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「ペルシアの四つの物語」/美しい細密画付きのペルシア文学ハイライト!

 2007-08-17-23:05

岡田 恵美子

ペルシアの四つの物語

目次
王書―サームの子ザールの誕生   フェルドウスィー
ホスローとシーリーン          二ザーミー
ライラとマジュヌーン           ニザーミー
七王妃物語                ニザーミー
解説


構成上第三部に分かれるという「王書」から取り上げられるのは、英雄伝説時代を描いたという第二部から「サームの子ザールの誕生」。サームの子、ザールは、頬は陽とまがう類稀なる美しさなのに、不吉にも生まれた時から髪は真っ白。不幸を恐れたサームにより、捨てられたザールは、霊鳥スィーモルグに育てられる。なんかね、この辺は、色なしの膚を持つ捨て子ファラー(@古川日出男「アラビアの夜の種族 」)を思い出しました。アラビアとペルシアは厳密には違うのだろうけれど、古川さんはこの辺も参考にされたのかな、なんて。

印象深かったのは、「ライラとマジュヌーン」。「マジュヌーン」とは、「狂人」を意味する言葉。ライラを恋するあまり、狂人となってしまった、一人の男。もともと、実は思い合っていた二人は、幸せになれたはずなのに…。恋の純度が高すぎたために、男は狂気の淵を軽々と飛び越えてしまう。それともそれは逆なのかな。本来、恋の障害はなかったはずなのに、恋の純度、密度を高めるためか、男は狂人となってその恋に自ら大きな障害を作ってしまう。

本当はもっと長い物語の、ハイライトのみを紹介するような形の本なので、詳しい方には物足りないかもしれないのだけれど、私のようなペルシア文学入門者にはちょうど良い本でした。美しい「ミニアチュア」もふんだんに載せられているしね。

ミニアチュアの語源は、Minium 鉛丹(四酸化三鉛)であり、初期には中国の影響である鳳凰や雲が画面を埋めていたのだけれど、次第に空間をビッシリと紋様で埋める独自の画法が定着したとのこと。ササン朝ペルシアから唐草文様が伝わったと、むかーしむかし、小学校の教科書で読んだ気がするけど、ここで載せられているミニアチュアも、所謂中東的という感じではなく、何も言われなければ、中国のものと信じてしまうような画風。シルクロードってことなのかしらん。そして、イスラム教ではなく、ゾロアスター教を信仰していたのも、関係しているのかなぁ。

少し前に読んだ「柘榴のスープ 」など、ちょっとイラン(ペルシア)に興味がわいている今日この頃。ペルシアの名だたる物語のハイライトを読んだだけだけれど、やっぱりペルシアは物語る民族なんじゃないかなぁ、と感じました。しかも、口承文学な気配が漂って、何だか物語に酔える感じ。もうちょっと周辺を読んでみようと思います。ペルシアは美しいな。
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「柘榴のスープ」/生の営み、料理というもの、魔法のスープ

 2007-07-10-22:54
マーシャ メヘラーン, Marsha Mehran, 渡辺 佐智江
柘榴のスープ
アイルランドのクリュー湾近く、小さな村バリナクロウに、異国情緒溢れるカフェ、<バビロン・カフェ>がオープンした。そこで働くのは、マルジャーンにバハールにレイラーのアミーンプール三姉妹。彼女たちはこの寒村に、芳香に溢れた料理でもって、命を吹き込む。その料理はまるで魔法のよう。カフェの中では、金色に煌くサモワールがしゅんしゅんとお湯を補給し、香りに満ちた様々な料理が並ぶ。緑の指のように美しく整えられたドルメ、マリネのようなトルシー、紙のように薄いパン、ラヴァーシュ、ラム肉とじゃがいものシチュー、アーブグーシュト、ドーナツのようなゾウの耳などなど。それは、繊細にしてみっちりとしたペルシアの料理。

マルジャーンの料理のレシピが、一章毎に明かされるのとともに、段々と明らかになるのは、彼女たち三姉妹が、ここ、アイルランドの小さな村まで逃れてきた事情。黒いチャードルで隠された女性たちが増え、マルジャーンとバハールの人生の場面にも、イラン-イスラーム革命から波及した大きな傷が刻まれる。そして、それはまだ幼かったレイラーにも記憶されていた…。

彼女たちが町の人々に料理を振舞い、心を開くのと同じくして、町の人々が抱えていた問題も、少しずつ解決されていく。悪者は悪者として描かれるし、レイラーから漂うローズウォーターやシナモンの香りなど、何だかおとぎ話のようでもあるのだけれど、この明るさやユーモアが、チャードルで隠されたイランの、ペルシアの本来のものなのかもしれない。フィクションではあるのだけれど、「物語る」物語。美しい姉妹に料理を供されながら、お話を聞いているような気分になる。

マルジャーンの魅力溢れる料理のさまはこんな感じ。

 マルジャーンは真ん中をつまんだゾウの耳を二つ、オイルを熱した深い鍋に一分間沈めてから、溝穴のあるスプーンでペーパータオルに移した。余分なオイルの雫がペーストリーからぜいたくに滴り落ち、のどが乾いているペーパータオルにたちまち飲み込まれた。

まさに、煌きと官能の料理。

料理だけではなく、出てくる人物たちも、それぞれに魅力的だし、ペルシアの官能すら感じさせる料理と、アイルランドの自然の対比もまた見事。これは、良い本を読みました。マーシャ・メヘラーン、これ一作しか出ていないのが、残念だなぁ。

*臙脂色の文字の部分は、本文中より引用を行っております。何か問題がございましたら、ご連絡ください。



★アイルランド、メイヨー州について★
アイルランド留学クラブ 」さんが詳しかったです。
下記、URLには、クロッグ・パトリックや、クリュー湾からの眺めが載せられています。
http://www.ryugakuclub.com/ireland/travelireland/mayo.htm

★チャードル(Wikipediaにリンク

★イラン革命(Wikipediaにリンク

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つなです。
「日常」logとも称していますが、そう多くはない手持ちの本、興味が赴くままに借りてきた図書館本の感想が主になります。
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