スポンサーサイト

 -----------:--
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
カテゴリ :スポンサー広告 トラックバック(-) コメント(-)

「スコルタの太陽」/一族を形作るものとは何か

 2008-09-04-22:08
スコルタの太陽 (Modern&Classic)スコルタの太陽 (Modern&Classic)
(2008/06)
ロラン・ゴデ

商品詳細を見る

一族というものを形作るのは一体何なのだろう? 「家族」ではなく「一族」。それにはたぶん、血を分けた者同士である必要はないのだ。

イタリア、ブーリア地方、強烈な太陽が照りつける貧しい村。ある男の間違いから生まれた、父も母もない、ロッコ。ロッコは、彼をひきとった漁師夫婦の名と、父親の苗字をかけ合わせ、ロッコ・スコルタ・マスカルツォーネという新しい名を名乗る。

父親をただのちんぴらとするならば、自らを伝染病だ、飢餓だというロッコは、正真正銘の悪党だった。あくどい手口で金を集め、権力者となったロッコは、しかし自らの死に際し、その財産のすべてを手放してしまう。それがロッコの呪い。ドメーニコ、ジュゼッペ、カルメーラ。ロッコの子供たちは、裕福な暮らしから一転、貧しさの極地へと追い込まれる。

さて、スコルタの者を、スコルタたらしめているものは何なのか。それはロッコの呪いかもしれないし、ロッコから受け継がれた飢えかもしれない。カルメーラは結婚し、子をなしてもなお、夫に属するわけではなく、スコルタの者であり続けた。カルメーラを愛していた三兄弟の友人も、ある儀式を共に行うことでスコルタの一族となり、カルメーラへの愛を封印する。

さらに一族の結束を強めているのは、秘密を持ち、然るべき時にその秘密を継ぐべき者に、語り継ぐというその行為。自らが体験した真理を語り継ぐという行為。頑ななまでに、自らを一族に縛り付けるその行為。

強烈な太陽の日差しと、強烈な矜持。なんだか不思議な小説でした。詩的で古い雰囲気もあるんだけど、その古さは少し新しい古さに感じてしまいました。なんというか、ちゃんと古くない感じ?

ゴンクール賞受賞作とのこと。でもね、決して悪い小説ではなく、嫌いでもないんだけど、凄い!という感動がないんだよなぁ。「ファラゴ」と同じ、河出書房新社のModern&Classicシリーズなんだけど、このシリーズ、シリーズとしてあまり好きではない感じ(と、思ったけど、今見たら、同じModern&Classicシリーズでも、ほんとは結構いろいろバリエーションがありそうなのね。コンセプトはなんだろう? 二冊読んだとこだと、民話的、神話的なお話かと思ったんだけど)。
スポンサーサイト

「ファラゴ」/人生と運命と物語

 2008-05-03-23:56
ファラゴ (Modern&Classic)ファラゴ (Modern&Classic)
(2008/01)
ヤン・アペリ

商品詳細を見る

思い出したのは、ちょっと違うかもしれないけれど、トム・ハンクスが演じていた映画「フォレスト・ガンプ」のこと。「フォレスト・ガンプ」に比べれば、短い期間の話なのだけれど、無垢な森の人、ホーマーが成功を収めていくさまには、ちょっとあの映画を連想させるところがあります。成功とはいっても、それは社会的な成功ではなくって、ごくごく個人的なささやかな成功なんだけれど。

舞台はカリフォルニア北部の架空の小さな村、ファラゴ。主人公であるホーマーは、孤児として生まれ育ち、剥製師の元で養子になり、各地を放浪した後、故郷ファラゴに戻って来た。野性児ホーマーの活躍は如何に?

食料品屋を営む物静かな賢人、ファウストー、座って不平を垂れ流しながら、夢ばかり語っていたイライジャ、丸っきり悪気はないのだろうけれど、言動が一致していないポーチ牧師、ゴミ捨て場の今一人の賢人、半盲のデューク、そして、運命の恋人、売春婦のオフィーリア。周囲の人々も魅力的。

ある晩、ホーマーは、謎めいたファウストーの過去の話を聞き、勧められるままに流れ星に願い事をする。運命が訪れるように、自分の人生を一つの運命に変えるような出来事が起こるように…。そこから、ホーマーの人生は、まさに怒涛の勢いで転がっていく。ホーマーの語りがまたいいんだ。ホーマーは無学で家すらない人間なのだけれど、常に自らに問いかけ、考え続ける人間。あっちに寄り道し、こっちに寄り道するホーマーの思考に付き合うのも、また楽し。

遠くにあって(ファラウェイ)、昔を思う(ロングアゴー)
ファラゴ

時代は1972年末から1973年夏にかけて。ホーマーの生き方には、平凡な人生を幸せにする秘訣が隠されているのかも。なんてったって、ファウストーお墨付きの「何もしないでいる」才能の持ち主だしね。

本作は、2003年のフランスの「高校生が選ぶゴンクール賞」の受賞作。「マグヌス」に続き、「高校生が選ぶ~」は二冊目なんだけど、この賞は、なかなか外れがないみたい。今後も参考にしてみよっと。
マグヌスマグヌス
(2006/11)
シルヴィー ジェルマン

商品詳細を見る

「マグヌス」/記憶、断片、人生

 2007-08-29-23:02
シルヴィー ジェルマン, Sylvie Germain, 辻 由美
マグヌス

語られるのは、一人の男性の幼年期から中年までの人生の断片、0から29までの番号をふられたフラグマン(断片)。それを補足するのは挿入される注記(ノチュール)、それを強めるのは同じく挿入される続唱(セカンヌ)や、反響(レゾナンス)

フランツ=ゲオルク、もしくはアダム、マグヌス。三つの名前を持つことになる、彼の人生は波乱に満ちたもの。

五歳までの記憶がない幼い彼に、「気高さと悲しみに満ちた家族の叙述詩」を繰り返し語り、言葉によって彼を生みなおした母親の名は、テーア・ドゥンケンタル。彼の名ともなった、フランツとゲオルクという名は、偉大なるドイツ帝国のために、身を犠牲にした母親の双子の弟の名。父親、クレーメンス・ドゥンケンタルは医師であり、熱狂的なナチス党員でもあった。

しかし、ドイツ帝国の破滅は近い。家族は家を捨てて逃亡し、父親は更に一人メキシコへと逃げ、その地で死ぬ。盲目的に父親を崇拝していた母親は、亡命していた兄のロタールに少年を託し、やはり死ぬ。

少年、フランツ=ゲオルク・ドゥンケンタルは、ロンドンのロタール伯父の家に引き取られ、アダム・シュマルカーと名を変える。五歳までの記憶を無くした少年は、それ以降全ての物事を記憶しようと、凄まじい集中力を発揮した。語学の才能にも優れた少年は英語にも順応し、更に父親の死の地であるメキシコの言葉、スペイン語の習得も始める。しかし、記憶は彼を蝕み、苛む。彼の両親の罪は消えることがない。

そして、更に彼の人生は幾たびかの転換点を通り、彼はマグヌスと名乗るようになる。それは、幼いころから彼と共に過ごしてきた茶色いぬいぐるみのクマの名前。

彼の人生は喪失と再生の繰り返し。愛する女性との二度の永遠の別れ、一度は見切ったロタール伯父への帰還…。記憶を喪い、偽りの記憶を塗り重ねられ、自分がどこから来たのかすら分らない少年。更に獲得した記憶もまた、愛する人の死により、無となってしまう。それでも人間は生きていき、無から何かを生み出すことが出来る。ラストの再生の様子(そして、それはクマのマグヌスとの別れでもある)、旅立ちは美しい。

かなり変わった形式の「小説」だけれども、実に引き込まれる物語でした。こんなアプローチがあるのだとは! あの激しさとはまた別なのだけれど、アゴタ・クリストフの「悪童日記」以来の衝撃でありました。

これ、「高校生ゴンクール賞」の受賞作なのだとか。すごいね、フランスの高校生。

■その他気になった、「高校生ゴンクール賞」受賞作。


■印象的な引用がなされていた本。

フアン ルルフォ, Juan Rulfo, 杉山 晃, 増田 義郎
ペドロ・パラモ (岩波文庫)

amazonには、ラテン文学ブームの先駆けとなった古典的名作、とありました。
コーマック・マッカーシーの国境三部作のうちの、「すべての美しい馬 」と「平原の町 」の二作は何とか読んだけど、これはまた歯ごたえありそうですよ。がりがり。
≪ トップページへこのページの先頭へ  ≫
プロフィール

つな がる

Author:つな がる
つなです。
「日常」logとも称していますが、そう多くはない手持ちの本、興味が赴くままに借りてきた図書館本の感想が主になります。
興味を持った記事があったり、あなたが読み終えた本について語っていたら、是非あなたの感想を教えて下さい。お待ちしています。

2008年3月23日に、fc2ブログに引っ越してきました。それ以前のamebaブログでの更新も、引っ越しツールによって移行しています(以前の記事は、表示が少々見辛いかもしれません。ご容赦を)。

掲示板その他リンク

ユーザータグ
最近の記事
カレンダー
04 | 2017/05 | 06
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -

RSSフィード
カウンター

月別アーカイブ
検索エンジン情報
Googleボットチェッカー Yahoo!ボットチェッカー MSNボットチェッカー

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。