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「鏡は横にひび割れて」/ミス・マープル8/12

 2009-05-07-00:30
鏡は横にひび割れて (クリスティ文庫)鏡は横にひび割れて (クリスティ文庫)
(2004/07/15)
アガサ・クリスティ

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ポアロは結構読んだんですが、実はこれが初ミス・マープルなのです。お話としては面白かったんですが、ミス・マープルものとしては、後半に入っているのでしょうか。何せねえ、ミス・マープルってば、ほとんど家から出ないんです!(あれ、でも、ミス・マープルって、そもそも安楽椅子探偵でしたっけ?) 甥に雇われた付き添いのおばさん、ミス・ナイトには文句たらたらながら、通いのメイドを雇って一人暮らしというわけはいかなくって、ミス・マープルの思い通りにならないことばかり~。

ほとんど家を出ることがないといっても、たまーに家から出た時に、うまいこと(?)後の被害者に出会ったり、肝心な場面に友人がちょうどい合わせたりと、ミス・マープルが推理を行うのに、困ることはないんですけどねえ。ミス・マープルが暮らすセント・メアリ・ミード。もう少し田舎ならではの美しさとか、庭の話とか、そういうのを期待して読んでいたら、古き良きセント・メアリ・ミードにも、古くからの住民が眉をひそめる”新住宅地”が出来ていたりと、既に変化が起きてしまっているのです。今度はもう少し遡って読んでみようかな~。

文庫裏表紙より引用。

穏やかなセント・メアリ・ミードの村にも、都会化の波が押し寄せてきた。新興住宅が作られ、新しい住人がやってくる。まもなくアメリカの女優がいわくつきの家に引っ越してきた。彼女の家で盛大なパーティが開かれるが、その最中、招待客が変死を遂げた。呪われた事件に永遠不滅の老婦人探偵ミス・マープルが挑む。
解説:新津きよみ

そうそう、あと残念だったのが訳の口調。最近のウッドハウス並みの訳の口調だったら、もっと絶対面白かったのにー! 事件自体は今読んでも、なるほどねえと思うし、「鏡は横にひび割れて」という、テニスンの詩からの引用(読んでませんが)も素敵。ふとした瞬間に見えてしまった、人生の裂け目。そこには何があったのか?

口調の何が気に入らないって、老若男女にかかわらず、どの登場人物も「~でしたねえ?」とか「~ですがねえ」とかいう話し方を突然混ぜてくるので、なんだか間延びした感じがしちゃうんです。ダーモット主任警部による、会話が中心の聞き取りになるので、この辺の処理が難しいとは思うのですが、もう少しそれぞれのキャラクターに合わせた話し方にしてくれないものかしら、と思ってしまいました。ウッドハウスのキャラ立ちまくりの会話文を読んだ後遺症かもしれませんが…。
自分の参考に、<ミス・マープル>シリーズの順番をメモ。
・牧師館の殺人
・書斎の死体
・動く指
・予告殺人
・魔術の殺人
・ポケットにライ麦を
・パディントン発4時50分
・鏡は横にひび割れて
・カリブ海の秘密
・バートラム・ホテルにて
・復讐の女神
・バートラム・ホテルにて
・スリーピング・マーダー
ミス・マープルは、「鏡は横にひび割れて」の前に健康を害した感じだったのですが、最後の方では気力も大分復活してきたよう。付添いも叩き出す決心をしたみたいだし、ちょうどこの頃がミス・マープルが一番弱っていた時なのかなぁ。やっぱりぼちぼち読んでみようっと。それでも、家から出ない安楽椅子探偵が、ミス・マープルの正しい姿なのかもしれませんが・・・。
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「ゼロ時間へ」/その瞬間から溯れ

 2007-12-30-00:13

アガサ・クリスティー, 田村 隆一

ゼロ時間へ (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 1-8))

杉の柩 」の記事を書いたときに、ちらりとこの本のことは既に書いているのだけれど、「千の天使がバスケットボールする 」の樹衣子さんの映画記事(『ゼロ時間の謎 』)に触発されて再読です。

P・G・ウッドハウスの「ブランディングズ城の夏の稲妻 」を読んだ時にも、なんとなくクリスティを思い出したのだけれど、こういう一つ所に皆が集まって…、というシチュエーションには、古き良きミステリの香りがするように思います。特にそれが、海岸の避暑地の豪奢な別荘を舞台にしているとあっては!

この別荘に住んでいるのは、高齢のため体は悪くしているものの、精神は依然矍鑠たるままの未亡人、カミラ・トレシリアン夫人と、トレシリアン夫人の遠縁であり、もう十五年以上にわたって彼女の世話を続けている、オールド・ミスのメリイ・アルディン。そして、そこへ集まったのは、ウィンブルドンにも出場する、スポーツマンのネヴィル・ストレンジ。彼の現在の妻、ケイ・ストレンジ、そして、彼の最初の妻、オードリイ・ストレンジ。新旧取り混ぜ、ストレンジ夫人が二人も居るこの事態は、それが当世風だと呑込もうとしても、やはり異常。ネヴィルは彼自身の考えで、ケイとオードリイを引き合わせたと言うのだが…。

さらにケイを崇拝する美男子、テッド・ラティマー、オードリイの従兄弟、トーマス・ロイドもやって来て一つ所に集い、普段は落ち着き払った召使たちもが、ヒステリー状態に陥る緊迫した時間が始まる…。そうして起こる、一つの殺人…。さて、犯人は誰なのか???

この殺人事件はどこから始まっていたのか。一見無関係なエピソードがぴたぴたと嵌り、多くの登場人物を配しての心理劇も、流石女王クリスティらしくまたお見事。樹衣子さんも映画の仕上がりを褒めていらっしゃるけれど、原作もまた、現代にあっても全く古びないものだと思います。しかし、この事件における動機の怖い事! 舞台や登場人物はあくまで優雅だけれど、その心理は下手なホラーよりも怖いです…。また、この動機が古く感じないところがねえ…。


目次
序文
『ドアをあけると、人がいる』
白い雪と紅い薔薇
微妙な陰謀
ゼロ時間
 ソルトクリークの方へ<福永武彦>

昔のハヤカワ文庫のクリスティの本は、真鍋博さんのイラストが素敵だったのですが、今は全部クリスティ文庫になっちゃったんですよね。おっと、私が持っているものとは、訳者も変わっているみたいです。

アガサ・クリスティー, 三川 基好

ゼロ時間へ (クリスティ文庫)

「さあ、あなたの暮らしぶりを話して」/女王クリスティー、もう一つの顔

 2005-11-26-11:48

アガサ クリスティー, Agatha Christie, 深町 真理子

さあ、あなたの暮らしぶりを話して―クリスティーのオリエント発掘旅行記

クリスティー、中近東に暮らす!

ミステリーの女王、アガサ・クリスティーには、考古学者マックスの妻としての、もう一つの顔があった。これは、クリスティーが考古学者の妻として、第二次世界大戦前に赴いた、シリアの土地で見た美しい風景、出会った人々、体験したユーモラスなエピソードを、愛情及びユーモア溢れる筆致で描いたもの。扉の解説によると「愛すべき旅行記であると同時に、戦前の輝かしい時代へのノスタルジーであり、実り多かった夫妻の結婚生活をも垣間見せてくれる」ということになる。

目次
『テルの上にすわってた』
まえがき
第一章 シリアをさしていざ行かん
第二章 予備調査の旅
第三章 ハーブル河とジャフジャーハ河
第四章 チャガール・バザールでの最初のシーズン
第五章 シーズンの終わり
第六章 旅の終わり
第七章 チャガール・バザールでの生活
第八章 チャガールとブラーク
第九章 マックの到着
第十章 ラッカへの道
第十一章 ブラークよさらば
第十二章 エイン・エル・アルース
エピローグ
訳者あとがき

最初の『テルの上にすわってた』は、夫妻の出会いを『鏡の国のアリス』<白の騎士>調にうたったもの。テルとは、以後御馴染みの言葉となるのだけれど、西アジア一帯に見られる丘状の遺跡で、集落の石材や日干し煉瓦などが堆積した遺丘のこと。

読みながら、あちこち、ほんとにふき出してばかり。クリスティー女史のお茶目な一面がこれでもか、と披露される。面白いよ。

調査隊の一員であり、いつも超然としたマックとようやく打ち解けることが出来た所では、ほっと一安心するし(クリスティー女史ともあろうものが、一介の若き建築技師の、一挙一動にはらはらするとは!)、現場監督のハムーディーの鷹揚さにはほのぼのさせられるし(朝の五時にホテルの部屋にやってくるとは!)、考えうる限り最悪の腕を持つ、運転手アブドゥッラーの描写には笑わせられるし(顔といい、あらゆる点で駱駝並み!)、あくまで穏やかなアルメニア人のタクシー運転手、アリスティードの辛い過去には考えさせられる(たった七歳の身で、家族や他のアルメニア人とともに、生きながらトルコ軍によって深い穴に投げ込まれた)。

また「フォルカ!(えいくそ!)」と叫んでは機械をぶち壊し、彼の信念「エコノミーア(経済的)」のせいで、いつも安物を買っては、夫妻に損失を与えるミシェル、わしのものはなんでもあんたのものですじゃ」(が、非常に抜け目ない)なシーク、とんでもなく不器用なハウスボーイ、マンスールなど、個性豊かな面々は枚挙に遑がない。

さて、そんな個性豊かな面々の描写も面白いのだけれど、勿論この旅(というか暮らし?)の本来の目的である、考古学についての描写も面白い(最初に学術的ではない、と但し書きがあるが)。クリスティーの夫、マックスの関心の対象は、紀元前二〇〇〇年期、ヒッタイト人の盛衰と変遷とに始まり、なかでもとりわけ、ミタンニ族の軍人王朝について、より多くをつきとめたいというのが目的なのだそう。そんなわけで、ローマ時代のもの」というのは、救いがたいほど歴史的に近いのだって。悠久の時の流れを感じます(ローマ時代が歴史的に近いのだって!)。

人っ子一人いないと思われる砂漠で、どこからともなくやって来て静かに語り、また静かに去っていく老人。悪魔崇拝を非難されるイェジッド族(イェジット族の土地は、本当に美しいのだそう)。クルドの女とアラブの女。アラブの女は例外なく控えめで内気であるが、クルドの女たちは、男性と対等か、対等以上であることを疑っていない。
アッラーの神の思し召しのままに(インシャッラー)”という言葉が飛び交い、“評判”“面子”を重んじるアラブ社会(そして、”評判”のためには、常に思わぬ出費が必要となる)、イスラム教とキリスト教(時には更に悪魔崇拝までも)が対立する混沌とした社会を、またそこで暮らす自分が信ずる所を行く、ある意味で単純で明るい人々を、クリスティー女史が非常に愛したことが伝わってくる本。
*******************************************
クリスティーが、駐在フランス人社会の奥さま言う所の「ル・キャンピング(というか、単にテントの中で寝るということだけど)や、土器の修復をしたり、拷問室のようなところ(その中に入ると、座る事もできなければ、立つ事もできない!)で写真の現像を行っていただなんて、想像出来ますか? 時によってはそんな暮らしの中で、描かれたミステリーもあったわけで・・・。裏話を聞いている様で、面白かった。

直接関係ないのだけれど、「シナン 」を読んで興味があった、ハギア・ソフィア寺院(アヤ・ソフィア)についてのクリスティーの評が、短いけれどちょっと面白かった。クリスティーは「悲しいかなわたしは、いまだかつてハギア・ソフィア寺院に感銘を受けたことがない。審美眼が欠けているのかもしれないが、しかし、事実は事実。いつ見ても、決定的に寸法がまちがっているように思えてならない。われながらひねくれたものの見かただと思うから、それを恥じて、わたしは口をつぐんでいる」そう。アヤ・ソフィアを見た人はみな、感銘を受けるらしいんですが・・・。

また、しょっちゅう出て来たお菓子「ターキッシュ・ディライト」は、以前喜八さんのところで 、「ナルニア国ものがたり」の中で、白い魔女がエドマンドを篭絡するための、魔法のお菓子として使われたと教えて頂いたもの。
イギリス人にはメジャーなお菓子だったのでしょうか?

イラストレーター佐々木悟郎氏によるハードカバーの美しい表紙は、amazonでもbk1でも出ないようで、ちょっと残念。

 ← 文庫でも出ているようです
アガサ・クリスティー, 深町 眞理子
さあ、あなたの暮らしぶりを話して


*臙脂色の文字の部分は本文中より引用を行っております。何か問題がございましたら、ご連絡ください。

「カーテン」/企画参加「名探偵で行こう!」

 2005-11-01-10:02

「手当たり次第の本棚」 のとらさんの企画、「名探偵で行こう!」。?

前回は「女性探偵物」を上げたのですが、やっぱり私の名探偵の本命は、灰色の脳細胞を持つ、ベルギーの小男、エルキュール・ポアロ!
今日はポアロで、この企画に再挑戦したいと思います。
**********************************************
前回までのおさらい
■とらさんの記事はこちら
テーマ企画!「名探偵で行こう!」(参加募集)
■私の関連記事は、以下の二本です。
→「女には向かない職業」/企画参加「名探偵で行こう!」
→「アガサ・クリスティーの食卓」/企画「名探偵で行こう!」番外編
**********************************************
それでは、設問に入ります。

■Q1 現時点で一番好きな名探偵は、いったい、誰(1名限定)
    理由もあげてね

既に書きましたが、やっぱりエルキュール・ポアロ!自尊心が人一倍強くて洒落者、人間観察にもおさおさ怠り無い所が好きです。
ポアロにかかれば、日の下であればどこでも、「犯罪の現場」にふさわしくなってしまう。例えば、休暇中の美しくロマンチックで平和な小島、例えば家族が集まるクリスマス、例えば、平和、善意の精神、若しくは偽善が支配するクリスマスシーズン。

 休暇で来ているということは、そこに存在する理由が不必要だという意味で、犯罪現場にふさわしい。
 離れ離れの家族が集まるということは、ある種の精神的緊張が増長する。
 楽しい気分であるべきクリスマスは、大いに飲み食いして肉体的不快感が高まる季節でもある。
 

人間に対する好奇心で、自慢のお髭をぴくぴくしているイメージがあります。

映像化したもので言えば、やっぱりデビット・スーシェ。
尊大な態度と、悪戯っぽくきらきら光る瞳、まあるい頭が、ポアロそのものだったように思います。

■Q2 その名探偵が関係した事件で一番印象深かったものは何
    (1作限定)

印象深いのは、ポアロの最後の事件である、「カーテン」
何と言っても、これは「最後の事件」であります。読む前には、相当迷ったのですが、誘惑に耐え切れず読んでしまった。随分前に読んだのですが、幸いなことに、ポアロに対する愛情は薄れませんでした。


「カーテン」の舞台は、スタイルズ荘。語りは御馴染み、ヘイスティングズ大尉。勿論、長い時が経ったので、スタイルズ荘やその周辺の変化も容赦なく描かれる。しかし何と言っても、一番容赦が無いのは、ポアロの風貌に関する記述(ここでは、引用はしませんが)。

外観は昔とすこしも変っていないが、どうみても化粧直しが必要なようだった(p10)。
安っぽい現代風の家具がいれてあって、これには少々うんざりした。私ならば、家の建築様式にふさわしいものを選ぶのだが(p15)。
老齢による惨めさほどいたましものはないと思う。私の気の毒な友。いままで私は彼の風貌をいくどとなく描いてきた。いまはただ昔と違ったところだけを述べよう(p16)。

クリスティ女史には、時々「そこまで書くか?」「自分で創り出した人物に愛情が無いのか?」と思ってしまうような、容赦の無い筆致が見られますよね。でも、ここまで書くからこそ、アガサ・クリスティは「女王」なんでしょうね。

「カーテン」では老齢のポアロが描かれます。おろおろするヘイスティングズ大尉の語りに騙されそうになりますが、肉体は衰えても、ポアロの頭脳は衰えてはいません。

■Q3 その名探偵を支える脇役(常連キャラ)の中で好きなキャラは?
    (1名限定)

ヘイスティングズ大尉。「わが友(モナミ)ヘイスティングズ」。
ポアロはいつもヘイスティングズを馬鹿にしていたようにも見えるけれど、あれもまたポアロなりの愛情表現なのだろうなぁ、と思う。

さよう(メ・ウイ)、フェアプレイだ!きみはいつも私のやり方がフェアじゃないと非難したが、そんなことはない。きみにはフェアプレイで終始した。きみは努力すれば報いられたはずなのだ。私はルール違反などしていない。真相を知る機会はことごとくきみに与えられていたのだ。

なにしろきみはあまりにも信じやすい男だから・・・・・・
あまりにも人がよすぎるから・・・・・・

上の二つの部分は「カーテン」からの引用ですが、基本的なスタンスは上のそれだろうし、ポアロは下のようなヘイスティングズの実直さを愛したのだろうな、と思う。

■Q4 その名探偵が物語中で飲食していたもののうち、お相伴したい
    ものは?(1品限定)

ホットチョコレートもいいな、と思うのですが、せっかく「アガサ・クリスティーの食卓」を読んで思い出したので、クリスマス・プディングにします。

でも、ベルギーチョコを食べると、「ふふふ、ポアロ。美味しいよ」と怪しく呟きたくなってしまいます。ベルギービールも美味。

■Q5 次に記事を書いてもらいたい人を1名指名のこと(指名しなくても可)

やってみたいと思う方がいらしたら、是非どうぞ!
トラックバック、お待ちしてます♪

アガサ・クリスティー, 中村 能三
カーテン―ポアロ最後の事件
北野 佐久子
アガサ・クリスティーの食卓

ハピネット・ピクチャーズ
名探偵ポワロ DVD-BOX1

*臙脂色の文字の部分は、引用を行っております。何か問題がございましたら、ご連絡ください。

「アガサ・クリスティーの食卓」/企画「名探偵で行こう!」番外編

 2005-09-20-10:07

「手当たり次第の本棚」 のとらさんの企画、「名探偵で行こう!」バトンを貰った時に、こういう設問があったのだ。

■Q4 その名探偵が物語中で飲食していたもののうち、お相伴したいものは?(1品限定)

ちなみに、この時こちら のように、とらさんは一番好きな名探偵として「ポアロ」をあげておられます。私も好きな探偵の一人にやっぱり「ポアロ」がいて、これはまた別記事にあげるつもりなのだけれど、実はこのQ4で躓いていた。私は普段食い意地が張っているので、小説に出てきた食べ物、飲み物(特にお酒)は結構覚えているものなのだけれど、クリスティー物は、意外に食べ物の印象が薄かったのだ(後は、手持ちのクリスティーの本の中で、見つけられなかったというのもあるのだけど)。

そんなことを思っていたら、図書館でこの本を見つけた。

北野佐久子「アガサ・クリスティーの食卓」婦人画報社

これは、読んでみるしかないでしょう!
*************************************************
目次
母親から受け継ぐお菓子の味
英国人のみだしなみ
食卓の上の美味なイギリス
戸外で楽しむ味
両手の中のくつろぎの素
ハーブに夢中、庭に夢中
旅先で見つける小さな風景

「はじめに」にこの本の意図がこう書いてある。

クリスティーは実に細やかにイギリスの生活の風景を描いている。クリスティーの作品を通して、イギリスを知るということも出来るのではないか。

そんなわけでこの本は、クリスティーの作品の中から選んだ、イギリスならではの行事、習慣、食べ物、食物、物などについて、ミステリーとのからみ、著者がイギリスで暮らした経験と併せて書かれたもの。

だから、タイトルに「食卓」とあっても、食べ物だけではなく、ここで扱うのは生活全般にわたること。クリスティーの作品からの抜粋、物語の粗筋も一緒に載せられているので、読んだものを思い出す事も出来る。

クリスティーの作品を全部読んだわけではないのだけれど、ある程度は一時期集中して読んでいたので、色々思い出す事もあって楽しかった。いい事しか書いていないのかもしれないけれど、古き良きイギリスの、豊かな伝統を感じることが出来る。

☆思い出した事
■クリスマス・プディング
クリスマス・プディングは、「クリスマス・プディングの冒険」に出ていたことを思い出した。バトンのQ4で「クリスマス・プディング」と答えようと思って、持っている「ポアロのクリスマス」を探したのだけれど、全然見つからなかった。「クリスマス」のタイトルが付いていても、違う本だったのね・・・。

■訳者について
ポアロの口調に違和感があって、小倉多加志さんの訳が苦手だったのです。「~ってわけさ。」とか「誰も気づきやしないよ。」、「~はごめんだぜ。」とか。私のポアロのイメージは、すっかりデヴィット・スーシェになっていて、こんな口調の彼を想像出来ません・・・。

北野 佐久子

アガサ・クリスティーの食卓

画像が出ませんが、ポアロを思わせる、なかなか感じのよい表紙です。

*ピンクの文字の部分は、本文中より引用後、要約を行っております。
*********************************************
☆関連過去記事を以下にリンクしておきます。

企画参加「名探偵で行こう!」/「
女には向かない職業
杉の棺 」/推理小説
英国王室御用達 」/伝統、手仕事

「春にして君を離れ」/あなたが見ているのは真実の世界ですか?

 2005-09-08-08:12
喋喋雲さんの所で書評を読み、これは読まねばと思っていた。
■喋喋雲さんの記事はこちら→気付かない人「春にして君を離れ」を読む

良き夫、子供に恵まれ、有能な主婦であると自認する、ジョーン・スカダモア。彼女はこれまでの努力の成果により、満足すべき充実した生活を送っていた。いつまでも若々しく、朗らかなまま・・・。
末の娘バーバラの病気見舞いに行ったバクダッドからイギリスに帰る途中、ジョーンは学生時代の旧友ブランチ・ハガードに会う。その時から、世界は少しずつ違った様相を見せ始める・・・。

バクダッドからイギリスへの帰路は遠い。テル・アブ・ハミドで汽車の不通のために、足止めを食ったジョーン。これまで「忙しさ」にかまけて、気付かないふりをしていた物事が、彼女の他に人もいない砂漠で頭の中に溢れ出す。何を聞いても何を話しても傷つかない、つるつるのプラスチックだったような彼女の心が動き出す。

「常識的」で「現実的」、「有能な」彼女は、周囲の人々にどう接していたか?そしてそれは、どう影響していたのか?
*******************************************
喋喋雲さんも書いてらっしゃるけど、これ、滅茶苦茶に怖い小説だ。でも、ジョーンがここまで、「気付かなかった」のは、周囲の人のせいでもある。あまりにも揺るがない人を見ると、人は「話しても無駄だ」と諦めてしまう。彼女と周囲の人間の思惑が積み重なって、彼女の世界は歪められた。

そして更に怖いのが、この黙示録を味わったはずの、ジョーンの帰宅後の生活なのだ。彼女が生きていくことにした世界、あの選択は正しかったのか?
*******************************************
自分は周囲の人に、諦められていないだろうか、と不安に思う小説だった。自分の見ている世界は真実のものなのか?

アガサ・クリスティー, 中村 妙子
春にして君を離れ

「杉の柩」/推理小説

 2005-06-15-07:34

ミステリーと言えば、やっぱり女王・クリスティクリスティの中でも、私は「灰色の脳細胞」を持つポアロシリーズが好き。今全て手元にあるわけではないけれど、大方のものは図書館で借りて読んだはず。映像化されたものでは、デヴィット・スーシェがぴったりだと思う。まるで本から飛び出したような姿だった(あの口ひげ、あの頭、あの口癖と尊大な仕草!)。

今日はその中のこちら。

アガサ・クリスティ 「杉の柩」 ハヤカワ・ミステリ文庫

ポアロシリーズにも多くの作品があり、この本の中では他のものに比べ、ポアロはそれ程活躍しない(というか、裏で調査を行っている。そして、後半の畳み込む展開は素晴らしいと思う)。そうではあるのだけれど、私はここに出てくる、激しい情熱を胸に秘めた誇り高い「エリノア」が好き。ミステリーなのだけど、最後は彼女にとって良い発見をして、幸せになって良かったなーとしみじみ思う。

Amazonから引っ張った粗筋はこう。
婚約中のロディーとエリノアの前に現われた薔薇のごときメアリイ。彼女の出現でロディーが心変わりをし、婚約は解消された。激しい憎悪がエリノアの心に湧き上がり、やがて彼女の作った食事を食べたメアリイが死んだ。犯人は私ではない!エリノアは否定するが…嫉妬に揺れる女心をポアロの調査が解き明かす。

以下、引用。
ポアロは、感受性の強そうな、知的な面ざし、広い白い額、美しい鼻と耳の型とを目におさめた。美しい線だった。誇り高い、感じやすい人。教養も深く、自制心も強く―まだ何かある―ひそんだ情熱だ。
「わかりますよ。ちっとも気になさることはない。悪夢にとりつかれているような時には、何か平凡なものだけが頼りの綱なんですから。ともかく、平凡てことは一番いいことなんですよ。私はいつもそう思ってますがね」
「過去と未来との間に大きな溝ができることが時にはあるものです。死の陰の谷をさまよったあげく、ふたたび日の光のもとに戻ってきた時には、モン・シェル、新しい生活が始まるのです。過去とはなんのかかわりもない」


ついでにクリスティ、もう一作品。
「ゼロ時間へ」

こちらはポアロミス・マープルも出てこないけど、好きな作品(ポアロシリーズに出てきたバトル警視は出てくる)。

Amazonからの引用。
残忍な殺人は平穏な海辺の館で起こった。殺されたのは金持ちの老婦人。金目的の犯行かと思われたが、それは恐るべき殺人計画の序章にすぎなかった―人の命を奪う魔の瞬間“ゼロ時間”に向けて、着々と進められてゆく綿密で用意周到な計画とは?ミステリの常識を覆したと評価の高い画期的な野心作

引き込まれる冒頭部。
「私はね、よくできている探偵小説がすきなのだ。だがね、どれも出だしがいけない!みんな殺人ではじまっておるのだ。しかし殺人というものは終局なのだよ。物語は、ずっとまえからはじまっているのだ。ときによっては、何年もまえからね。ある人々を、ある日、ある時、ある場所へとみちびいてくる、その要因と出来事とで、物語ははじまっているのだ。」
「あらゆるものが、ある一点にむかって集中しているのだ・・・・・・そして、その<時>がやってくると―爆発するのだ!ゼロ時間!そうだ、ありとあらゆるものが、このゼロ時間の一点に集中されている・・・・・・」


著者: アガサ・クリスティー, 恩地 三保子
タイトル: 杉の柩
著者: アガサ・クリスティー, 田村 隆一
タイトル: ゼロ時間へ


しかし私はクリスティーを読み直す度に、新しく楽しめてしまいます。決して新しい発見が!、とかそういうことではなく、犯人を忘れてしまうのですね。いいことなのか、悪いことなのか・・・(きっと悪いことだろうけど)。でも、巧妙な伏線の張り方など見事だなー、といつも思います。そしてほんのちょっぴり入っているロマンスも結構好きだったりします。

*臙脂色の文字の部分は本文中より引用を行っております。何か問題がございましたら、御連絡下さい。

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プロフィール

つな がる

Author:つな がる
つなです。
「日常」logとも称していますが、そう多くはない手持ちの本、興味が赴くままに借りてきた図書館本の感想が主になります。
興味を持った記事があったり、あなたが読み終えた本について語っていたら、是非あなたの感想を教えて下さい。お待ちしています。

2008年3月23日に、fc2ブログに引っ越してきました。それ以前のamebaブログでの更新も、引っ越しツールによって移行しています(以前の記事は、表示が少々見辛いかもしれません。ご容赦を)。

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