fc2ブログ

「失われた町」

 2012-01-28-10:35
失われた町 (集英社文庫)失われた町 (集英社文庫)
(2009/11/20)
三崎 亜記

商品詳細を見る

内容(「BOOK」データベースより)
ある日、突然にひとつの町から住民が消失した―三十年ごとに起きるといわれる、町の「消滅」。不可解なこの現象は、悲しみを察知してさらにその範囲を広げていく。そのため、人々は悲しむことを禁じられ、失われた町の痕跡は国家によって抹消されていった…。残された者たちは何を想って「今」を生きるのか。消滅という理不尽な悲劇の中でも、決して失われることのない希望を描く傑作長編。


理由もなく失われること。自ら使命を選び取り、それに抗うこと。希望を繋ぐこと。そして、失われるが故に、今を生き、いとおしむこと。
設定の巧みさに唸る。三十年ごとに、一つの町から忽然と住民が消失する、町の「消滅」という現象。古奏器、異郷である西域、奥行きがありそうなお茶の話。私たちが住む世界とは、微妙にずれた世界もまた魅力的。
スポンサーサイト



「ペンギン・ハイウェイ」

 2012-01-28-10:25
ペンギン・ハイウェイペンギン・ハイウェイ
(2010/05/29)
森見 登美彦

商品詳細を見る

内容紹介
小学四年生のぼくが住む郊外の町に突然ペンギンたちが現れた。この事件に歯科医院のお姉さんの不思議な力が関わっていることを知ったぼくは、その謎を研究することにした。未知と出会うことの驚きに満ちた長編小説。


モリミー描くところの腐れ大学生を愛するものであるが、かしこい小学生もまた良き哉。ボーイ・ミーツ・お姉さん&不思議。アオヤマ君のかわゆいこと! 大人になるまで三千と七百四十八日。少年はペンギン・パイウェイの果てに、再びお姉さんと出会う事が出来るのか。

お、お久しぶりです

 2012-01-28-10:20
ブログを放置して約二年・・・。相変わらず読んではいるものの、なんだかきっちり(?)した感想を書けないなー、と思い、キーボードを叩く手も止まりがちに。
しかし、最近始めたfacebookでも、結局本の感想も書いてしまったりして。一言一言になってはしまうけれど、やっぱり感想はこちらに残しておこうかなぁ、と思いました。またボチボチ感想書いていきます。

一言感想

 2010-04-01-00:02
漆黒泉 (文春文庫)漆黒泉 (文春文庫)
(2008/09/03)
森福 都

商品詳細を見る

漆黒泉
 解説 関口苑生

内容(「BOOK」データベースより)
幼い日、恋におちた美貌の婚約者は私の成長を待たずに殺された。舞台は11世紀。都人が太平を謳歌する宋の都で育った茶商のお転婆娘、晏芳娥は、婚約者の遺志を継ぐべく、時の権力者、司馬光を付け狙う。白蘭座の看板女優、謎の煉丹師、老学者ら入り乱れての追跡劇が解明する漆黒泉の謎とは。痛快な中国活劇。

ひっさしぶりの森福都さん。しかし、これは若干暗かった…。あんまり血腥い気分ではなかったので、いまひとつ楽しめず。

大奥二人道成寺 お狂言師歌吉うきよ暦大奥二人道成寺 お狂言師歌吉うきよ暦
(2008/09/27)
杉本 章子

商品詳細を見る

狙われた女
渦の中へ
未練ごころ
大奥お渡り
隠密旅
大奥二人道成寺
別宅の夜宴
修羅の花園
小夜千鳥
望まれた女

内容(「BOOK」データベースより)
”中橋小町”の歌吉は、お狂言師にして、お小人目付の協力者。宿下がりしたままの坂東流名取・照代を再び召し出そうとする上様に、一夜だけの舞台に立つ事になった照代と連れ舞を舞う事に。大奥の陰謀から照代を守ってやれるのは、歌吉をおいてほかにいない。直木賞作家が描く長編時代小説。

「お狂言師歌吉うきよ暦」(感想)の続編。普通の町娘だったのに、歌吉は今度はなんと大奥へ! 大奥の権力争いが、じっとり怖かったです。

「太陽の村」

 2010-03-31-23:53
太陽の村太陽の村
(2010/01/28)
朱川 湊人

商品詳細を見る

内容紹介
父親の定年を祝うハワイ旅行に出かけた坂木一家は、帰りの飛行機で事故に遭う。
意識を取り戻した主人公・龍馬は、自分がタイムスリップして過去の世界に来てしまった事を悟る。
どうする俺??? おたくで引きこもりの龍馬は、やがて農作業や素朴な村民との触れあいにより、
現代とは正反対の生活に喜びを見出していくのだが…。
「都市と田舎」、「過去と未来」、「バーチャルとリアル」、「文明と未開」の狭間に揺れる青年の葛藤と成長を直木賞作家が描く。
著者新境地のタイムスリップ・エンタテインメント!

えええ、朱川さんってこんなのも書くんだーという、非常にギャグ寄りの文体です。あのノスタルジー溢れる情景はどこに? ここにあるのはノスタルジーの欠片もない、陽光の下のお話(ま、太陽の村、だし)。

どうなんだろう。ギャグな文体は普通に面白かったんだけど、この本の主張するところは一体どこなんだ? ラストの竜馬の選択がそうだとしたら、それはちょっと賛同しかねるのです。

「火星ダークバラード」

 2010-03-31-23:48
火星ダーク・バラード火星ダーク・バラード
(2003/11)
上田 早夕里

商品詳細を見る

 プロローグ
第一章 安息の地
第二章 プログレッシヴ
第三章 孤立
第四章 破壊の天使
第五章 焦熱の塔
 エピローグ
 あとがき

すっごく良かったんですが、なんと目次しかメモしてなかった…。

これはもろにSFなんですが、上田 早夕里さんはミステリーも書いていて、以前「ショコラティエの勲章」(感想)を読んだことがありました。ミステリーも決して悪くはなかったんですが、やっぱりこの方、SFの方なんですね。迫力が違いましたー。

内容(「BOOK」データベースより)
火星治安管理局員・水島烈は同僚の神月璃奈とともに、凶悪殺人犯ジョエル・タキを護送中、襲撃を受けて意識を失うが、それは、肉食恐竜の姿をした生物によるものだった!意識を取り戻した水島を持っていたのは、ジョエル・タキ逃亡の知らせと璃奈の無惨な死体―。捜査当局から疑いをかけられた水島は自らの潔白を証明するため、個人捜査を開始するが、その矢先、アデリーンという美少女と出会う。事件の真相を知っていると語る彼女は他人の精神と共振することのできる「超共感性」と呼ばれる特殊な脳機能の持ち主だった。だが、すでに事態は二人の力だけではどうしようもない方向へと向かっていたのだった…。サスペンスに満ちた展開で息つく間も与えないSF巨篇、堂々の誕生!第4回小松左京賞受賞作。

不器用な男、水島につられて、読んでる間、なんだかハードボイルドな気分になりました。ピュアなアデリーンの方ではなく、水島に同調してしまうのはなぜに。

「八朔の雪」「花散らしの雨」 みをつくし料理貼

 2010-03-31-23:39
たぶん、既にもう人気なんだと思うんだけど、みをつくし料理帖シリーズがすっごく良かったんです! 立て続けに既刊3冊読んじゃいました。

八朔の雪―みをつくし料理帖 (ハルキ文庫 た 19-1 時代小説文庫)八朔の雪―みをつくし料理帖 (ハルキ文庫 た 19-1 時代小説文庫)
(2009/05)
高田 郁

商品詳細を見る
狐のご祝儀―ぴりから鰹田麩
八朔の雪―ひんやり心太
初星―とろとろ茶碗蒸し
夜半の梅―ほっこり酒粕汁
 巻末付録 澪の料理帖

花散らしの雨 みをつくし料理帖花散らしの雨 みをつくし料理帖
(2009/10)
高田 郁

商品詳細を見る
俎橋から―ほろにが蕗ご飯
花散らしの雨―こぼれ梅
一粒符―なめらか葛饅頭
銀菊―忍び瓜
 巻末付録 澪の料理帖

これからも澪がどんな料理を作り出すのか楽しみです。1巻の「八朔の雪」では澪とご寮さん(女将)との関係など、良く分からない部分もあって、最初はそんなに引き込まれなかったんだけど、1巻途中からはもうぐぐっと持っていかれました。いつも本は通勤途中で読んでるんですが、これはたまたま家で読んでたんですね。途中からは涙が出て仕方なかったので、家で読んでて良かったです…。

澪の相は「雲外蒼天」。艱難辛苦が降り注ぐが、耐えて精進すれば、必ず青空を見ることが出来るんだそうな。3巻までくると、その艱難辛苦の不幸っぷりに、ああ、また…、という若干のマンネリも感じてしまったのだけれど、澪が考えだす料理と、澪の以前の奉公先を巡る謎、澪の幼馴染、あさひ太夫に関する謎、澪が恋心を抱く「小松原」の謎。これらがうまーく効いてます。すこーしずつだけれど、謎の答えにも近づいてきているみたい。でも、全てが解かれたら終わっちゃいますものね。マンネリになったとしても、ながーく楽しみたいシリーズです。

「推定少女」「少女七竈と七人の可愛そうな大人」

 2010-03-31-23:33

推定少女 (角川文庫)推定少女 (角川文庫)
(2008/10/25)
桜庭 一樹

商品詳細を見る
Prologue 少女A
Vol.1 雪みたいに白い
Vol.2 Φ!
Vol.3 ララの銃
Vol.4 秘密基地
Vol.5 ドール
Vol.6 FOUND DEAD
Vol.7 シンジケート
EndingⅠ 放浪
EndingⅡ 戦場
EndingⅢ 安全装置
 ファミ通文庫版あとがき
 あとがき
 解説 高野和明

「ぼく」な少女、カナの語り口が少々辛い。十五歳だった!!!、ってことですね。思春期のもやもや~~~。
エンディングがこんなにあるのはずるくないすか?、と思ったら、大人の事情でファミ通文庫版に書き換えたものがEndingⅡだそう。

EndingⅠ → 最初に書いたもの
EndingⅢ → ハッピーエンドに書き換えたもの
EndingⅡ → Ⅲを短く更に書き換えたもの

少女七竈と七人の可愛そうな大人 (角川文庫)少女七竈と七人の可愛そうな大人 (角川文庫)
(2009/03/25)
桜庭 一樹

商品詳細を見る
 辻斬りのように
一話 遺憾ながら
二話 犬です
三話 朝は戦場
四話 冬は白く
五話 機関銃のように黒々と
六話 死んでもゆるせない
 五月雨のような
七話 やたら魑魅魍魎
ゴージャス
解説 古川日出男

男たちなど滅びてしまえ。吹け、滅びの風。

こちらは侍のような、少女七竈にぐっときました。あまりに美しすぎる異形のかんばせ。少女はどんな大人になるのだろう。

「西城秀樹のおかげです」

 2010-03-23-23:47
西城秀樹のおかげです (ハヤカワ文庫 JA)西城秀樹のおかげです (ハヤカワ文庫 JA)
(2004/11/09)
森 奈津子

商品詳細を見る

内容(「BOOK」データベースより)
「ありがとう、秀樹!わたくしとお姉様は、あなたのことを決して忘れませんわ」―謎のウイルスにより人類が死滅した世界で、ひとりの百合少女の野望を謳いあげる表題作、前代未聞のファーストコンタクト「地球娘による地球外クッキング」、1979年を舞台にした不条理青春グラフィティ「エロチカ79」ほか、悩める人類に大いなる福音を授ける、愛と笑いとエロスの全8篇。日本SF大賞ノミネートの代表作、待望の文庫化。

目次
西城秀樹のおかげです
哀愁の女主人、情熱の女奴隷
天国発ゴミ箱行き
悶絶!バナナワニ園!
地球娘による地球外クッキング
タタミ・マットとゲイシャ・ガール
テーブル物語
エロチカ79
 あとがき
 文庫版のためのあとがき
 解説/柏崎玲央奈
「哀愁の女主人、情熱の女奴隷」のみ、「笑壺-SFバカ本ナンセンス集」(感想)にて既読でありました。「哀愁の~」も間違った方向に情熱を燃やす人々の滑稽さが面白かったんですが、こちらも変わらずパワフル。

人類滅亡を目の当たりにしながらも、自分たちがルールを決められることにヨロコビを感じる、自称・お姉さまにいじめられるのを待つ可憐な乙女(その実態は三十四歳、身長二百センチにして体重二百キロ)とドラァグ・クイーンのわがままなオンナっぷり(「西城秀樹のおかげです」)とか、性欲と食欲プラス変態味覚欲とSF欲を満たすべく奮闘する三人娘(「地球娘による地球外クッキング」)、など。官能的表現がぜっっっっったいに入ってはくるんだけど、それが入るまでのベースがバリエーションに富んでいるので、なかなかに楽しかったのです。

でも、この後に読んだ「ゲイシャ笑奴」は、官能表現がかなり前面に出てきて、かつそのシチュエーションがほぼおんなじだったので、ちょっと辛かったかなー。ま、表紙とレーベルからも分かりますかね…。やっぱり、アイディアとかバリエーションって大事だな、と思った次第でありました。

ゲイシャ笑奴 (徳間文庫)ゲイシャ笑奴 (徳間文庫)
(2009/06/05)
森 奈津子

商品詳細を見る

「世界の涯まで犬たちと」/やさしい世界

 2010-03-16-23:59
世界の涯まで犬たちと世界の涯まで犬たちと
(2007/09)
アーサー ブラッドフォード

商品詳細を見る

内容(「BOOK」データベースより)
犬、猫、様々な動物と人間が織りなす、ねじれてゆがんだ不思議ワールド。O・ヘンリー賞受賞の新鋭作家が紡ぐ、全米大絶賛の短篇集。

目次
キャットフェイス
軟体動物
テキサス盲学校
冬を南で
マットレス
アラン・マシューズの家
六匹の犬のクリスマス
ビル・マクウィル
スノウ・フロッグ
リトル・ロドニー
ピーチ・トリップ
チェインソー・アップル
ドッグズ
ロズリンの犬
この短編はすべて繋がっているのかなぁ。「ぼく」の無責任なまでのやさしさ、ある意味でのピュアさ(短編によっては、大麻をすっちゃったりしてますけど)が際立つ短編集です。

繰り返し出てくるモチーフは、奇形や障害など、どちらかと言えばマイナス、ネガティヴに寄っているもの。それが「ぼく」のやさしさやピュアさに触れる事で、ただのマイナスではなくなるとでもいうか…。見慣れた世界が、ちょっと違って見えるかも? 綺麗は汚い。汚いは綺麗。ほんとの輝きは、思いもよらぬところにあるのかも。

ほんとの輝きかどうかは分かりませんが、変わった輝き、美しさとして強く印象に残ったのは「スノウ・フロッグ」。「ぼく」と一緒に牧場で働くエリザベスは、変わった能力の持ち主のよう。彼女はどうも飲み込んだものを、お腹の中で孵すことが出来るみたい。例えば卵を飲み込めば、彼女の口からは生まれたてのヒヨコが、牧場で見つけたゼリー状の物に覆われた緑に発光する虫(巨大なツチボタルらしい。ツチボタル自体は実在するのよね)からは、とてもキレイなカエルが…。

そう、いまでは、もとの種よりもはるかに大きいスノウ・フロッグたちがいる。なかには大型猟犬の成犬ほどの大きさのものまで。そして、冷えこんだ冬の晩、明るく光りながら雪のなかをはずんでいくスノウ・フロッグたちの姿は、ノースカントリーや高山地域ではごく当たり前になった。そうした田舎の町や村の子供たちが、気立てのいいこの生き物たちと雪原で仲良く遊びたいから夜更かしをさせて、とよく両親におねだりする声が聞こえてくる。クリスマスのころ、子供たちが雪のなかで、温かく、丸々として光り輝くカエルたちと戯れる姿ほど素晴らしい眺めを、ぼくは見たことがない。(p131「スノウ・フロッグ」より引用)

”DOGWALKER”が”世界の涯まで犬たちと」。タイトルもいいですよね。
≪ トップページへこのページの先頭へ  ≫ 次ページへ ≫
プロフィール

つな がる

Author:つな がる
つなです。
「日常」logとも称していますが、そう多くはない手持ちの本、興味が赴くままに借りてきた図書館本の感想が主になります。
興味を持った記事があったり、あなたが読み終えた本について語っていたら、是非あなたの感想を教えて下さい。お待ちしています。

2008年3月23日に、fc2ブログに引っ越してきました。それ以前のamebaブログでの更新も、引っ越しツールによって移行しています(以前の記事は、表示が少々見辛いかもしれません。ご容赦を)。

掲示板その他リンク

ユーザータグ
最近の記事
カレンダー
09 | 2023/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -

RSSフィード
カウンター

月別アーカイブ
検索エンジン情報
Googleボットチェッカー Yahoo!ボットチェッカー MSNボットチェッカー