このわずか十歳の芽理沙という少女の、浮世離れしたキャラクターがいいなー。彼女の家庭教師を務めることになる、語り手の高校二年生、村岡信乃は実にまとも。このわけのわかんない事態に真正面から悩んで、芽理沙にぶつかっていく姿も好もしい。

あの夏の一週間に足らない出来事から七年後、「エピローグその2」もいいです。

かいじゅうたちのいるところかいじゅうたちのいるところ
(1975/01)
モーリス・センダックじんぐう てるお

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ミステリーとしての出来は、ええっ?その動機?という気もするんだけど(そんな理由で殺されちゃあかなわんなー)、これは絵本作家、モーリス・センダックの「かいじゅうたちのいるところ」へのオマージュ作品だそう。この本の中の「モーリス」は、「かいじゅうたちの~」の表紙の「かいじゅう」とはちょっと違うイメージを受けるんだけど、この中には黄色い目のモーリスがいるのかしら?

これは絵本作品へのオマージュであるわけですが、二人の少女への、つまりは誰もが通った道である(少女、と限定すると、当然女性になっちゃうけど)少女時代への感傷でもあると思うのです。

十歳と、十七歳。七年後は、十七歳と二十四歳。見様によっては生意気なくそガキであったこと、直情的な行動には、誰だって覚えがあるでしょう? なんだか、そんなことを懐かしく思う一冊でもありました。

目次
プロローグ
1 水曜日
2 木曜日
3 金曜日
4 土曜日
5 日曜日
6 月曜日
エピローグ(その1)
エピローグ(その2)

「ホームズのいない町 13のまだらな推理」/連鎖反応的ミステリー

 2008-10-09-23:53
ホームズのいない町―13のまだらな推理 (FUTABA NOVELS) (FUTABA NOVELS)ホームズのいない町―13のまだらな推理 (FUTABA NOVELS) (FUTABA NOVELS)
(2008/03/19)
蒼井 上鷹

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目次
六本のナポレオン?
被害者は二人
あやしい一輪車乗り
ペット探偵帰る
第二の空き地の冒険
赤い○(わ)
五つも時計を持つ男
吐く人
四つのサイン入り本
銀星ちゃんがいっぱい
まだらのひもで三kg
覆面の依頼人
もう一本の緋色の糸
最初に、まずこれは私の好みの本ではありませんでした。でも、書いておかないと忘れてしまい、性懲りもなくまた手を出しては、あああ!となるので、一応メモメモ。

裏表紙には、「まだらな殺人者(MURDERER)」とあり、まだらなまーだー、うん、そういうセンスの本なのかな。

殺人事件から、小さな謎まで、13の謎。うー、好みでない、と思いつつ、そのまま一応読み続けてしまったのは、この13編が巧妙に繋がっているから。たぶん、範囲はほとんど狭い町内のお話だと思うのに、これが見事に繋がってんだなー。Aという事件が起こったおかげで、実はBという人物がCという被害にあっており、同時にまたDも…という感じ。で、ついつい繋がりが気になって、読んじゃったわけですねー。

でもこの謎が、悪意とか勝手な言い分とか、何だかざらりとする後味なのです。出てくる人々も、キャラクター化されたというか、生身の人間ぽくないし。ただ、パズル的、ゲーム的要素は見事だと思うので、そちらに重きを置かれる方には、面白く読むことが出来るお話なのかも。にしても、この町内、住みたくないなぁ…。

この本で一番ビックリしたのは、あのウーパールーパー(アホロートル)が食べられるということ! 白魚のよう、って言われたら確かにそうかもしれないけど…。いや、北森さんの「香菜里屋」で出されたら、美味しそう!とか思っちゃうかもしれないけど…。

「平台がおまちかね」/本と書店とミステリー

 2008-09-28-23:17
平台がおまちかね (創元クライム・クラブ)平台がおまちかね (創元クライム・クラブ)
(2008/06)
大崎 梢

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書店を舞台とした、「配達赤ずきん」シリーズの大崎梢さん。本にまつわるお仕事といえば、ぱっと思い浮かぶのは、書店員や出版社の編集部だけれども、いやいや本が実際に売れるまでには、もっと様々な人たちの手を経ているのです。そう、たとえば、出版社の営業さんとか。

というわけで、これはとある中小出版社の営業である、新人・井辻くん(口の悪い他社の営業、真柴によると”ひつじくん”)を主人公とした短編集。まじめで穏やかでいて、なかなかの推理力を持つ、この井辻くんのキャラクターもあって、本に対する真摯な愛情を感じつつ、ミステリを楽しめるという、嬉しい作り。うーん、私、配達赤ずきんシリーズより、こっちの方が好きだわ。”ひつじくん”の名付け親でもある、井辻くんの勤める明林書房の二倍は大きな佐伯書店の営業マン、ラテン系ノリだという真柴との会話も楽しい。

口下手で地味、しゃべるのが苦手と自己分析しつつ、出版社の社員となりながら、井辻くんが編集部ではなく営業にいるのは、ある一つの理由があるのだけれど、それもまた可愛らしい理由なんだな~。本の世界の楽しみ方は、人それぞれ。井辻くんにも誰にも負けない、本への愛情があるのです。

安野モヨコさんの「働きマン」にも、報われない(と思っていた)出版社の営業マンの話が出てきましたが、本が出版され、私たちの手元に届くまでには、本当に色々な人たちが関わっていて、それは誰が偉いとかそういう話ではなく、どれも欠かせない仕事なんだよね。

図書館本ばっかり借りてはいるのですが、それでも私も実書店の平台を眺めたり、書店を徘徊するのも大好き。今後はそれに加えて、営業さんっぽい人がいたら、思わず注視してしまいそうです。本って特殊な商品なだけに、営業という仕事も大変だよね。それでも、編集部のいい本を作ってやる!という思いとおんなじに、いい本を売ってやる!と思うのでしょうねえ。
目次
平台がおまちかね
 新人営業マン・井辻智紀の一日 1
マドンナの憂鬱な朝
 新人営業マン・井辻智紀の一日 2
贈呈式で会いましょう
 新人営業マン・井辻智紀の一日 3
絵本の神さま
 新人営業マン・井辻智紀の一日 4
ときめきのポップスター
 新人営業マン・井辻智紀の一日 5
しかし、創元クライム・クラブ。「ヴァン・ショーをあなたに」もそうだったんだけど、amazonで画像が出ないのはなーぜーー!!平台に積まれた本が楽しい表紙なのになぁ。

■関連過去記事■
・「配達あかずきん-成風堂書店事件メモ」/本屋の謎は書店員が解く!
・「晩夏に捧ぐ-成風堂書店事件メモ(出張編)」/今度は出張だ!

「フリッツと満月の夜」/ひと夏のミステリー

 2008-09-23-23:19
フリッツと満月の夜 (TEENS’ENTERTAINMENT 1)フリッツと満月の夜 (TEENS’ENTERTAINMENT 1)
(2008/04)
松尾 由美

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夏休みの間、小説家の父さんと共に、海の近くの小さな町で過ごすことになった、カズヤ。こう来ると、フリーライターの父に連れられ、座敷わらしのいる旅館に泊まることになる、同じく夏休み中のユカ(@「雨ふり花さいた」)なんかを思い出しちゃうわけですが、こういうのは、ある意味定番のティーンのお話とも言えるのかな。ティーンの頃のひと夏の冒険、実際に体験したかったかも?

私がこの本に興味を持ったのは、あちこちで評判だけは耳にしていた松尾由美さんの作であることと、この可愛らしい表紙。

えー、実際はお話の作りは、ちょっとやっぱりティーン向け?という感じで、期待していたのとは違ったんだけど、今度は「人くい鬼モーリス」を読んでみたいなぁ、と思うくらいには楽しみました。

気の進まないまま、小さな港町へとやって来たカズヤは、近くの食堂、「メルシー軒」の息子、ミツルと友達になります。最初は無愛想で太ったミツルとは到底友達になれない、と思っていたカズヤだけれど(なんだって、周りの大人ってのは、年が同じならば友達になれると簡単に考えるんだ?)、この町の秘密をきっかけに仲良くなるのです。

ゴルフ場建設に燃える町長、偏屈な老婦人の消えた遺産、耳にピアスをつけたの謎、門扉に描かれたダビデの星の謎…。これがひと夏のミステリー

ラストはもう一つの謎も解かれまして、カズヤとこの町との付き合いも、また夏ごとに続きそう? そうすると、シリーズ化なんかも出来ちゃいそうな感じがしますが、どうなのかなー。でも、方向音痴の泥棒、という設定はちと苦しいかも。安全な方に逃げたつもりが、泥棒と出くわしちゃうなんて、迷惑だわ…。

満月の夜、暗がりに光るきんいろ。それはやっぱり魅力的だもの。他のメンバーも含めて、彼らが活躍する様をもう少し見てみたい気がします。

「ショコラティエの勲章」/甘いミステリー

 2008-09-15-00:07
ショコラティエの勲章 (ミステリ・フロンティア 44)ショコラティエの勲章 (ミステリ・フロンティア 44)
(2008/03)
上田 早夕里

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タイトルを見て、ミステリーのジャンルも豊作となって、随分細分化されるようになったんだなー、と思ったんですが、表紙の大人っぽい雰囲気そのままに、なかなか楽しめる作品でした。細分化されちゃうことで、お話が固定されちゃうことを懸念したんだけど、お話のバラエティという点でも文句はなかったです。

人気ショコラトリーのシェフを探偵役に、お隣の和菓子屋の売り子の女性をワトスン役とした、連作集。ショコラトリーと和菓子屋、異なるお店を配置することで、お話が一本調子にならず、同じ甘みに傷することもないのかも。
目次
第一話 鏡の声
第二話 七番目のフェーヴ
第三話 月人壮士
第四話 約束
第五話 夢のチョコレートハウス
第六話 ショコラティエの勲章
語り手は、老舗の和菓子店、<福桜堂>の売り子をしている、絢部あかり。上等の上生菓子を売っているという誇りを持ちつつも、時にそれが時代遅れのように感じ、揺らぐこともある。特に、隣のショコラトリー、<ショコラ・ド・ルイ>の賑わいを見た時などは。短大卒業後、五年間勤めた会社が倒産し、仕方なしに父が工場長を務める、<福桜堂>の売り子になったあかり。あかりにとってこれは単なる臨時の職なのだが…。

えーー、ここで解かれるのは、所謂日常の謎系のミステリとでもいいましょうか。店頭で消えた商品の謎、結婚祝いの焼き菓子に入っていた、七個目のフェーヴの謎、<福桜堂>の競作菓子の謎、などなど。

人が死なないミステリーで、描かれるのも大抵は人の心の機微。探偵役の長峰シェフも、優しいだけではなくって、いかにも職人的な厳しさもある。ちょっと良く分からなかったのが、語り手のあかり。洋菓子にも和菓子にも矢鱈と詳しく、舌も確かみたいなんだけど、今の仕事も「臨時」と言っちゃうし、少々ね、まだ若いのにそんなに引いちゃうことないんじゃない?と思ったり。も少し、この仕事が好きだー!とか、将来こうしたい!、とかいうのが、あってもいいんじゃない?などと思うのでした。いや、そこ主眼じゃないんだろうけどさ。でも、職人同士の絆を羨ましがったりしているわけだし、傍観者でい続けることもないと思うのです。あと、SNSのオフ会などが出てくるところは、いかにも時代なんですかねー。

さて、この中で私が一番好きだったのは、「約束」。<ショコラ・ド・ルイ>の沖本に誘われて、南仏料理のレストランへと出かけたあかりは、そこで沖本と長峰シェフが共に過ごした東京のパティスリーでの話を聞く。軽薄なように思えた、沖本の同期の梅崎が、テレビ出演に拘ったり、フルーツタルトに拘ったわけとは…。

しかし、どうしたってこれ、美味しいお菓子がべたくなりますよーー。美味しいお菓子と、それに合う飲み物を用意して読み始めるのがベストですね。うーん、神戸はお菓子が充実してそうで、いいなー。

関係ないけど、東京創元社のミステリ・フロンティアを読むのも随分久しぶり。いつの間にやら、知らない作家さんも増えてるなぁ。

「禁断のパンダ」/それは神の食卓なのか

 2008-09-01-22:50
禁断のパンダ禁断のパンダ
(2008/01/11)
拓未 司

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柴山幸太は、若くして独立した、ビストロスタイルのレストラン、<ビストロ・コウタ>のオーナーシェフ。妻の綾香は現在妊娠八か月。彼の人生はまさに順風満帆だったのだけれど…。

ある日、幸太は妻の友人の結婚披露宴に出席する。表向きは身重の妻の体調を気遣って、その実は半年先まで予約が取れないというフレンチレストラン、<キュイジーヌ・ド・デュウ(神の料理)>の料理を味わうため。幸太と綾香は素晴らしい料理の数々を堪能し、また新郎、木下貴史の祖父である、著名な料理評論家だったゴッド・中島との知己を得る。ところが、式の途中で貴史の父が姿を消し、結婚式の翌日には、彼の会社の従業員が刺殺体で発見される。貴史の父、義明の行方は依然として分からないまま。いったい何が起こっているのか?

時に幸太の視点、時に兵庫県警捜査第一課の刑事、青山篤志の視点に切り替わって、話は進んでいく。時がたつにつれ、失踪者の数は増し、青山たち警察は焦りの色を深めるのだが…。

無愛想で無口な<キュイジーヌ・ド・デュウ>の天才シェフ、石国、レストランに併設された<ハーバー・チャーチ>の主任司祭、ルイ・ヴァンサン。神のような舌を持ち、美に尋常ならざる執着を持つ、中島翁。どいつもこいつも怪しいったら怪しいんだけど…。

幸太の「外」というものの考え方については、賛成しかねるところもあるんだけど、何せ料理の描写がとっても美味しそうなのだ。この美味しそうな筆致でそこ書くか、というのがちょっと辛いところですね。

舞台は神戸。土地勘があってイメージ出来れば、もっと楽しく読めたのかなぁ。あとはバリバリの関西弁(これが、神戸の言葉なの?)が楽しめるかどうかですかね。ちょっと馴れ馴れしくも感じちゃうんだけど、もともとそういう言葉なんでしょうか。

ミステリーとしては、そう大した謎というわけではありません。表紙の雰囲気と言い、ユーモア・ミステリーだと思ったんだけどなぁ…。これだったら、私は「パンプルムース氏」シリーズのがいいな。ネタ的に「」のタグを貼るのも迷っちゃいます。ちなみに、第六回「このミステリーがすごい!」大賞受賞作であるようです。「このミステリー」、「このミステリー」、うーん、ミステリー??

他の物がゴミのように思える、恐ろしいほどの冴えを見せる石国シェフの料理。うーん、味わない方が幸せなのかも。たとえ凡庸とそしられようとも。ラストのある二人の人物の対比には、ぞっとしました。それはきっと開けてはならない扉。

「ヴァン・ショーをあなたに」/パ・マル、ふたたび

 2008-08-31-22:59
ヴァン・ショーをあなたに (創元クライム・クラブ)ヴァン・ショーをあなたに (創元クライム・クラブ)
(2008/06)
近藤 史恵

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目次
*Table des matieres*

錆びないスキレット
Le poele ne se rouille pas
憂さばらしのピストゥ
Un pistou malhonnete
ブーランジュリーのメロンパン
Viennoiseries ou pas?
マドモワゼル・ブイヤベースにご用心
Attention a Mademoiselle Bouillabaisse
氷姫
La princesse des glaces
天空の泉
Fontaine-sur-ciel
ヴァン・ショーをあなたに
Vin chaud pour vous
 初出一覧
 sources

「タルト・タタンの夢」のビストロ<パ・マル>再びであります。
おもに<パ・マル>を舞台にしていた前作とは異なり、本作では場所や視点も異なるものがいくつか。関係者以外の視点を通すことで、マンネリを防いでいるのかな。

恋人の不在を描いた「天空の泉」はちょっと大人ですねー。「星の王子さま」の砂漠のバラがキーとなります。「氷姫」は、その名の通り、ちょっとさみしいお話。「マドモワゼル・ブイヤベースにご用心」もそうだけれど、ちょっと恋愛話が多めなのかな? 「ヴァン・ショーをあなたに」は、前作でも何かと出てきたヴァン・ショーのレシピの元だよね。もうすっかり、三船シェフのものとなる前のヴァン・ショー。ここから、現在に至るまで、三舟シェフはいったい何杯のヴァン・ショーを作ったのでしょう。

まだまだ続きもありそうな感じ。次作も美味しく読めるといいな♪

「オチケン!」/青春落語ミステリー

 2008-05-01-22:25
02924968.jpg
オチケン!―Rakugo Club The Key to Solving Mysteries (ミステリーYA!)
(2007/10)
大倉 崇裕

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オチケンとは、主人公がなし崩し的に所属する事になる「落語研究会」(略してオチケン)と、主人公その人の名前、越智健一とのダブルミーニング。主人公である、大学新入生の越智は、その名を見込まれ(だって、オチケン!)、廃部寸前の落語研究会に引き摺りこまれる。アルバイトに授業にサークル。越智が夢描いていた楽しいキャンパスライフは、オチケンに入ったことで、音を立てて崩れていくのだけれど…。

ええい、扉の紹介を引いた方が早いので、そちらを紹介。

大学に入学して早々、廃部の危機に瀕した落研(オチケン:落語研究会)に入部するはめになった越智健一。
そこで待ち受けていたのは、古い部室(幽霊が出る噂アリ)と、風変りな二人の先輩―天才的な落語の才能を持つ(らしい)、飄々とした岸と、爽やか青年なのに、なぜか押しが強い中村―だった。落語なんてまったく知らず冷や汗ものなのに、勝手な先輩たちに振り回され、ろくに授業も出られず、サークル間の陰謀にも巻き込まれる。そのうえ、キャンパスで奇妙な事件が起きて……。
抱腹絶倒の中篇を二篇収録した、連作落語ミステリー


もくじ
その一 幽霊寿限無
その二 馬術部の醜聞
付録 落語ってミステリー!?
あとがき
落語でミステリーと言われると、どうしても北村薫さんの「円紫さんとわたし」シリーズと比較したくなってしまうのだけれど、楽しい青春小説として読めば、軽く読めちゃうし、これはこれでまた良しかと。オチケンのライバルも、「お笑い研究会」はともかく、「折り紙の会」や、えらく体育会系でもある「釣竿会」などとなかなか渋くって、所謂王道的ではないところも、ちょっと親近感を覚えてしまいました。私の場合、テニスサークル全盛時代に大学生活を送ってたんだけど、そういったメジャー系ではない、マイナーなところに所属してました。ま、大学生活なんて、何やったって自由なわけで、自分が楽しければそれでいいんだよなー、と思うけど。

付録を読んで、少々意外な思いがしたのが、著者、大倉さんの落語への熱い思い。落語に親しみがない層に興味を持ってもらえれば、という狙いは十分成功しているように思えます。でも、これだけ熱い思いがあるのならば、もっとディープにいっちゃってもいいのでは?、とも思うけど。

これは、シリーズ化を狙ってるのかなー。とりあえず、授業をこんなにサボっていては、まず何よりも進級が危ういようにも思えるけどねえ。がんばれ、越智くん!

「タルト・タタンの夢」/料理と謎を召し上がれ

 2008-02-20-23:23

近藤 史恵

タルト・タタンの夢 (創元クライム・クラブ)

目次
*Table des matieres*
タルト・タタンの夢
Un reve de Tarte Tatin
ロニョン・ド・ヴォーの決意
Une decision grace aux rognons de veau
ガレット・デ・ロワの秘密
le secret de galette des Rois
オッソ・イラティをめぐる不和
Une brouille autour d'un Ossau-Iraty
理不尽な酔っぱらい
Un misterieux ivrogne
ぬけがらのカスレ
Un cassoulet special pour elle
割り切れないチョコレート
Chocolats indibisibles
 初出一覧
 sources


メニューになぞらえた目次も実に楽しい!!

レストランとミステリと言えば、北森さんの香菜里屋シリーズ(最新刊の感想 )があるけれど、こちらもまた楽しく美味しい一冊でした♪

舞台は気取らないフランス料理を食べさせる店、ビストロ<パ・マル(悪くない)>。無口で武骨な料理長、三舟忍(表紙絵の人物ですね)に、にこやかでそつのない料理人の志村洋二、ソムリエの金子ゆき、ホール係の「ぼく」こと高築智行の四人でまわす小さなお店。接待や特別な日に使うというよりも、普段着の本当にフランス料理が好きな人間が集う店。

ほぼ新人(「タルト・タタンの夢」では、勤め始めて二か月、とある)の「ぼく」こと高築智行の視点で描かれるのがまたいいんだなー、きっと。フランス料理の説明なども、実に嫌みなく差し挟まれる。前述の香菜里屋のような凝った創作料理ではなく、フランスの家庭料理に近いものが出てくるんだけど、これがまたどーんとボリュームがありそうで、とっても美味しそう! きれいなテリーヌなどにしない、餅焼き網で焙った、分厚く切ったフォアグラ(同じく網で焼いたバゲット添え)など、いいなー、いいなー。餅焼き網が出てきたけど、料理長の三舟氏は道具に拘りのないタイプらしく、蒸籠なんかが出て来るところも面白い。

ホームズ役はこの料理長の三舟氏なんだけど、柔軟な頭を持つ人物であることが、こういったエピソードからも分かるよね。

レストランに持ち込まれる謎は、すべてお客さんが持ち込むんだけど、私はちょっと甘いかもしれないけど、恋人同士のある日の特別なメニューを描いた「ぬけがらのカスレ」と、家族の情景を描いた「割り切れないチョコレート」が好きでした。これ、シリーズ化されたりするのでしょうか。また続きも読みたいな♪

「香菜里屋を知っていますか」/ビアバー、香菜里屋。その由来と幕引き

 2008-01-19-09:19

北森 鴻

香菜里屋を知っていますか


これにて、≪香菜里屋≫シリーズは打ち止めということらしいのですが、まだ四作目なんですよね、うーむ、勿体なーい。

さて、こたび、語られるのは、店主・工藤の事情。謎解き場面では前面に出張って来たとは言え、一応黒衣の存在であることが求められたバーの主人としての顔ではない、工藤個人の顔の話。彼の過去には何があったのか、彼は誰を待っていたのか、どんな思いで夜毎、あのぽってりとした提灯を灯していたのか。脇を固めるのは、お馴染みの面子であったり、≪香菜里屋≫シリーズに出てきた懐かしいあの人であったり。なんと、今作では、例の池尻大橋のバーマン香月は、結婚してしまうんですぜー。独身主義者なのかと思っていたよ…。

香菜里屋の常連たちも、それぞれの理由でその地を離れ、また香菜里屋という存在自体も…。さみしいけれど、やはりこれが最後なのかしらん。別れがテーマになることが多く、いつもの料理もいつものようには楽しめませんでしたよ…。

目次

ラストマティーニ
プレジール
背表紙の友
終幕の風景
香菜里屋を知っていますか


「ラストマティーニ」
≪Bar谷川≫の老バーマンが出す、古き良きスタイルのマティーニは、長く香月が信頼を置いていたものだった。ところが、ある日≪谷川≫を訪れた香月に出されたマティーニは…。


「プレジール」

人には楽しむという言葉が背負いきれなくなる時がある。励ましの言葉が呪いの忌み言葉になる事がある。プレジール、楽しむ会を結成していた、三人の女性たちにも、それぞれの変化が訪れていた…。

「背表紙の友」

香菜里屋の店内で、いつものように弾む会話。ところがこの会話には、三十年前にある田舎町で起きた、ささやかな出来事が隠されていた。本に関する話題にはつい頬が緩むのだけれど、「背表紙の友」という言葉が床しい感じでいいなぁ。たとえそれが、男子中学生のよからぬ思いから来たものであっても…(ま、可愛いもんなんだけど)。

「終幕の風景」

変化はいつだって些細な事から始まるもの。常連客が香菜里屋で感じた違和感の正体とは? そして、工藤の店からタンシチューが消える。香月が語るに、工藤のタンシチューはただのタンシチューではない。それは二人がともに修行した店の直伝の料理。そこで起こった不幸は、工藤のその後にも影響し、工藤はタンシチューを作り続け、待ち続ける男となった。これに関しては、次の短編にも話が引き継がれる。

「香菜里屋を知っていますか」

この話では、工藤の姿が見えない。その代わりと言うべきか、他シリーズの登場人物たちが豪華メンバーで出演します。香菜里屋を知りませんか? その問いに答えるのは、一 雅蘭堂の越名集治、二 冬狐堂・宇佐美陶子、三 蓮杖那智。
蓮杖那智がラストを締める。香菜里屋は迷い家のようなものだったのかもしれない。山中で道に迷った旅人が、ふとたどり着く一軒の家。そこで渡された握り飯はいつまでもなくなることがなく、またその家から拝借した椀には、米が絶えることなく溢れるのだ。その話を聞きつけた他の人間が山中を歩きまわっても、決して見つからない、そんな迷い家…。
終焉はまた、開始への約束でもある。さて、香菜里屋は、工藤はどうなるのでしょうか。

■関連過去記事■
桜宵」/広がる北森ワールド(≪香菜里屋≫シリーズ2)
螢坂」/ビアバー≪香菜里屋≫にて・・・(≪香菜里屋≫シリーズ3)

「Rのつく月には気をつけよう」/連作短編

 2008-01-06-22:55
石持 浅海
Rのつく月には気をつけよう

石持浅海さん、初読みです。料理とミステリだし、表紙もなんだかいい感じだし、と私のアンテナに引っかかってきました。図書館で割と長いこと予約待ちしてたんだけど、しかし待った分、これは少し点が辛くなってしまいました(でも、結構な予約数だったので、きっと人気がある作家さんなのでしょうね)。

大学時代の飲み仲間三人、彼らの集いは就職してからも、そのうち一人のワンルームマンションを舞台として続いていて。ただし、いつも同じメンバーでは進歩がない。三人のうちの一人が、友人一人をゲストとして連れて来ることが決まり事。そこで語られる何気ない話から、本人も気づかなかった真相を導き出すのは、大学時代に「悪魔的な頭脳を持つ男」との異名を取った、長江高明。ちなみに、語り手の「わたし」、湯浅夏美のキャッチコピーは「一升瓶を一気飲みできる夏美」、仲間のもう一人、熊井渚のコピーは「雑学王の熊井」。

長江が肴を用意し、熊井が酒をチョイスする。ゲストの話から静かに一つの真相を取り出して見せる長江、反論する熊井(ちなみに、熊井は機嫌が悪くなると、長江のことを揚子江と呼ぶ)、混ぜっ返す夏美。三人の役割もまた、綺麗に決まっているのだが…。

目次
Rのつく月には気をつけよう
 :肴 生牡蠣、酒 ボウモア十二年物
夢のかけら 麺のかけら
 :肴 チキンラーメン(お湯をかけず、そのまま食す)、酒 ビール
火傷をしないように
 :肴 チーズフォンデュ、酒 オレゴンの白ワイン
のんびりと時間をかけて
 
:肴 豚の角煮、酒 泡盛
身体によくても、ほどほどに
 
:肴 ぎんなん、酒 静岡の純米酒
悪魔のキス
 
:肴 ガレット、酒 ブランデー
煙は美人の方へ
 
:肴 スモークサーモン、酒 パイパー・エドシック(シャンパン)

ここから先は、勘のいい方ならこれだけで気づいてしまうかもしれないので、これから読む予定のある方は読まない方が良いかと思います。

注意深く読めば、全部書いてあるんだけど、実はこの短編、一つのミスリードが全編を貫いていて、最後にちょっとしたどんでん返しがあるのです。でも、この縛りのために、どうも話が堅くなってる気がするんですよねー。ここが、私の点が辛くなった所以。歌野晶午さんくらい天晴に騙してくれるならいいけれど、この程度の騙しであるのなら、この部分ではなく、一つ一つの短編で、もっときっちり楽しませて欲しかったなぁ。雑学の部分もね、特に目新しくなくて、知ってるー、となってしまうことも多くって。あ、でも、牡蠣にシングルモルトという組み合わせは、私の中で新しかったな。機会があれば、今度やってみたいと思います。あ、あと、カンヌ国際映画祭公式シャンパンだという、パイパー・エドシックも知りませんでした(輸入元のアサヒビールのページにリンク )。

またね、いくらそれがテーマとは言え、飲み会の肴が一種類と言うのは辛すぎる…。他の物もちゃんと食べてるよ~、という描写も欲しかったなぁ。ま、それをやっちゃうと、繁雑になるのかもしれないけど、せっかくの酒と肴とミステリー。もっと楽しめるのであれば、味わい尽くしたいと思うのも、また人情かと。
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プロフィール

つな がる

Author:つな がる
つなです。
「日常」logとも称していますが、そう多くはない手持ちの本、興味が赴くままに借りてきた図書館本の感想が主になります。
興味を持った記事があったり、あなたが読み終えた本について語っていたら、是非あなたの感想を教えて下さい。お待ちしています。

2008年3月23日に、fc2ブログに引っ越してきました。それ以前のamebaブログでの更新も、引っ越しツールによって移行しています(以前の記事は、表示が少々見辛いかもしれません。ご容赦を)。

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